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脊髄損傷:カルパインによるNa+チャネル切断は持続性Na+電流を増加させて脊髄損傷後の痙性発症を助長する

Nature Medicine 22, 4 doi: 10.1038/nm.4061

運動ニューロンでの持続性ナトリウム電流(INaP)の増加は、脊髄損傷(SCI)後の痙性発症の一因となる。我々はINaPの調節機序を検討し、SCIの生じている成獣ラットの脊髄腰部運動ニューロンで電位依存性ナトリウム(Nav)1.6チャネルの発現が増えていることを見いだした。さらに、免疫ブロットによってNavチャネルのタンパク質分解が起こっていることを明らかにし、生化学的アッセイによってカルパインが主要なタンパク質分解因子であることを突き止めた。新生仔期のSCI後のカルパインによるNavチャネル切断は運動ニューロンでのINaPの増加を伴っていた。同様に、HEK(ヒト胎児腎臓)293細胞で発現させたNav1.6チャネルのカルパインによる切断は、INaPの増加を引き起こした。カルパイン活性のMDL28170による薬理学的阻害は、Navチャネルの切断、SCIの生じているラットの運動ニューロンでのINaPと痙性を低下させた。また、リルゾールによるINaPの阻害は痙性を軽減した。今回の結果は、腰部運動ニューロンでのNavチャネル発現状態がSCI後に変化することを実証するもので、Nav1.6チャネルのカルパインによるタンパク質分解とINaP増加、痙性の間の緊密な関係を明らかにしている。

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