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自己免疫疾患:酸化型ミトコンドリアDNAを多く含む好中球細胞外トラップはインターフェロン産生を誘導し、ループス様疾患の原因となる

Nature Medicine 22, 2 doi: 10.1038/nm.4027

好中球細胞外トラップ(NET)は自己免疫に関与しているが、NETが生じる仕組みや、無菌性炎症におけるその役割はまだ明らかにされていない。リボ核タンパク質含有免疫複合体(RNP IC)はNETosisの誘導因子で、NET誘導刺激を最大にするためにミトコンドリアの活性酸素種(ROS)を必要とする。好中球がRNP ICの刺激を受けると、ミトコンドリアは脱分極を起こして、細胞表面へ移行する。酸化されたミトコンドリアDNAの細胞外への流出はin vitroで炎症を誘発する。このDNAをマウスに注射すると、DNAセンサーであるSTINGに依存する経路を介してI型インターフェロン(IFN)シグナル伝達が活性化される。ミトコンドリアのROSは、全身性エリテマトーデスの患者由来の低比重顆粒球による自発的なNETosisにも必要である。このことは、NADPHオキシダーゼ活性が欠損しているが自己免疫を発症し、I型IFN誘導性遺伝子の発現上昇(type I IFN signature)が認められる慢性肉芽腫症の患者にでも観察された。in vivoでミトコンドリアでのROS産生を阻害すると、ループスのマウスモデルで疾患の重症度やI型IFN応答が軽減する。まとめるとこれらの知見は、自己免疫疾患では、ミトコンドリアはNET生成だけでなく、炎症誘発性の酸化型ミトコンドリアDNAの発生にも関わっていることを示している。

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