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寄生虫感染:キラーリンパ球はグラニュライシン、パーフォリンとグランザイムを使って細胞内寄生体を殺す

Nature Medicine 22, 2 doi: 10.1038/nm.4023

原虫感染症は世界的に深刻となっている健康問題である。ナチュラルキラー(NK)細胞や細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、細胞傷害性顆粒に含まれるプロテアーゼのグランザイム(Gzm)と小孔を形成するパーフォリン(PFN)を感染細胞内へ放出することで病原体感染細胞を除去する。だが、このような細胞傷害性分子は細胞内寄生体は殺せない。CD8+ CTLは、マウスで主にインターフェロンγ(IFN-γ)の分泌により寄生虫感染を防御している。しかし、ヒトの細胞傷害性顆粒は、齧歯類の細胞傷害性顆粒には含まれない抗微生物ペプチドであるグラニュライシン(GNLY)を含んでいて、これがコレステロール含量が低い微生物膜を選択的に破壊し、次いでGNLY、PFNとGzmが細胞内細菌を速やかに死滅させる。今回我々は、GNLYがGzmをクルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)および大型リーシュマニア(Leishmania major)という3種類の原虫寄生体の細胞内に送達し、Gzmがそこで過酸化物を生成して、酸化防御酵素を不活性化して寄生虫を殺すことを示す。PFNは、GNLYとGzmを感染細胞中に送達し、次いでGNLYがGzmを細胞内寄生体の細胞内へ送達する。キラー細胞が仲介して起こる寄生体の死を、我々は「微生物のプログラム細胞死」、すなわち「マイクロトーシス」と命名した。このような細胞死は、カスパーゼ非依存性だが、哺乳類のアポトーシスと似ていて、ミトコンドリアの膨張、膜電位の消失、膜のブレブ形成、ホスファチジルセリンの暴露、DNA損傷およびクロマチン濃縮を引き起こす。GNLYを導入したトランスジェニックマウスは、クルーズトリパノソーマとトキソプラズマへの感染が起こりにくく、野生型マウスでは致死的となる感染でも死亡しない。従って、GNLY、PFNおよびGzmを介する細胞内原生寄生体の除去は、これまで知られていなかった免疫防御機構といえる。

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