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腎疾患:AIMタンパク質はマウスで尿細管管腔内の死細胞塊除去を亢進させ、急性腎不全を軽減させる

Nature Medicine 22, 2 doi: 10.1038/nm.4012

急性腎不全(AKI)は、長期入院と高い死亡率を伴い、慢性腎不全発症のリスクを高める。これまでのところ、AKIに有効な治療法は確立されていない。今回我々は、尿細管管腔内の死細胞塊上に付着したAIM(apoptosis inhibitor of macrophage)タンパク質が、KIM-1(kidney injury molecule-1)と相互作用し、AKIからの回復を促進することを報告する。AKIの際、尿中のAIM濃度は上昇し、尿中AIMは腎臓の近位尿細管内の壊死細胞塊に蓄積する。この死細胞塊上に存在するAIMは、損傷を受けた尿細管上皮細胞に発現するKIM-1に結合し、この上皮細胞によるファゴサイトーシスを介して起こる死細胞塊の除去を促進させることで、腎臓組織の修復に関わる。虚血再灌流(IR)によるAKIの場合、AIM欠損マウスでは死細胞塊の除去が認められず、腎臓の炎症が持続し、進行性腎機能障害のために野生型(WT)マウスより高い死亡率を示した。IR誘発性AKIのマウスに組換えAIMを投与すると、死細胞塊の除去が起こり、腎臓の病変が軽減された。こうした影響は、AIM欠損マウスおよびWTマウスの両方で観察されたが、KIM-1欠損マウスでは観察されなかった。今回得られた知見は、AKIに対する新規な治療法を開発する基盤となる。

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