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肥満:肥満の際にはマクロファージでのIrf5欠損が体にとって有利な形の脂肪組織拡大を引き起こし、インスリン感受性を改善する

Nature Medicine 21, 6 doi: 10.1038/nm.3829

内臓脂肪の蓄積は、炎症の亢進と代謝性疾患の発症リスク増大に関連している。しかし、内臓脂肪蓄積の病的な増大を制御する分子機序についてはほとんど知られていない。転写因子であるIRF5(interferon regulatory factor 5)は、炎症性表現型を持つマクロファージを増加させると考えられてきた。本論文では、高脂肪食を与えられたマウスでIrf5を欠損させると、同じく高脂肪食を与えられた野生型(WT)マウスと比べた場合、副睾丸白色脂肪組織(epiWAT)の増加については差がないが、皮下白色脂肪組織の拡大が見られることを示す。Irf5欠損マウス由来のEpiWATでは、野生型のEpiWATと比べて、代替活性化マクロファージの蓄積、脂肪細胞のサイズを限定する高度のコラーゲン沈着、インスリン感受性の亢進という特徴が見られた。肥満者でのIRF5の発現は、インスリン感受性および内臓脂肪組織でのコラーゲン沈着と負に相関していた。脂肪組織マクロファージでの全ゲノム遺伝子発現解析から、IRF5を介した阻害の直接標的がトランスフォーミング増殖因子β1遺伝子(TGFB1)そのものであることが明らかになった。今回の研究は、多様な貯蔵脂肪組織の相対量、ひいては肥満におけるインスリン感受性の制御にIRF5が果たす新たな機能を明らかにしており、このことはIRF5の阻害が肥満の際に健常な代謝状態を推進する可能性を示唆している。

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