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がん:SWI/SNFに変異が生じているがんはEZH2の触媒活性および非触媒活性に依存性を示す

Nature Medicine 21, 12 doi: 10.1038/nm.3968

SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体のサブユニットをコードする遺伝子には、広範囲にわたるがんで高頻度に変異が生じていることが、ヒトがんのゲノム塩基配列解読から最近明らかになり、この複合体のサブユニットのいくつかが真のがん抑制遺伝子活性を持つことが示された。しかし、SWI/SNF中のサブユニットに生じた変異によって広く共通する依存性が生じるかどうかは分かっていない。今回我々は、ヒトがんで変異が生じる頻度が最も高いSWI/SNFサブユニット群に含まれるARID1APBRM1およびSMARCA4に変異が生じているがん細胞株や異種移植片では、調べたものの全てでEZH2〔ポリコーム抑制複合体2(PRC2)の触媒サブユニット〕が不可欠だが、こうしたEZH2への依存性の消失は、これらの変異とRas経路の変異の共存と相関していることを示す。注目すべきことに、SWI/SNFに変異が生じているがん細胞は、PRC2複合体の安定化についてEZH2の非触媒的な役割に主に依存しており、EZH2のヒストンメチルトランスフェラーゼ活性には部分的にしか依存していないことが分かった。これらの結果は、SWI/SNFサブユニットに遺伝的変化が生じているがんには共通した依存性があることを明らかにしただけではなく、現在、臨床開発中のEZH2酵素活性阻害剤がEZH2の発がん活性を完全には抑制できない可能性も示唆している。

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