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心疾患:心臓RKIPは有益なβアドレナリン受容体依存性陽性変力を誘導する

Nature Medicine 21, 11 doi: 10.1038/nm.3972

心不全の治療では一般的に、心収縮力の長期的増強をもたらす試みはほぼ例外なく構造的また機能的な損傷を伴うと考えられている。今回我々は、マウスではPebp1にコードされているRKIP(Raf kinase inhibitor protein)の中程度の過剰発現は、忍容性が良好で持続性の心収縮力増強をもたらし、これがβ1アドレナリン受容体(β1AR)を介して生じることを示す。心収縮の主要な駆動因子であるβ1ARの活性化は通常、長期にわたる有害な影響をもたらすので、この結果は予想外である。RKIP過剰発現は、サブタイプのβ2ARの同時活性化によりこのような忍容性をもたらす。同様に、RKIP欠損は圧負荷誘発性心不全を悪化させる。RKIPの発現は、マウスとヒトの心不全で上昇していることが見いだされ、これはRKIPの適応的役割を示唆している。心不全のマウスモデルではPebp1遺伝子の導入が有益な影響をもたらし、これは心不全の新たな治療戦略を示唆している。

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