再生医学：恒常状態および再生過程での造血幹細胞ニッチの維持

骨髄ニッチは長い間、研究者にとっての難問であったため、ニッチの分子レベル、また細胞レベルでの組成の解明を目的とした研究は広範囲にわたって行われている。そして、造血幹細胞（HSC）ニッチ維持のための調節機構の解明については、多大な努力がなされてきた。画像化技術やマウスモデルの遺伝学的操作技術の進歩により、損傷後の骨髄の静止状態、増殖および再生の間のバランスを調整することが示されている、それぞれ異なる多様な血管ニッチが識別できるようになった。本総説では、恒常性維持に、また損傷後の再生の際に働く、最近発見された内在性の機構、微小環境の相互作用、HSC調節に関与するニッチ周辺の細胞間での情報伝達に特に注目し、それらの再生医療との関連について論じる。