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がん:ヘッジホッグ経路転写出力の、BETブロモドメイン阻害を介したエピジェネティックな標的化

Nature Medicine 20, 7 doi: 10.1038/nm.3613

ヘッジホッグシグナル伝達は複数のがんで腫瘍形成を促すために、この経路を標的とした治療法が開発されており、その中ではSmoothened(SMO)の阻害を介するものが最も多い。しかし、Smoothenedあるいはその他のヘッジホッグ経路の下流にある構成因子が遺伝子変化を起こし、それによってSmoothened阻害剤に対する耐性が生じることがある。我々は、BET(bromo and extra C-terminal)ブロモドメインタンパク質の阻害を介してGLIの転写を調節することで、このような耐性機序を克服した。BRD4などのBETブロモドメインタンパク質は、SMOやSUFU(suppressor of fused)の下流でGLI転写を調節することが明らかになり、クロマチン免疫沈降法を使って、BRD4はGLI1GLI2のプロモーターに直接的に結合すること、またBRD4を標的とする低分子阻害剤であるJQ1を投与するとこれらの部位への結合がかなり減少することが分かった。髄芽腫特異的GLI1結合部位と関連する遺伝子は全体的にJQ1投与に応じて下方制御され、この結果はBRD4がGLIの活性を直接調節していることを裏付けている。特に、患者由来、およびGEMM(遺伝子改変マウスモデル)由来のヘッジホッグ依存性腫瘍(基底細胞がん、髄芽腫および非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍)は、Smoothenedアンタゴニストに耐性を示す遺伝子損傷を持っている場合でも、JQ1への感受性を示した。まとめると、今回の結果はBETタンパク質がヘッジホッグ経路転写出力の重要な調節因子であることを示しており、BETブロモドメインタンパク質阻害剤が、Smoothenedアンタゴニストに対する耐性が出現したり、あるいはこうした耐性を本来的に備えているヘッジホッグ誘導性腫瘍の治療法となることを明らかにしている。

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