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貧血:ダイアモンド・ブラックファン貧血におけるGATA1翻訳の変化

Nature Medicine 20, 7 doi: 10.1038/nm.3557

リボソームタンパク質のハプロ不全は、ダイアモンド・ブラックファン貧血(DBA)、先天性無脾症候群やT細胞白血病などのさまざまなヒト疾患で見られる。しかし、このような非常に広範に発現されるタンパク質をコードする遺伝子の変異が、細胞特異的あるいは組織特異的な異常を引き起こす仕組みは分かっていない。今回我々は、重要な造血系転写因子であるGATA結合タンパク質1をコードするGATA1の変異で、完全長GATA1タンパク質を減少させ、まれにDBAを引き起こすものを見いだした。DBAの原因としてより一般的なリボソームタンパク質のハプロ不全は、GATA1 mRNA翻訳の低下につながる場合があり、その原因はGATA1 mRNAの翻訳開始の閾値が他のmRNAに比べて高いためであるらしい。リボソームタンパク質S19をコードするRPS19に変異を持つ患者に由来する初代造血細胞では、GATA1標的遺伝子の転写シグネチャーの振幅が全体的に、また個別的にも小さくなっていて、このことはリボソームタンパク質に影響する変異を持つDBA患者では、mRNAレベルではなく、GATA1活性が低下していることを示している。さらに、リボソームタンパク質のハプロ不全が関連するDBA患者で見られる造血異常は、GATA1タンパク質レベルを上昇させることで、部分的に克服された。我々の結果は、広く存在するリボソームタンパク質に影響する変異によって起こる翻訳の選択的な異常が、ヒトの疾患の原因となりうるという考え方の枠組みを与えるものだ。

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