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アレルギー:腸内微生物相による食物繊維の代謝はアレルギー性気道疾患と造血に影響する

Nature Medicine 20, 2 doi: 10.1038/nm.3444

腸内微生物相の代謝産物は、宿主−微生物の相利共生の決定因子であり、従って腸管の健康あるいは疾患にも決定的な影響を持つ。しかし、そのような宿主−微生物クロストークが、肺などの末梢組織での炎症に影響するかどうかはよく分かっていない。我々は、食物に含まれる発酵性繊維が、特にファーミキューテス門とバクテロイデス門の細菌の比を変化させることによって、腸と肺の微生物相の構成を変化させることを見いだした。腸内微生物相は繊維を代謝するため、循環中の短鎖脂肪酸(SCFA)の濃度を上昇させる。高繊維食を与えられたマウスでは循環中のSCFA濃度が上昇し、肺のアレルギー性炎症が起こりにくくなったが、低繊維食ではSCFA濃度が低下し、アレルギー性気道疾患が増加した。SCFAのプロピオン酸を投与されたマウスでは骨髄造血に変化が見られた。この変化は、マクロファージと樹状細胞(DC)前駆細胞の産生増加、さらに食作用活性は高いが2型ヘルパーT細胞のエフェクター機能促進能が障害されたDCの肺播種を特徴とする。アレルギー性炎症に対するプロピオン酸の影響は、Gタンパク質共役受容体41(GPR41、別名free fatty acid receptor 3、FFAR3)に依存するが、GPR43(別名free fatty acid receptor 2、FFAR2)には依存しない。以上の結果は、食物由来の発酵性繊維とSCFAが肺の免疫学的環境を形作り、アレルギー性炎症の重症度に影響を与える可能性を明らかにしている。

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