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骨形成:前破骨細胞が分泌するPDGF-BBは骨形成と連結した血管新生を引き起こす

Nature Medicine 20, 11 doi: 10.1038/nm.3668

骨のモデリングおよびリモデリングに際して起こる骨形成は血管新生を伴っている。最近の研究によって、CD31およびエンドムチンを高発現している特定のサブタイプ(CD31hiEmcnhi)の血管では血管新生と骨形成が連動していることが示された。我々は、前破骨細胞が分泌する血小板由来増殖因子BB(PDGF-BB)が、骨のモデリングおよびリモデリングの間にCD31hiEmcnhi型の血管の形成を誘発することを見いだした。酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ陽性細胞系の細胞でPDGF-BBを欠失させたマウスは、野生型マウスと比べると骨梁骨および皮質骨の骨量、血清および骨髄中のPDGF-BB濃度が大幅に低く、CD31hiEmcnhi型血管の数も著しく少ない。卵巣摘出(OVX)による骨粗鬆症マウスモデルでは、偽手術対照マウスと比べると、血清および骨髄中のPDGF-BB濃度、CD31hiEmcnhi型血管の数が大幅に低下している。OVXマウスでは、外来性PDGF-BBの投与、あるいはカテプシンKの阻害による前破骨細胞数の増加によって内在性PDGF-BB濃度を上昇させると、CD31hiEmcnhi血管数が増加し、骨形成が引き起こされた。従って、前破骨細胞のPDGF-BB分泌を増加させる薬理学的治療は、血管新生とそれに伴う骨形成の促進による骨粗鬆症治療のための新しい治療標的に対するものだ。

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