Technical Report

診断学:発展途上世界における感染症に対するマイクロ流体力学を用いた診断法

Nature Medicine 17, 8 doi: 10.1038/nm.2408

現在の理工学分野の大きな課題の1つは、世界の最貧困地域に住む人々の健康状態を改善するための技術の開発である。今回我々は、マイクロ流体力学分野における製造、流体操作、シグナル検出のための新しい処理法を統合して、使いやすくて臨床現場で検査が行える(point of care:POC)、単一の検査法を開発した。この検査法は、ELISA(酵素結合免疫吸着法)の全段階を、より低額の総材料費で忠実に再現している。我々はルワンダで、地元採集した数百のヒト検体に対してこの「mChip」検査法を実施した。mChipは、未処理の全血をわずか1 μl使うだけでHIVの診断に優れた成績を示し、HIVと梅毒の診断を同時に、参照用の卓上検査法のものに匹敵する感度および特異性で行うことができる。現行の大半の高速検査法とは異なり、mChip検査では診断用シグナルのユーザーによる解釈は必要ない。まとめると、我々の実証したこの統合戦略は、
マイクロ流体力学とナノ粒子を用いることで、研究室で使われる複雑な検査装置を小型化しており、僻地での感染症のPOC診断および早期発見を可能にするものだ。

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