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エイズ:スーティーマンガベイのセントラル記憶CD4+ T細胞で見られる低いSIV感染レベルは限定的なCCR5発現と関連している

Nature Medicine 17, 7 doi: 10.1038/nm.2395

サル免疫不全ウイルス(SIV)に自然感染しているスーティーマンガベイは、ウイルス複製レベルが高いにもかかわらず、AIDSには進行しない。以前に我々は、スーティーマンガベイではヒトやマカクザルに比べてCD4+CCR5+ T細胞の割合が低いことを明らかにした。本論文では、スーティーマンガベイCD4+ T細胞はin vitroでの刺激後にCCR5発現が上昇しないこと、そしてこの現象がCD4+セントラル記憶T細胞(TCM細胞)で特に顕著であることを報告する。スーティーマンガベイでは、急性SIV感染および抗体によるCD4+ T細胞除去後の恒常的増殖の間に起こるin vivoでのCD4+ T細胞活性化も同様に、CCR5の発現とは関連していなかった。スーティーマンガベイのCCR5の発現量が低いTCM細胞は、アカゲザルのTCM細胞に比べてin vivoおよびin vitroの両方でSIV感染に対する感受性が低かった。これらのデータは、スーティーマンガベイのCD4+ T細胞上での低いCCR5発現が、CD4+ T細胞恒常性維持に有利に働き、またウイルスの直接感染からCD4+ TCM細胞を守ることによってエイズ未発症状態を進めることを示唆している。

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