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代謝:視床下部におけるAMPKおよび脂肪酸代謝は、エネルギーバランスの甲状腺による調節を仲介する

Nature Medicine 16, 9 doi: 10.1038/nm.2207

甲状腺ホルモンは広範な細胞作用をもつが、その中枢神経系(CNS)に対する作用が全身のエネルギーバランスに影響するかどうかは不明である。今回我々は、全身の甲状腺機能亢進あるいはトリヨードチロニン(T3)の中枢投与が視床下部のAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)活性を低下させ、交感神経系(SNS)活性を増強し、褐色脂肪組織(BAT)の発熱マーカー発現を増加させることを示す。視床下部腹内側核(VMH)の脂質生成経路の阻害は、甲状腺ホルモンによるCNS介在性BAT活性化を障害し、甲状腺機能亢進に伴う体重減少を回復する。同様に、VMHの甲状腺ホルモン受容体の阻害は、甲状腺機能亢進に伴う体重減少を回復する。甲状腺機能正常ラットのVMHでのAMPKの遺伝的阻害は食餌非依存性体重減少をもたらし、BATでの発熱マーカーの発現を増加させるので、この調節機構はAMPK不活性化に依存している。これらの影響はSNSの薬理学的遮断により元に戻る。したがって、視床下部におけるAMPK活性と脂質代謝の甲状腺ホルモン誘導性変化は全身のエネルギー恒常性の主要な調節因子である。

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