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がん:がんにおける脂質蓄積と樹状細胞の機能不全

Nature Medicine 16, 8 doi: 10.1038/nm.2172

樹状細胞(DC)はプロフェッショナル抗原提示細胞の1つで免疫応答の開始と維持にかかわっている。本論文では、坦がんマウスやがん患者のDCのかなりの部分が、がんをもたないマウスや健康者のDCに比べてトリグリセリド含量が高いことを報告する。我々のデータでは、DCへの脂質蓄積がスカべンジャー受容体Aの発現亢進による細胞外脂質の取り込み増加によって起こることが示された。脂質含量の高いDCは、同種T細胞の刺激や腫瘍関連抗原の提示を実際上行うことができなかった。脂質含量の高いDCと正常のDCは、主要組織適合抗原遺伝子複合体や共刺激分子の発現に差異はなかった。しかし脂質保有DCは抗原処理能力が低下していた。アセチルCoA カルボキシラーゼ阻害物質によりDCの脂質含有量を薬理学的に正常化するとDC機能が回復し、がんワクチンの有効性が著しく高まった。これらの知見から、がんにおける免疫応答はDCに含まれる脂質量の操作により改善できると考えられる。

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