Technical Report

免疫:無細胞系の還元主義的な主要組織適合性複合体クラスII抗原プロセシングシステムで免疫優性エピトープを同定する

Nature Medicine 16, 11 doi: 10.1038/nm.2248

免疫優性とは、複雑な抗原に由来する少数の選ばれたエピトープに対するT細胞の限定的な応答性のことである。CD4+ T細胞エピトープを解明するために現在用いられている戦略は十分な成果を上げていない。我々は、ヘルパーT細胞に関するエピトープ選択の仕組みを解明するため、決められたタンパク質(ヒト白血球抗原-DR1[HLA-DR1]、HLA-DMおよびカテプシン)を成分とする無細胞系の抗原プロセシングシステムを確立した。この還元主義的システムによって、インフルエンザウイルス(A/Texas/1/77)由来血球凝集素-1(HA1)とII型コラーゲン(CII)という2つのモデル抗原の生理的に選択された免疫優性エピトープを同定することができた。このシステムを、熱帯熱マラリアの組換え肝臓ステージ抗原(LSA-NRC)由来や、H5N1インフルエンザ(鳥インフルエンザ)ウイルス由来HA1の新しいエピトープ同定に適用したところ、各タンパク質由来の単一エピトープが選別された。これらのエピトープは、H5N1で免疫したHLA-DR1トランスジェニックマウスやLSA-NRCを接種したHLA-DR1陽性ヒト被験者から採取したCD4+ T細胞に対する活性化能によって、免疫優性であることが実証された。したがってこのシステムは、生理的な抗原由来ヘルパーT細胞エピトープを同定するための新しい手段となる。

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