Between Bedside and Bench

微生物と免疫の迷宮の中で

Nature Medicine 16, 11 doi: 10.1038/jmedicine1611_4

クローン病では、腸内微生物叢が腸壁の免疫損傷を誘導することも改善することもあるため、相互作用の作り出す迷路を解き明かして治療に使えるようにするのは非常に難しい。これらの微生物の「居候」が悪役と味方のどちらになるかには、まだ議論の余地がある。BENCH TO BEDSIDEではW Stroberが、特定の腸内微生物がクローン病再発を防ぐ調節的応答が高まる方向へ状況をシフトさせて防御的役割を果たすことを示したマウスでの研究を取り上げている。BEDSIDE TO BENCHではT T MacDonaldが、可溶性の炎症誘発性サイトカインの阻害という戦略を用いたヒトでの研究が、動物モデルでは効果を裏付ける確かなデータが得られていたにもかかわらず、可溶性サイトカインを中和するが炎症性細胞の激減ももたらす方法と比べて、期待はずれの結果に終わったことの原因を検証し、単一の可溶性サイトカインを標的にすることが、クローン病患者の治療にそもそも有用なのかどうかを疑っている。

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