Technical Report

生物工学:光制御によるin vivoでの運動単位の順序正しい動員

Nature Medicine 16, 10 doi: 10.1038/nm.2228

筋肉制御を目的とする電気的刺激の欠点の1つは、最低強度の電気的カフ刺激によって、大きくて疲労しやすい運動単位が小さい運動単位よりも前に選択的に動員されることである。この現象は、正常で生理学的な(順序正しい)動員パターンとまるで逆なので、治療への応用は制限されてしまう。そのため、運動単位の順序正しい動員を達成する方法は、生理学や医学、工学の分野で長年探求されている目標の1つとなっている。本論文では、in vivoで運動単位を確実に順序正しく動員するための技術を実証する。微生物のオプシンを用いた光制御下では、伝導待ち時間、収縮・弛緩の時間、刺激閾値、疲労など、運動単位動員の複数の独立した測定値によって示されたように、運動単位の動員が生理的な順序で進んだ。その結果、in vivoでの運動能力増進と疲労減退がみられた。これらの知見は、予想外の新しい神経制御モダリティーの存在を示しており、このことは神経系および神経筋の生理学から疾患研究、治療法の革新まで幅広く関係してくる。

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