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免疫:顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子とインターロイキン15のfusokineは免疫抑制性をもつ調節性B細胞集団を誘導する

Nature Medicine 15, 9 doi: 10.1038/nm.2003

我々は以前に、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)とインターロイキン15(IL-15)の「fusokine」(GIFT15)がリンパ系および骨髄系細胞上のIL-15受容体を介する通常とは異なるシグナル伝達によって免疫抑制効果を発揮することを明らかにした。本論文では、マウス脾臓細胞のex vivoでのGIFT15処理によって、B細胞系統の抑制性調節性細胞(以下、GIFT15 Breg細胞と呼ぶ)が生じることを示す。GIFT15 Breg細胞は、CD19+ B細胞から生じて、主要組織適合複合体クラスI(MHCI)およびMHCII、細胞表面のIgMおよびIgDを発現し、IL-10を分泌しており、以前に報告されているB10およびT2-MZP Breg細胞と類似しているが、転写因子PAX5の発現を欠き、それと同時にCD138の発現が上昇して、CD19発現は逆に低下している。実験的自己免疫性脳脊髄炎マウスで、GIFT15 Breg細胞の静脈注入を行うと、神経炎症抑制と並行して、完全寛解が起こった。この臨床効果は、B細胞を欠くmμ MTマウス、MHCIIノックアウトマウス、STAT-6(signal transducer and activator of transcription-6)ノックアウトマウス、IL-10ノックアウトマウス、あるいは同種異系脾臓細胞に由来するGIFT15Breg細胞の場合にはみられなかった。これは、観察された治療効果に、同系B細胞のMHCIIとIL-10が重要な役割をもつことと一致している。自己由来GIFT15Breg細胞は自己免疫性疾患の新たな治療法となると考えられる。

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