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肝疾患:TLR4はTGF-βシグナル伝達と肝繊維症を促進する

Nature Medicine 13, 11 doi: 10.1038/nm1663

肝臓の損傷は腸関門の不全と細菌産物への肝臓の暴露度の上昇をともなう。本論文では、肝臓の繊維化には腸内細菌叢と機能を持つToll様受容体4(TLR4)が必要であるが、TLR2は必要でないことを報告する。Tlr4キメラマウスとin vivoでのリポ多糖類(LPS)投与により、肝臓の筋繊維芽細胞の主要な前駆細胞である非活性型肝臓星細胞(HSC)が、TLR4リガンドが繊維化を促進する際の主要な標的であることがわかった。非活性型HSCでは、TLR4の活性化はケモカインの分泌を増加し、クッパー細胞の走化性を誘導するだけでなく、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-β偽受容体Bambiの発現を低減して、HSCをTGF-β誘導性シグナル感受性にし、クッパー細胞による制限のない活性化をもたらす。LPSが誘導するBambi発現抑制とTGF-βに対する感作はMyd88-NF-κB依存性経路を介して起こる。したがって、Myd88欠損マウスでは肝繊維症が減少する。TLR4-Myd88-NF-κB軸によるTGF-βシグナル伝達の修飾は、炎症惹起シグナルと繊維化惹起シグナルをつなぐ新規のメカニズムである。

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