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発癌:STAT5AはチロシンキナーゼNPM1-ALKによってエピジェネティックに抑制され、NPM1-ALK発現を逆に阻害することで腫瘍抑制因子として作用する

Nature Medicine 13, 11 doi: 10.1038/nm1659

STAT5AおよびSTAT5Bは、複数の重複しない機能的特性を持つが、発癌に対するそれぞれの寄与ははっきりしていない。本論文では、発癌性チロシンキナーゼNPM1-ALK(NPM-ALKとも呼ばれる)を発現する細胞中では、STAT5A遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化によって、STAT5A発現が選択的に阻害されることを報告する。このDNAメチル化は、NPM1-ALK自体によってSTAT3を介して誘導され、MeCP2キャップ形成タンパク質をコードする遺伝子のプロモーターへの結合、およびSTAT5A遺伝子の転写活性化因子SP1が結合しなくなることと関連する。DNAメチル基転移酵素阻害剤5′-アザ-2′-デオキシシチジンでメチル化を解消すると、SP1の結合およびSTAT5A遺伝子の発現が回復する。また、誘導されたかあるいは外因的に発現されたSTAT5Aタンパク質は、NPM1-ALK遺伝子のエンハンサーおよびイントロン14 に結合してNPM1-ALKの発現の選択的な抑制を引き起こす。これらの結果は、NPM1-ALKがSTAT5A遺伝子のエピジェネティックなサイレンシングを引き起こすこと、またSTAT5Aタンパク質がNPM1-ALKの発現を逆に阻害することにより重要な腫瘍抑制因子として作用している可能性を示している。

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