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癌:マスト細胞はMyc誘発性膵島腫瘍での血管新生と肉眼レベルの増殖に必要とされる

Nature Medicine 13, 10 doi: 10.1038/nm1649

炎症と癌との間の関連はずっと以前から認められているが、この2つを結びつける因果関係は明らかになっていない。Mycはヒト癌の多くで過剰発現している多面的な転写因子で、腫瘍間質の構造変化や血管新生などの腫瘍組織表現型の細胞外部分の多くを指令している。本論文では、β細胞腫瘍モデルでは、in vivoでのMycの活性化が腫瘍部位へのマスト細胞の迅速な動員を引き起こすことを示す。腫瘍の肉眼レベルの増殖にはこの細胞の動員が不可欠である。さらに、確立したβ細胞腫瘍にマスト細胞阻害剤を投与すると、腫瘍細胞や内皮細胞で速やかに低酸素状態および細胞死が引き起こされる。したがって、マスト細胞機能の阻害剤は、膵臓などの癌の増殖・生存を抑制する治療に有用である可能性がある。

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