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微生物:大規模な関連解析からヒトの腸マイクロバイオーム組成に影響を及ぼす宿主要因が明らかになる

Nature Genetics 53, 2 doi: 10.1038/s41588-020-00763-1

MiBioGenコンソーシアムは、宿主の遺伝的性質が腸のマイクロバイオーム組成に及ぼす影響を研究するために、1万8340人(24コホート)のゲノム規模の遺伝子型と16S糞便マイクロバイオームデータのキュレーションおよび解析を行った。微生物組成にはコホート間で大きなばらつきが見られ、試料の95%以上で検出されたのは、410属のうちの9属のみであった。宿主の微生物分類群に関する遺伝的バリアントのゲノムワイド関連解析から、ゲノム規模の有意水準の(P ≺ 5 × 10−8)閾値でマイクロバイオームに影響を及ぼす31の座位が特定された。そのうちの1つであるラクターゼ(LCT)座位は、研究規模の有意水準に達し(ゲノムワイド関連解析シグナル:P = 1.28 × 10−20)、年齢依存的にビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)細菌の存在量と関連を示した。他の関連が示唆される座位(1.95 × 10−10P ≺ 5 × 10−8)は、高い遺伝率を示す分類群に関連があり、また腸および脳に発現する遺伝子が濃縮されていた。フェノームワイド関連解析とメンデル無作為化からは、代謝、栄養、環境の領域へのマイクロバイオーム形質座位の濃縮が特定されるとともに、マイクロバイオームが潰瘍性大腸炎や関節リウマチへの因果的効果を及ぼす可能性が示唆された。

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