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鼻副鼻腔炎:ALOX15の機能喪失バリアントは鼻ポリープおよび慢性鼻副鼻腔炎に対して保護的に作用する

Nature Genetics 51, 2 doi: 10.1038/s41588-018-0314-6

鼻ポリープ(NP)は鼻副鼻腔粘膜上の病変であり、慢性鼻副鼻腔炎(CRS)のリスク因子である。本研究では、アイスランドと英国(英国バイオバンクのデータを利用)のNP症例4366例、CRS症例5608例、および対照70万例以上について、NPとCRSに関するゲノムワイド関連解析を実施した。NPに関連する10のマーカーと、CRSに関連する2つのマーカーが見つかった。また、好酸球数との関連が報告されている210のマーカーを試験することで、NPに関連する17のマーカーがさらに発見された。27のNP関連シグナルのうち、7つはCRSと、13は喘息との関連を有していた。中でも注目に値するのは、アラキドン酸15-リポキシゲナーゼ(15-LO)のp.Thr560Met変異を引き起こすALOX15のミスセンスバリアントである。このバリアントはゲノムレベルで有意に大きい保護的効果を、NP(P = 8.0 × 10−27、オッズ比 = 0.32、95%信頼区間 = 0.26、0.39)、およびCRS(P = 1.1 × 10−8、オッズ比 = 0.64、95%信頼区間 = 0.55、0.75)に対して有していた。ヨーロッパ人のおよそ20人に1人が持つp.Thr560Met変異は、15-LOの酵素活性をほぼ完全に喪失させることが以前に報告されている。本研究の結果から、15-LOがNPやCRSに対する治療的介入の標的候補であることが明らかとなった。

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