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疾患リスク:ありふれた疾患のゲノムワイド多遺伝子スコアによる、単一遺伝子変異と同等のリスクを持つ被験者の同定

Nature Genetics 50, 9 doi: 10.1038/s41588-018-0183-z

ある疾患に高いリスクを持つ被験者を同定してスクリーニングの強化や予防療法を可能にすることは、公衆衛生上の重要なニーズである。ありふれた疾患の多くは遺伝的要素を有するため、DNAの違いに基づいて被験者を層別化することが、重要な1つのアプローチとなる。臨床適用のためにこれまで提案されてきた手段の多くは、リスクを数倍に増加させるような希少な単一遺伝子変異の持ち主を発見することを目的としている。しかし、大部分の疾患のリスクは多遺伝子性であり、単一遺伝子変異に匹敵するようなリスクを持つ被験者を、多遺伝子予測因子を用いて同定することはまだ可能となっていない。本研究では、5つのありふれた疾患を対象に、ゲノムワイド多遺伝子スコアを開発して検証を行った。このアプローチにより、冠動脈疾患、心房細動、2型糖尿病、炎症性腸疾患、乳がんについて、3倍以上高いリスクを有する被験者が集団のそれぞれ8.0、6.1、3.5、3.2、1.5%を占めることが明らかになった。冠動脈疾患の場合、この値は、同等のリスクを与える希少な単一遺伝子変異の保有者の頻度よりも20倍高い。我々は、今こそ多遺伝子スコアに基づくリスク予測を臨床診療に組み入れることを検討し、関連する諸問題についての議論を進めることを提案する。

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