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アルドステロン症:塩素チャネル遺伝子CLCN2の機能獲得変異は原発性アルドステロン症の原因となる

Nature Genetics 50, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0053-8

原発性アルドステロン症は、二次性動脈性高血圧症の最もよく見られる治癒可能な病型である。今回、診断時9歳であった早期発症型原発性アルドステロン症患者の全エキソーム塩基配列決定を行い、電位依存性ClC-2塩素チャネルをコードしているCLCN2de novoのヘテロ接合性変異c.71G>A/p.Gly24Aspを同定した。マウス副腎スライス切片の糸球体細胞の電位をパッチクランプ法で測定したところ、過分極活性化型の塩素イオン(Cl)電流が、Clcn2−/−マウスでは消失していることが明らかになった。p.Gly24Aspバリアントは、種間保存性が高い「不活性化ドメイン」に位置している。このバリアントによって、ClC-2の電位および時間依存性のゲート閉門が損なわれ、静止膜電位における塩素イオンのコンダクタンスが大幅に増大した。ClC-2Asp24変異型タンパク質を副腎皮質細胞で発現させると、アルドステロン合成酵素の発現ならびにアルドステロン産生が亢進した。今回のデータは、CLCN2変異が原発性アルドステロン症を引き起こすことを示している。そして、アルドステロンの生合成において塩素イオンが果たす重要な役割に光を当て、ClC-2が静止状態にある糸球体細胞の主要な塩素イオンコンダクター(電導体)であることを明らかにしている。

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