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複製エラーとがん:複製エラー修復遺伝子の遺伝性変異と体細胞変異が組み合わさると超高頻度変異がんの急速な発生が起こる

Nature Genetics 47, 3 doi: 10.1038/ng.3202

DNA複製に伴う変異は、ポリメラーゼによる校正およびミスマッチ修復という2つの過程によって修復される。ヒトにおけるこれらの両修復過程を破壊する変異の結果はあまり研究されていない。我々は、遺伝性の二対立遺伝子ミスマッチ修復不全(bMMRD)の小児のがんゲノムを塩基配列決定した。bMMRDの高悪性度脳腫瘍には膨大な数の置換変異(>250個/Mb)が見られ、これはすべての小児がんおよびほとんどのがんよりも多かった(解析試料>7000)。すべての超高頻度変異(ultra-hypermutated)のbMMRDがんは、DNAポリメラーゼεあるいはδにがん発生の早期に体細胞ドライバー変異を獲得していた。その後の変異シグネチャーや変異数は独特であるので、小児期の生殖細胞系列bMMRDの診断に用いることができる(P< 10−13)。経時的な腫瘍生検解析から、bMMRD/ポリメラーゼ変異がんは、同時に過度の変異(1回の細胞分裂あたり~600個の変異)を蓄積するが、6か月未満で~2万個を超えるエキソン内変異を蓄積するには至らない。これは変異があってもがん細胞が生存できる閾値を示している。本研究は、複製時に修復が行われないと、急速に多数の変異が生じて、がんが進展する新しい機構を示唆している。

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