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神経鞘腫瘍:PRC2は悪性末梢神経鞘腫瘍においてEEDあるいはSUZ12の欠損により高頻度に不活性化される

Nature Genetics 46, 11 doi: 10.1038/ng.3095

悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)は、進行性軟部組織肉腫の代表的なものであり、孤発性、神経繊維腫症I型に合併して(NF1合併)、あるいは放射線療法後に生じる可能性がある。包括的なゲノムアプローチを用いて、孤発性MPNSTの92%、NF1合併MPNSTの70%、放射線療法関連MPNSTの90%に、ポリコーム抑制複合体2(PRC2)の構成要素(EEDあるいはSUZ12)の機能喪失性体細胞変化を同定した。PRC2の機能喪失を伴うMPNSTは、ヒストンH3の27番目のリシンのトリメチル化(H3K27me3)の完全な喪失、およびPRC2によって抑制される多数のホメオボックスマスター調節因子とその調節を受ける発生経路の転写活性化異常を示した。PRC2機能を喪失しているMPNST細胞株に、欠損しているPRC2構成要素を導入すると、H3K27me3レベルの回復および細胞増殖の低下が引き起こされた。さらに我々は、CDKN2A(全MPNSTの81%)およびNF1(非NF1合併MPNSTの72%)に頻発する体細胞変化を明らかにした。また、この両方の変化がPRC2構成要素の変化と有意に共存している。PRC2構成要素、NF1およびCDKN2Aの高頻度かつ特異的な不活性化は、MPNSTの発症機序において、これらの因子が重要かつ協調的な役割を担っている可能性を浮き彫りにしている。

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