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インプリンティング:コード領域をもたないH19 RNAとH19-IGF2インプリンティング機構はヒトと獣で保存されている

Nature Genetics 40, 8 doi: 10.1038/ng.168

真獣類と有袋類を比較すると哺乳類でのゲノムインプリンティングを行っている分子機構はある程度保存されていることが示唆される。この論文では、真獣類における、インプリンティングを受けたIGF2-H19遺伝子座の進化を検討した。タンパク質をコードしているエキソンに対応する有袋類の遺伝子(オーソログ)はそれぞれ容易に見つけることができたが、コード領域をもたないH19 RNAの候補配列を得るには、進化的に保存された領域を使って、低い厳密さでBl2seqの比較を行わねばならなかった。ヒトと獣の間で対応するH19遺伝子には、miR-675とエキソン構造の保存がみられ、両方について機能上の選択が行われたことが示された。転写開始部位の配列とpoly(A)シグナルも保存されていた。真獣類と同様に有袋類のH19遺伝子は母親側で発現し、父親側での遺伝子上流域でのメチル化は雄の生殖系列に始まり、CTCFインシュレーターをまたいで、体細胞のH19遺伝子にまで広がっている。すべての真獣類でIGF2-H19遺伝子座のインプリンティングを行っている機構が保存されていることから、インプリンティングの進化は連続的に起こったとするモデルが示唆される。

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