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ミオパチー:アンフィフィシン2(BIN1)の突然変異はダイナミン2との相互作用を妨げ、常染色体劣性中心核ミオパチーの原因となる

Nature Genetics 39, 9 doi: 10.1038/ng2086

中心核ミオパチーは、筋力低下と、筋繊維における核の細胞中心への異常な局在を特徴とする。この局在は、筋の再生のために二次的に生じたものではない。新生児でみられる重篤なX連鎖型疾患(筋小管性(ミオチューブラー)ミオパチー)はイノシトールリン脂質(ホスホイノシチド)脱リン酸酵素ミオチューブラリン(MTM1)の突然変異により発症するが、一部の常染色体優性疾患の場合にはダイナミン2(DNM2)の突然変異が見いだされていた。本論文では、有力な機能遺伝子の塩基配列決定を実際に行うことで、常染色体劣性遺伝がみられる3家系において、アンフィフィシン2(amphiphysin、BIN1)のホモ接合性突然変異を同定した。アンフィフィシンのBAR(Bin1/amphiphysin/RVS167)ドメインに影響を及ぼす2つのミスセンス突然変異によって形質転換された細胞では、アンフィフィシンの機能である膜の管状小構造(細管)を形成する性質が損なわれていた。さらに、C末端SH3ドメインを欠いた部分的短縮型アンフィフィシンの場合には、DNM2との相互作用およびDNM2の膜細管への動員が起こらなかった。本研究成果は、BIN1の突然変異によって、筋肉のT管ないしはエンドサイトーシスによる膜のリモデリング(再編成)が妨害されることにより、中心核ミオパチーが発症すること、そしてBIN1とDNM2の機能的な相互作用が、筋が正常に機能し、その細胞核が正常に位置するために不可欠であることを示唆するものである。

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