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アミラーゼ遺伝子の進化:食習慣とヒトのアミラーゼ遺伝子のコピー数変異の漸進的変化

Nature Genetics 39, 10 doi: 10.1038/ng2123

デンプンの消費は、乾燥した環境における農耕民族と狩猟採集民族にみられる顕著な特徴である。それに対して、熱帯雨林や北極圏周辺の狩猟採集民族や一部の牧畜民族ははるかに少ない量のデンプンを消費する。こうした食行動の相違から、異なる選択圧がデンプンの加水分解を担う酵素であるアミラーゼに働いていた可能性が浮上した。今回、唾液アミラーゼ遺伝子(AMY1)のコピー数が唾液アミラーゼのタンパク質レベルと正の相関を示すこと、また、デンプンを多くとる食習慣をもつ集団に属する個体は平均して、伝統的にデンプンをあまりとらない集団の個体よりもAMY1のコピー数が大きいことを見つけた。これらの集団のサブセットでその他の遺伝子座と比較したところ、AMY1のコピー数の差異の程度は並外れて大きいことが示唆された。この例のようなコピー数が変動する遺伝子に対する正の選択は、知られている限り、ヒトのゲノムで最初に発見されたものの1つである。AMY1のコピー数が大きく当該タンパク質量が多くなると、デンプンを含む食物の消化がおそらく改善し、消化管疾患による適応度を低下させる効果を和らげるのではないかと考えられる。

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