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海洋生物に忍び寄る放射能汚染
損傷した福島第一原子力発電所から海への放射性物質の流出が続いている。生態系への影響を見極めるには、できるだけ早い時期に広い範囲で海洋調査を実施する必要があるだろう。
チェルノブイリの遺産
チェルノブイリ原子力発電所の事故から25年。現地では今もなお除染作業が続いているが、健康被害の研究は十分とは言いがたい状況にある。日本はチェルノブイリから何を学ぶことができるだろう?
始祖鳥の化石発見から150年、鳥類は恐竜から進化したと考えられてきた。しかし100%認められていたわけではない。発生学によれば、恐竜の前肢の3本指と、鳥類の翼部分にある前肢3本指とは、それぞれ由来が異なるように見えるからだ。親指から1-2-3番目が残ったのが恐竜で、鳥類では2-3-4番目が残ったように見える。ところが今回、東北大学大学院の田村宏治教授らが、ニワトリの発生過程でZPA細胞との相対位置を詳しく追跡し、間違いなく1-2-3指であることを確認した。こうして鳥類の進化論争についに終止符が打たれた。
損傷した福島第一原子力発電所から海への放射性物質の流出が続いている。生態系への影響を見極めるには、できるだけ早い時期に広い範囲で海洋調査を実施する必要があるだろう。
チェルノブイリ原子力発電所の事故から25年。現地では今もなお除染作業が続いているが、健康被害の研究は十分とは言いがたい状況にある。日本はチェルノブイリから何を学ぶことができるだろう?
今のところ、日本の科学者には、研究基盤の再建よりも優先させるべき課題がある。しかし、実際に再建が始まるときには、海外の研究コミュニティーからの支援が必要となる。
150年前、スコットランドの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルは物理学の世界を塗り替えた。異なる力の統一という偉業とコンセプトは、今も生き続けている。
ものを見た瞬間、私たち人間は、温かさ、冷たさ、滑らかさ、新しさ、感触といった素材が醸し出す「質感」を感じ取り、ほかと識別する。このような質感は、芸術分野などでは古くから表現されてきたが、科学の光を当て、質感を認識する人間の情報処理の仕組みを解明し、新たな素材開発などにつなげようという試みが始まっている。
未成熟なマウスの精巣組織を培養して、成熟精子の形成に成功した。
日本が世界に誇る、地震予知システム、緊急地震速報、津波防波堤。だが、いずれも3月11日の東日本大震災には対応できなかった。
社会科学者が優先的に取り組むべき10大問題のリストが提案された。
米国オバマ政権の2012年度予算案は科学研究の推進をうたっているのだが、物理学者にとって苦い薬がいくつか隠されている。
遺伝データが日常的に解析される時代に備えて、どのゲノム組み立てプログラムが優れているか、比較コンテストが始まった。
1946年3月。まだ寒さの残る英国で、ある1週間に生まれた赤ちゃん数千人の追跡調査が開始された。そして2011年、赤ちゃんたちは65歳の誕生日を迎えた。これほど大規模なコホート調査(同一集団統計調査)は類を見ず、その科学的価値は計り知れない。
タンパク質が機能するには構造が必要だ、というのが現代生物学の1つのドグマである。しかし、構造を持たない不規則な状態で存在するタンパク質が、これほどまで多いのはなぜなのか。
鳥類が恐竜の子孫、と言い切るには、解決しなくてはならない問題が横たわっていた。生き物の形が、どのように作られていくのかを探っている発生学者、田村宏治教授(東北大学)が、その難問を解いた。ニワトリの指の発生を調べていくうちに、大昔に生きた恐竜と現在の鳥類とのつながりが、はっきりと見えてきたのだ。
試験管内で複雑な器官を作り出すことは、再生医療に課せられた大きな難題の1つである。これは今や不可能なことではない。ES細胞から全く人工的に網膜を形成できたのだ。
赤色巨星を輝かせているエネルギー源は何なのか。その重要な手がかりは赤色巨星の明るさの脈動から得ることができる。米航空宇宙局(NASA)が打ち上げたケプラー宇宙望遠鏡による赤色巨星の明るさの観測で、星の進化を記述する理論の予測が正しいのかを調べることが可能になってきた。
Nature 2011年4/7〜4/28号のハイライトを掲載しています。
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ぜひご覧ください。
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基本的には化学系の学生といえど、元々科学(サイエンス)が好きな子ばかりであると思うので、若い学生ほどよく読んでいる気がします。
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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778