2024年11月号Volume 21 Number 11
人間が耐えられる暑さの限界
人間が耐えられる暑さの限界は、これまで考えられてきたよりも低いようだ。研究者たちは、地球温暖化による猛暑が深刻化する中、暑熱環境下での健康リスクの軽減を目指し、人間が耐えられる暑さの限界や効果的な冷却方法を調べている。
Editorial
Research Highlights
リサーチハイライト
「ピラミッドの建設に水圧を利用した装置が使われていた痕跡」「スケートボーダーが加速するための最適な姿勢」「バラの香りはどこから?」「ホタルの発光を変化させて獲物をおびき寄せるクモ」、他。
News in Focus
タイで初期のティラノサウルス類の歯を発見
ジュラ紀の東南アジアにティラノサウルス類が存在したことを示す最初の証拠に、古生物学界が沸き立っている。
人間はどこまでの暑さに耐えられるのか
人間が耐えられる暑さの限界は、これまで考えられてきたよりも低いようだ。最新式の気候チャンバーを使って、暑熱環境が生命を脅かす限界を探る研究が進んでいる。
あなたの論文がAIモデルの訓練に使われているかも
人工知能を開発するテック企業が、研究論文を含む貴重なデータセットへのアクセス権を購入しており、著作権を巡る疑問も生じている。
「第2期トランプ政権」から米国の科学を守るために闘う労組
米国連邦政府の科学者を政治的干渉から保護するための闘いに、労働組合も参加している。
AI生成データで訓練したAIモデルは急速に崩壊する
大規模言語モデルの訓練において、前世代のモデルが生成したデータを用いて次世代のモデルを訓練することを繰り返すと、急速に崩壊してしまうことが示された。
Features
妊娠は脳をどのように変化させるか
妊娠は脳を大きく変化させる。神経科学分野では、この時期が長年にわたって軽視されてきたが、近年、そんな状況が変わりつつある。
血液検査でアルツハイマー病を予測
アルツハイマー病のリスクを示すバイオマーカーが次々に見つかっている。
Japanese Author
Free access
大腸菌由来の「DNAを組換える転移因子」を発見
東京大学先端科学技術研究センターの西増弘志教授らは、「IS110ファミリー」の転移因子を解析し、これらがRNAを用いてDNAを組換える特殊なタイプのものであることを見いだした1,2。将来的にこのシステムを応用することで、人工的に「ターゲットDNAの塩基配列」を変更でき、一度に数万塩基対をゲノム編集できるようになるかもしれない。
News & Views
細胞質へ飛び出すミトコンドリア内膜
細胞小器官のミトコンドリアは、内膜の損傷部分を、どのように除去して、細胞質でリサイクルしているのだろうか?今回、細胞質へとミトコンドリア内膜が飛び出す「出口」が発見され、答えの一端が示された。
最古の星団を発見?
宇宙がわずか4億6000万歳だった時に存在した星団が観測で見つかったらしい。もしもこの年代決定が正確であれば、この発見は最初の星がいつどのように形成されたかについての貴重な手掛かりを与える。
化学結合を切断する型破りな方法
化学結合を切断する新しい手法が報告された。この手法は、熱と光のエネルギーを組み合わせて、これまで利用できなかった化学反応を駆動する可能性があり、これによってまだ作られていない化合物への合成ルートが開かれるかもしれない。
Advances
毒をもって毒を学ぶ
侵入ヒキガエルの毒を避けるようトカゲに教える意外なレッスン。
Where I Work
Jakub Cech
Jakub Cechは、プラハ(チェコ)在住の起業家。
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