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2018年10月号

News & Views: マヨラナ粒子の証拠を観測

マヨラナフェルミオンと呼ばれるエキゾチックな粒子は、量子計算に応用できる可能性があるが、その存在はまだ決定的な形で確かめられていない。今回、2つの研究グループが、マヨラナフェルミオンと考えられる実験結果を得た。

News & Views: アクチンタンパク質は核内でゲノムを守る

重合したアクチンは、モータータンパク質と共に核内のDNA損傷部位に集合して、DNAの可動性と修復を助けていることが明らかになった。この知見は、ゲノム完全性の保持を支える調節機構に新たな階層があることを示している。

News & Views: 古いヒト族のアジア到達を示す石器

約210万年前の石器が中国で発掘された。この証拠により、アフリカ外のヒト族種のものであることが確認されている最古の痕跡の年代が、さらにさかのぼることになった。

2018年9月号

News & Views: GPCRシグナル伝達の複雑な話

Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、さまざまなタイプのGタンパク質を活性化して、多様なシグナル伝達経路を開始させる。このほど4種類の抑制性Gタンパク質とGPCRの複合体の構造が解かれ、GPCRにおける選択性に関する手掛かりが得られた。

News & Views: 離れた所の変性が酵素の低温適応を助ける

酵素の活性部位から離れた所のアミノ酸を変化させて局所的な変性を引き起こすと、酵素活性が高まる場合があることが報告された。低温環境に生息する生物が生化学的反応を加速できたのは、この調節機構のおかげかもしれない。

News & Views: 「宇宙のクモの巣」で見つかった行方不明の物質

宇宙にあるはずの通常の物質の半分近くが、実はどこにあるか分かっていない。今回、行方不明の通常の物質は、「宇宙のクモの巣」と呼ばれる大規模構造の、フィラメント状構造の中に隠れていることをX線観測結果が示唆した。

2018年8月号

News & Views: 酵母のゲノムシャッフリングがもたらす多様な未来

大幅に再設計された酵母ゲノムは、オンデマンドで大規模に再配列できるよう構築されている。今回、このゲノムシャッフリング系の汎用性ならびに生物工学用途への応用の可能性を示した一連の研究が報告された。

News & Views: フロン排出量が増加している

クロロフルオロカーボン(フロン)は、成層圏オゾン層を破壊した主要な化学物質であり、こうした化合物の使用を制限する国際規則がある。それにもかかわらず、排出量が再び増加していることが、観測によって明らかになった。

News & Views: 太古の鳥の頭蓋が明かす鳥類進化の道筋

鳥類が、祖先である恐竜の特徴を捨てて現在の特徴を進化させていた時代の、歯を持つ絶滅鳥類イクチオルニス。今回、この象徴的な化石鳥類の頭蓋が三次元でほぼ完全に復元され、恐竜から鳥類への移行の状況が明らかになった。

2018年7月号

News & Views: 脊椎動物のRNAウイルスの進化の軸

脊椎動物に感染するRNAウイルスがこのほど包括的に調査され、未知のウイルスが大量に発見された。その分析から、ウイルスは宿主の種を飛び越えられるが、数億年にわたって宿主と共進化してきたものが極めて多いことが分かった。

News & Views: 「顔認識」触媒でSN1反応がエナンチオ選択的に

平面状の反応中間体の片面の特徴だけを認識して作用し、単一の鏡像異性体のみを選択的に生成する触媒が開発された。注目すべきことに、この反応はこれまでこうした選択性を持たないとされてきた機構で進む。

News & Views: 銀河系の中心部に数千個のブラックホール?

銀河系の中心部の狭い領域に、恒星程度の質量のブラックホールを含んだ連星が12あることがX線観測で分かった。これは、この領域内に未発見のブラックホールが数千個あることを示唆し、銀河系の中心部にはブラックホールが集まっているはずだという恒星系力学の予測を支持する。

2018年6月号

News & Views: 協力を支えるのは単純な道徳律である

協力の進化は、頻繁に議論されているテーマだ。人々の行動が互いの評判によって左右されるモデルを評価した研究から、協力の進化を促進するには単純な道徳的規則で事足りることが示された。

News & Views: 機械学習で脳腫瘍を分類

脳腫瘍は腫瘍細胞の視覚的評価で分類されることが多いが、そのような診断法では観察者によって異なった結果が出ることがある。機械学習によって分子パターンを特定する方法で、がんの診断が改善されるかもしれない。

News & Views: ダイヤモンドで実現した室温連続放射メーザー

レーザーのマイクロ波版であるメーザーは、動作する環境が特殊であるか、通常の環境で動作するものは連続的に放射を出せないために用途が限られていた。今回、ダイヤモンドを使い、室温で連続放射するメーザーが開発された。

2018年5月号

News & Views: 圧力で誘起される化学反応

圧縮すると酸化還元反応を起こす分子が作製され、数々の実験と第一原理計算から、機械的な力で誘起される反応機構に関して待ち望まれていた原子レベルの知見が得られた。

News & Views: 再生能力の秘密を長文で読み解く

扁形動物プラナリアと、メキシコサンショウウオのゲノム塩基配列が解読、再構成された。これらの情報から、これらの2種の生物の驚くべき再生特性に関する知見が得られるだろう。

News & Views: 脈動オーロラの原因を解明

「脈動オーロラ」は、地球大気中で発生する見事な光のショーだが、この現象は宇宙空間で起こっているプロセスに直接関係している。数十年に及ぶ研究の末、今回、脈動オーロラを作り出す一連の現象全体が観測され、その仕組みが詳細に確認された。

News & Views: うつ病の下地「バースト発火」が起こる仕組み

脳の外側手綱核のニューロンが一斉に連続発火する「バースト発火」は、近隣のアストロサイトによって調節されることが突き止められた。この研究は、ケタミンの抗うつ作用の機序についても理解をもたらし、次世代抗うつ剤開発の助けになる可能性がある。

2018年4月号

News & Views: 2D半導体の横方向ヘテロ接合をワンポットで

原子レベルの薄さのシート状半導体を横方向に接合する簡便な方法が開発された。この方法は1つの反応器内で完結し、ガス環境を切り替えるだけで構造が制御可能で、多接合の横方向ヘテロ構造体も容易に作製できる。

News & Views: 最も遠いクエーサーを発見

クエーサーは、宇宙で最も明るい連続的な放射源だ。今回、これまでに見つかった中で最も遠いクエーサーが発見され、その測定から、初期宇宙の進化と構造を知る手掛かりが得られた。

News & Views: 難聴を防ぐ遺伝子編集技術への頌歌

聴力低下を引き起こす遺伝子変異を遺伝子編集で無効化する手法により、遺伝性難聴を防ぎ得ることがマウスで実証された。この技術は、ヒト難聴のうちのいくつかについて、治療の可能性を開くことになるだろうか。

2018年3月号

News & Views: 大気の微量成分からエネルギーを得る南極の微生物

低温で栄養素に乏しい南極の土壌に棲む微生物群集が、光合成ではなく微量ガスの酸化からエネルギーを獲得していることが、先進的なゲノム解析手法によって示唆された。

News & Views: 記憶T細胞の起源

以前に遭遇したことのある病原体から体を防御する「記憶T細胞」。この細胞の起源について論争が続いていたが、このほど、DNA修飾を長期間追跡した2つの研究によって、エフェクターT細胞から生じることが明らかになった。

News & Views: 大きさも量も大規模化したDNA自己集合

DNAは、自己集合によって目的の形状の物体を形成するよう設計することができる。しかし、形成できる物体のサイズと量は限られており、そのコストも高かった。今回、この問題を克服する方法が見いだされた。

2018年2月号

News & Views: T細胞は腫瘍細胞をどのように見つけ出すのか

免疫療法は、T細胞を再活性化して、腫瘍細胞を破壊する。このほど、腫瘍とT細胞の相互作用をモデル化することにより、特定の腫瘍細胞がT細胞の標的になる理由が示唆され、免疫療法の転帰の予測が改善された。

News & Views: よみがえる謎の超新星

当初はありふれた超新星爆発のように見えた事象が、その発見後600日以上も輝き続けた。この事象の特性は、現在の標準的な理論モデルでは説明できない。

News & Views: トランスジェニック幹細胞で皮膚を再建

不治の遺伝性皮膚疾患の患者に対し、遺伝子操作した幹細胞を用いた治療が実施された。その結果から、こうした細胞で皮膚をほぼ全て置き換える方法の有効性、実行可能性、安全性が実証された。

2018年1月号

News & Views: ハチを誘引するために花が編み出した「青色光の輪」の正体

さまざまな花の花弁にナノ構造の反復的なパターンがあり、そこには種を超えて同程度の不規則性が認められることが分かった。さらに、この「一定の不規則性」は、散乱光との作用で青色光の輪を生み出し、ハチを引き寄せる目印となっているようだ。

News & Views: 衛星を使った量子鍵配送と量子テレポーテーションに成功

量子通信は、古典的な通信方法に対して多くの利点を持つが、信号の伝送距離はこれまで数百kmが限界だった。今回、中国の2つの研究が人工衛星を使ってこの限界を破り、地球規模の量子通信ネットワークの実現に近づいた。

2017年12月号

News & Views: 次世代の細胞運命を決める記憶

娘細胞が増殖するか静止状態になるかは、母細胞から受け継いだ2つの分子で決まることが、生細胞イメージングで明らかになった。今回の知見によって、新しく生じた娘細胞の振る舞いが、その母細胞の状態によって決められる仕組みについての洞察がもたらされた。

News & Views: わずかなアンモニアを巡る微生物たちの戦い

アンモニアから亜硝酸への酸化と、亜硝酸から硝酸への酸化の両方を行うことができる細菌の純粋培養に、初めて成功した。意外にもこの細菌は、アンモニアから亜硝酸への酸化のみを行う多くの培養微生物よりも、アンモニアの乏しい環境によく適応しているようだ。

News & Views: ビタミンCが幹細胞とがんを調節する

ビタミンCは、腫瘍抑制タンパク質Tet2への結合を介して造血幹細胞の数と機能を調節し、白血病の発生に影響を及ぼすことが分かった。

2017年11月号

News & Views: 苦味と甘味の知覚に必要なガイダンス分子を発見

苦味や甘味などの味覚に関する情報は、それぞれの味覚に特異的な経路を介して、マウスの舌から脳へ伝達される。このたび、セマフォリンタンパク質がこれらの経路の配線を誘導していることが明らかになった。

News & Views: 系外惑星大気にオゾン層に似た層を発見

系外惑星の大気の性質が盛んに議論されている。ホットジュピターと呼ばれる系外惑星の熱スペクトルから、組成は不明だが、地球のオゾン層に似た層の存在が明らかになった。

2017年10月号

News & Views: 抗体はドーパミンを介して作られる

T細胞は、B細胞が抗体産生細胞へと分化するのを助ける。これにはドーパミンを使った細胞間のシグナル伝達が必要とされることが報告された。神経伝達物質であるドーパミンは、意外なことに免疫でも役割を持つことが分かった。

News & Views: 魚が流れを感じて危害を避ける仕組み

魚は、体の側面にある毛状のセンサーで水の運動を感知していると考えられている。魚がセンサーの情報からどのようにして水の流れの状況を把握し、流れに対する応答を決めているのかが、実験と計算機シミュレーションで明らかになった。

News & Views: T細胞の標的認識パターンを予測

T細胞受容体(TCR)は、通常は体内に存在しないペプチド分子に結合して免疫応答を開始できる。TCRが結合するペプチドを予測することは難しいとされてきたが、今回、TCRの標的抗原の予測に向けた筋道が見えてきた。

2017年9月号

News & Views: 1つのリングで90個のレーザーを代替

光ファイバーを使う高速通信システムは、通信容量を上げるために同時に数百個のレーザー光源を使っている。これらの多数のレーザー光源を、1つの環状の光素子で置き換えることができる方法が開発された。

News & Views: 揺れ動くイオン輸送酵素

ATPアーゼと呼ばれる膜貫通酵素が複雑な運動をすることは、これまでの結晶構造から分かっていた。このたび、この酵素の分子全体が膜の中でロッキングチェアーのように揺れ動くことが明らかになった。

News & Views: RNA反復配列は細胞を固めてしまう

細胞核にできる小滴様のRNA凝集塊は、特定の神経変性疾患に関連している。実験の結果、こうした凝集塊が細胞の中で「固まった」ゲルになることが分かった。RNA凝集塊が毒性を持つ原因をこれで説明できるかもしれない。

2017年8月号

News & Views: クエーサーは大質量銀河の目印

クエーサーと呼ばれる非常に明るい天体の近傍の調査は、初期宇宙ではこれまで不十分だった。アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を使って行われた観測で、初期宇宙のクエーサーの周辺には、初期宇宙で最も大質量の銀河たちの一部が存在していることが分かった。

News & Views: がん再発を早期探知できる液体生検

肺腫瘍の進化に関するゲノム情報が血液から得られることが実証され、がん再発の初期兆候の臨床モニタリングが可能なことが報告された。プレシジョン(高精度)医療への有望な一歩だ。

2017年7月号

News & Views: 子育て行動の遺伝学的基盤

ハイイロシロアシマウスとシカシロアシマウスの子育て行動は異なっており、その違いは父親で極めて顕著に見られる。両者の種差の遺伝学的解析から、基盤となる神経学的な機構の一端が明らかになった。

News & Views: 蚊が飛べる理由を解明

蚊はその細長い羽を、同程度の大きさの昆虫の4倍の振動数で羽ばたいている一方で、羽ばたきの振幅はごく小さい。蚊の飛行の高速度撮影とコンピューター計算による分析から、蚊は、他の動物の飛行でこれまで見つかっていなかった独自の空気力学メカニズムで飛んでいることが分かった。

News & Views: ガラスの3D印刷の仕方

一般的な3Dプリンターを使ってガラス構造物を作る方法が編み出された。

News & Views: 1つのタンパク質で2つの神経変性疾患を治療

アタキシン2(ataxin 2)タンパク質の生成を抑制する分子によって2つの神経変性疾患の症状を改善できることがマウスモデルで示された。臨床試験におけるこのアプローチの成功に大きな期待がかけられている。

2017年6月号

News & Views: シルクロード出現の謎がデジタル地図で明らかに

シルクロードなどの遠距離交易ネットワークの形成に、その周囲の地形と人間社会との関係はどのような影響を及ぼしたのだろうか。このほど、デジタルマッピングとコンピューターモデリングから新たな知見がもたらされた。

News & Views: 「時間結晶」を初めて実現

結晶は空間の中で同じ構造が繰り返される物質状態であり、それが自発的に生成する。一方、物理量が時間とともに周期的に振動し続ける自発的な物質状態を「時間結晶」という。時間結晶は仮説上の存在だったが、今回、2つの研究グループがある種の時間結晶を初めて作り出したと報告した。

News & Views: 脳内の地図に表された音の「景観」

動物の脳内では、一部のニューロン集団が特定の地理上の位置で発火して、空間の中の自分の位置を示す神経系上の地図を作り出す。この回路が聴覚地図の基礎にもなり得るという知見は、認知を生み出すニューロン構造の解明に役立つだろう。

2017年5月号

News & Views: AIによるがん診断支援が現実味を帯びてきた

皮膚がんを画像解析だけで判定できるようコンピューターを訓練したところ、一部の皮膚がんについては皮膚がん専門医と同程度の精度で識別できた。これは医学的診断の未来にどのような意味を持つのだろうか?

News & Views: 異種動物の体内で作製された膵臓で糖尿病を治療する

ラットの体内で成長させたマウスの膵臓を、1型糖尿病モデルマウスに移植すると、血糖値が制御された。また、拒絶反応は短期間の免疫抑制剤投与だけで回避できた。この成果から、治療用に臓器を成長させる興味深い方法が垣間見えてきた。

2017年4月号

News & Views: 造血幹細胞の維持にはバリンが必須

血球の供給源である造血幹細胞は、必須アミノ酸の一種「バリン」に依存していることが明らかになった。マウスにバリンを含まない食餌を与えると、骨髄移植の前処置に類似した効果が得られ、移植が成立したのだ。この手法を使えば、骨髄移植に伴う毒性を低減できる可能性がある。

News & Views: 地球の材料

地球は、隕石が集積(落下付着)することによって成長した。この「地球の材料」がどのようなもので、それが地球形成が進むにつれてどう変化したかが、同位体の高精度測定から明らかになった。これまでの地球形成モデルを修正する必要がありそうだ。

News & Views: 目的細胞の局在と子孫関係を同時に追跡可能な分子

細胞のDNAに埋め込まれたバーコード配列にランダムな改変を導入する方法によって、細胞の空間的な関係を保持したまま、細胞の子孫関係を見分けることが可能になった。著者らはこの技術をMEMOIR(メモワール)と名付けた。

2017年3月号

News & Views: 神経の同調を回復させてアルツハイマー病を治療

アルツハイマー病では、神経回路の活動で生じる電気的振動に障害が現れる。マウスモデル でこれらの振動を回復させると、免疫細胞が活性化して、アルツハイマー病に関連するアミロイドβタンパク質が脳から除去されることが示された。

News & Views: 未踏の領域に踏み出した自己集合体

適切な金属イオンと有機リンカーの自己集合によりケージ状の構造体を形成する場合、構造体の大きさには限界があった。今回、新しいケージ群の存在が発見され、かつてない大きさの構造体をこの手法で形成できることが明らかになった。自己集合研究の新たな領域が開かれそうだ。

News & Views: ハート模様に秘められた冥王星の物語

冥王星のひときわ目立つハート形をした明るい領域の左半分は、「スプートニク平原」と呼ばれる霜が堆積した広大な盆地だ。この盆地は、冥王星の自転軸を変化させ、表面のテクトニクス活動を促してきただけでなく、その表面下に海をたたえている可能性もあることが、4編の論文で明らかになった。

2017年2月号

News & Views: たっぷり眠るマウスと夢を見ないマウス

哺乳動物の睡眠は、急速な眼球運動を伴う睡眠(レム睡眠)と急速な眼球運動を伴わない睡眠(ノンレム睡眠)からなる。遺伝子変異マウスの大規模な睡眠異常スクリーニングにより、ノンレム睡眠の必要量を決める遺伝子と、レム睡眠の終止に関与する遺伝子が突き止められた。

News & Views: テロメラーゼに依存しないテロメア伸長の機構

細胞の寿命は、染色体末端(テロメア)の反復配列の短縮によって制限されているが、一部のがん細胞は、テロメラーゼ非依存性テロメア伸長(ALT)と呼ばれる機構によってテロメア長を維持し、この運命を回避している。今回このALTの機構が分子レベルで詳細に解明された。

News & Views: 光学顕微鏡と電子顕微鏡で観察可能なナノ粒子プローブ

蛍光ナノダイヤモンドと金ナノ粒子を組み合わせた生体適合性プローブが開発され、光学顕微鏡と電子顕微鏡の両方を使った細胞イメージングが可能になった。これにより、生物学研究に新たな進展がもたらされることだろう。

2017年1月号

News & Views: 現生人類の分散を描く

地理的に多様な人類集団の高カバー率のゲノム塩基配列が得られたことで、地球全体に広がった現生人類の分散について、そして地勢がゲノムの多様性をどのように形成したかについて、手掛かりが得られた。

News & Views: アフリカツメガエルの難解なゲノムを解読!

重要なモデル動物でありながら、そのゲノムの複雑さから長らく解読が困難とされてきたアフリカツメガエル(Xenopus laevis)のゲノム塩基配列がついに解読された。詳細な解析からは、ゲノムの進化の様子も明らかになった。

News & Views: 化学の多様性でマラリアに挑む

天然物に似た構造を持つ多様な化合物の大規模ライブラリーが構築され、そのスクリーニングによって、マラリア原虫の生活環の複数段階を標的とする新規の薬剤候補分子が見つかった。この分子は、単回の投与でマラリアを治療でき、耐性も生じにくいらしい。

2016年12月号

News & Views: 体が水分バランスを予測する仕組み

哺乳動物の体は、体内の水分バランスが乱れると衰弱することがある。今回、2つの研究で、渇きに応答し、渇きを予期して、計画的に水分を調節している脳領域がマウスで特定された。

News & Views: 理想的な鎮痛薬を計算科学で設計

オピオイドと同等の鎮痛活性を有し、オピオイドよりも副作用が少ない薬剤が、構造に基づいたコンピューターシミュレーションによって開発された。今回の成果は、この手法がさまざまなタイプの薬剤の創薬に有効な戦略となる可能性を示した。

News & Views: がん細胞は死してなおカリウムで免疫系を抑制する

細胞死を起こした腫瘍細胞はカリウムを放出し、それがT細胞の活性を抑制することが分かった。T細胞からのカリウム排出を増強すると、がんを攻撃する能力が回復する。

2016年11月号

News & Views: シナプスの要、ナノカラム

シナプス前部にある神経伝達物質分子を放出する領域と、それを捕獲するシナプス後部の領域をつなぐ「ナノカラム」構造が発見された。シナプス間隙をまたぐこの構造は、シナプスの組織化と調節の機構についての手掛かりを与えてくれる。

News & Views: 完全にソフトなロボット

タコ型ロボット「オクトボット」が開発された。これは、完全に柔らかい材料だけで作られた最初のロボットだ。化学反応で動力を得て、流体論理回路で制御されている。これまでの機械を超える可能性のある、「ソフトロボット」時代の幕開けを告げるものだ。

2016年10月号

News & Views: 細胞分裂の際に染色体がくっつかないのはなぜ?

Ki-67タンパク質は、分裂中の細胞で増えることが知られているが、有糸細胞分裂での役割はこれまでよく分かっていなかった。今回、詳細な画像化により、細胞分裂の際に染色体がひと塊にならないのは、Ki-67が染色体の表面を覆っているためであることが明らかになった。

News & Views: 光解離反応で観測された量子効果

超低温の二原子分子が光を吸収して2個の原子に分裂する光解離反応で、驚くべき量子効果が初めて観測された。この研究は、量子光学の新たな研究の道を開く。

2016年9月号

News & Views: 腫瘍を抗ウイルス応答で撃退するがんワクチン

樹状細胞に腫瘍抗原を含むナノ粒子を送達し、抗ウイルス応答に似た抗腫瘍免疫応答を誘導する免疫療法が開発された。初期の臨床試験では有望な結果が得られている。

News & Views: 精子が卵と出会う時

受精、つまり精子と卵の結合は、精子のIzumo1と卵のJunoという2種類の細胞表面タンパク質が仲介する。それぞれのタンパク質について行われた構造解析と、Izumo1–Juno複合体の構造解析から、認識過程とそれに続く精子–卵融合についての手掛かりが得られた。

2016年8月号

News & Views: ブラックホールは老いた銀河を操る

年老いた星が多数を占める銀河には、星の材料になるガスがあるのに星が作られないものが多い。銀河の中心にあるブラックホールが銀河の中のガスをかき回し、星形成を抑え込んでいるとみられることが観測から分かった。

News & Views: 肢再生に欠かせないシグナルの連携プレー

有尾類は優れた器官再生能力を持ち、例えば四肢を切除されても元通りに再生することができる。メキシコサンショウウオを用いた研究から、こうした肢再生では、2種類のシグナル伝達分子が互いに協力し合いながら複雑な再生過程を調節していることが分かった。

2016年7月号

News & Views: 受容体の構造からSSRI系抗うつ剤の作用機序が明らかに

セロトニン輸送体タンパク質のSERTが、2種類の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)と複合体を形成した状態の構造が解かれ、これらの薬剤が作用する仕組みが明らかになった。

News & Views: ご近所にあった超新星

深海底の堆積物に含まれる超新星由来の放射性同位体の測定と、それらの同位体がどのように地球に到達したかのモデル化から、生物の進化に影響する可能性があるほど地球の近くで、多数の超新星爆発が起こっていたことが分かった。

2016年6月号

News & Views: 電場で化学反応を制御する

電場を用いて化学反応を制御できることが、単一分子レベルでの実験によって明らかになった。その反応速度は、印加電場の向きと強さの両方に影響を受けるらしい。

News & Views: 高脂肪食が大腸がんの発生率を高める仕組み

マウスでの研究で、高脂肪食の摂取により腸前駆細胞が幹細胞様の運命に誘導されることが突き止められた。その結果、腸のサイズが変化し、腫瘍の発生率が高まることが分かった。

2016年5月号

News & Views: 遺伝学と生理学がついに結び付いた

統合失調症発症のリスクと強い関連性がある遺伝的変異の1つが特定された。シナプスの刈り込みに関与すると考えられている補体因子C4遺伝子だ。神経生物学とを結ぶ手掛かりがようやく得られ、創薬につながることが期待される。

News & Views: 自己免疫疾患のための免疫療法

MHCクラスII分子と自己免疫疾患に関連する任意のタンパク質断片の複合体で覆ったナノ粒子の投与により、免疫調節機構を患部器官の自己免疫応答を抑制する方向に転換できることが分かった。

2016年4月号

News & Views: 地球は「大凍結」を辛うじて逃れている

日射量と二酸化炭素濃度の関係から氷期の開始時期を予測する計算式が導かれ、完新世の地球が新たな氷期への突入を辛うじて逃れていることが裏付けられた。このままいくと、今後 5万年間は氷期に入りそうもないという。

News & Views: オフターゲット効果が最小のCas9酵素

特定のDNA配列を切断するゲノム編集技術CRISPRで利用されている酵素Cas9は、標的外(オフターゲット)の部位も切断することが知られている。このほど、タンパク質工学を利用して、オフターゲット効果が最小のCas9が作製された。

2016年3月号

News & Views: マグネシウムで記録破りの強度を実現

マグネシウム合金中にナノサイズのセラミック粒子を均一に分散させることで、これまで難しかったマグネシウム合金における強度の大幅な向上に成功、ついに限界の壁を打ち破った。このマグネシウム複合材料は、構造用の軽量金属材料として大いなる可能性を秘めている。

News & Views: 炎症は老化マウスの健康維持に役立つ

制御性T細胞と呼ばれる免疫細胞は、老化に伴って脂肪に蓄積していく。このような細胞が持つ抗炎症活性により、老化関連型の代謝障害が悪化することが明らかになった。一方、肥満関連型の代謝障害には影響を及ぼさないという。

2016年2月号

News & Views: 酸化ストレスはがんの遠隔転移を抑制する

活性酸素は、細胞にストレスを与え、がんのイニシエーション(発がんの第一段階)を促進すると考えられてきたが、今回、がんの転移を防ぐという有益な作用も持っていることが明らかになった。

News & Views: 「多孔性液体」が誕生!

多孔性固体は化学工業では極めて有用な材料で、研究が盛んに行われてきたため、すでにさまざまな種類の多孔性材料が数多く開発されている。そこへ、液体でありながら永続的に空孔を維持することのできる画期的な新材料「多孔性液体」が加わることとなった。

2016年1月号

News & Views: ヒトiPS細胞から作製した腎臓オルガノイド

iPS細胞を分化させて、腎臓の全ての組織を備えた腎臓オルガノイドが作製された。移植可能な腎臓を培養系で発生させるための重要な一歩といえる。

News & Views: 限界を超えた薄型トランジスター

理論限界を大きく下回る駆動電圧で動作する次世代トランジスターが実証された。消費電力の極めて少ない集積回路を開発する道が開かれると期待される。

2015年12月号

News & Views: 心筋の治癒を促すタンパク質Fstl1

ヒトの心臓組織は再生する能力が非常に低く、損傷を受けると徐々に機能が低下していく。このたび、心臓の外膜領域の細胞が通常発現しているタンパク質Fstl1が、心臓発作により損傷した心筋の再生を誘導できることが分かった。

News & Views: 海のプランクトンが雲を作る

海洋上の大気中には、海面での泡の破裂などによって海洋生物由来の微粒子が舞い上がり、漂っている。今回、海の植物プランクトンなどに由来する微粒子が核となり、空気中の水分の凍結を促して氷雲(氷の微小な結晶でできている雲)を発生させていることが分かった。特に高緯度の海域では、これまで考えられていたよりも高い温度や低い湿度であっても氷雲が発生するとみられる。

2015年11月号

News & Views: 世界最短波長の原子準位X線レーザー

これまでで最も波長の短い原子準位レーザーが、X線自由電子レーザー施設「SACLA」(兵庫県佐用町)を使って開発された。このレーザーは、わずかに異なる光子エネルギーに調節された2つのX線パルスを銅箔に照射するもので、これによって、波長スペクトルの幅が非常に狭いX線レーザー発振が実現した。この成果は、非常に安定したX線レーザーの実現につながる可能性がある。

News & Views: 肝臓の細胞量維持に重要な細胞集団を発見

マウスでの実験で、これまであまり評価されていなかった肝細胞集団の1つが、日々の肝臓細胞量の維持に重要な役割を担っていることが分かった。この細胞群は近傍の静脈からのシグナルによって誘導・維持されている。

News & Views: 無痛のスマートインスリン・パッチ登場!

血糖値の上昇を感知してインスリンを放出するよう設計された小型のパッチが開発された。このパッチには微細な針がたくさん付いているが、皮膚に貼り付けても痛くないという。実用化すれば、インスリン注射が必要な糖尿病患者の苦痛や不便さを解消できそうだ。

2015年10月号

News & Views: 微生物の「眼」はどうやってできたのか

ワルノヴィア科渦鞭毛藻類という微生物は、細胞内に眼のような構造体「オセロイド」を持っている。分析の結果、オセロイドの部品は色素体とミトコンドリアを由来とすることが明らかになった。

News & Views: スマホのカメラが分光計に?

カラフルな粒子のコロイド懸濁液をフィルターに用いることで、デジタルカメラやスマートフォンカメラを小型分光計に変身させられる技術が開発された。

News & Views: 白内障の原因を解きほぐすラノステロール

遺伝性白内障の2家系における研究から、疾患の原因が、水晶体のラノステロールを合成する酵素の機能を障害する変異遺伝子であることが分かった。この知見は、白内障の非外科的予防や治療につながりそうだ。

2015年9月号

News & Views: 核膜再形成という難問の解決法

細胞分裂が終わると、崩壊していた核膜が融合して細胞の染色体を包み込み、核を形成する。この過程をESCRT-IIIタンパク質複合体が調節していることが明らかになった。

News & Views: 乳がん骨転移の診断・治療のカギを握るLOX

酸素欠乏状態にある乳がん細胞から分泌される酵素リシルオキシダーゼ(LOX)は骨損傷を誘導する。骨損傷は転移に先立って起こり、乳がん細胞の骨への転移を促進していることが分かった。

2015年8月号

News & Views: バランスを保つことで多能性を安定化

多能性細胞は体内のあらゆる種類の細胞を作り出すことができる。このような多能性状態は、Wntシグナル伝達の阻害などの「合図」によって獲得され、多様な細胞を作り出すためのバランスを維持した状態であることが分かった。

News & Views: 真核生物誕生のカギを握る原核生物を発見

真核生物はいかにして核を獲得したのか? このたび真核生物に最も近縁な原核生物が発見されたことで、真核生物の起源に関する謎の解明につながると期待される。

2015年7月号

News & Views: 2D半導体薄膜の大面積成長

原子3個分の薄さの遷移金属ダイカルコゲナイド半導体層を、4インチウエハースケールで均一に成長させることに成功。電子機器の究極の小型化実現が、また一歩近づいた。

News & Views: 非コードRNAに、ペプチドがコードされていた!

マイクロRNA配列の前駆体の非コード領域にペプチドがコードされていることが分かり、新しい遺伝子調節段階が明らかになった。遺伝子の間にある「がらくた」配列は、がらくたではないのかもしれない。

2015年6月号

News & Views: 液体を満たした穴で流体を分離

膜に細い穴(細孔)を設けてその中に液体を満たし、この穴を圧力の制御によって可逆的に開閉させ、ある圧力で特定の流体だけを通過させるようにすることができた。こうした液体充填型のゲート機構を使えば、混じり合わない流体の混合物を、調節可能な形で分離できる。

News & Views: 改良が進む樹状細胞ワクチン

抗腫瘍免疫応答を誘導する樹状細胞ワクチンは、がん患者の治療にはあまり有効ではなかったが、今回、ワクチン接種部位を前処置して炎症を誘発しておくと、このワクチンの効果が増強される可能性があることが分かった。

2015年5月号

News & Views: 知覚情報をもとに自ら学習する人工知能

コンピューターゲームのプレイ方法を、深層学習と強化学習によって自ら学習する人工知能が開発された。この人工知能は、古典的な49種類のコンピューターゲームのうち29種類でプロのゲーマーと同等以上の成績を収め、人工知能がさまざまなタスクに適応可能なことを実証した。

News & Views: 光で細胞小器官の位置を操る

細胞小器官の位置は細胞機能に影響を及ぼすと考えられているが、それを正確に調べる術がなかった。このたび、光遺伝学の手法を使って、細胞小器官の位置や運動性を自在に操り、細胞内構造を狙ったとおりに再編成できる技術が開発された。

2015年4月号

News & Views: 減数第一分裂の染色体分配の司令塔、MEIKIN

マウスで、減数第一分裂と呼ばれる特殊な細胞分裂で重要な役割を果たすタンパク質が突き止められた。さらに、このタンパク質の機能解析から、減数第一分裂中に染色体分配が調節される仕組みが進化的に保存されたものであることが明らかになった。

News & Views: 軟骨を真似たヒドロゲル

関節部の骨を覆う関節軟骨は、軟骨組織の構成要素間に働く反発力に基づく、優れた耐荷重性と低摩擦性を示す。これに着想を得て、方向に依存した珍しい特性を数多く併せ持つ合成ゲル材料が新たに開発された。

2015年3月号

News & Views: 多能性状態を操作するための手引き

偏りのない解析で、iPS細胞の再プログラム化から万能性獲得までの過程には複数の経路があることが明らかになり、そこから、これまで見落とされていた新しいタイプの多能性細胞の存在が確認された。

News & Views: 毎秒1000億コマの超高速撮影技術

超高速現象を毎秒1000億フレーム(コマ)の速さで記録できる、新たな画像撮影技術が開発された。1回きりで繰り返さない現象でも捉えることができ、ストロボやフラッシュも必要ない。この技術は、生物医学やセキュリティー技術に応用できる可能性がある。

2015年2月号

News & Views: 治療法改善のための最善の戦略とは

うつ病の研究には、抑うつ様行動を示す従来からのマウスモデルがよく使われているが、ヒトのうつ病の全体像を従来のマウスモデルで完全に把握することは不可能である。このフォーラムでは、治療法の改善を目指した戦略について、専門家たちが提案する2通りの見解を紹介する。

News & Views: 解明が進むがん免疫療法

PD-1経路の遮断により抗腫瘍免疫を回復させる免疫療法は臨床で目覚ましい成果を挙げているが、作用機序には不明な点が多い。今回、この治療法に対して特に反応性の高い患者の特徴や、この治療法が有効ながん種が新たに明らかになった。さらに、この治療法の標的が腫瘍の新抗原であることを裏付ける結果も得られた。

News & Views: 加速器研究にやってきた最高の波

「プラズマ・アフターバーナー」と呼ばれる、わずか30cm長の小型加速器を使って、従来の巨大な加速器の500倍の効率で電子を加速することができた。この研究結果は、低コストの加速器の開発につながる可能性がある。

2015年1月号

News & Views: 繊維芽細胞の可塑性が心臓の修復を助ける

心臓繊維芽細胞は損傷を受けた心臓構造の修復に重要な役割を果たすことが知られている。さらに今回、心臓の繊維芽細胞には内皮細胞へと転換できる可塑性があり、心臓が損傷を受けた後にp53依存的に転換が誘導されて、傷害血管の修復を助けることが明らかになった。

News & Views: 重症エボラウイルス感染症のサルを回復させた治療薬

3種類のモノクローナル抗体を混合した治療薬「ZMapp」で、致死量のエボラウイルスを接種したサルは全て回復した。ZMappは、感染後の治療に用いられたことのある他の薬とは異なり、エボラウイルス感染症が進行した段階にあっても治療効果を発揮した。

2014年12月号

News & Views: スタチンは骨の成長を促す

軟骨形成と骨成長の異常によって起こる低身長症について、iPS細胞モデルが構築された。研究チームはさらに、高コレステロール血症治療薬であるスタチンが軟骨形成と骨成長を促進する可能性があることをこのモデルを用いて明らかにした。

News & Views: 海王星サイズの太陽系外惑星に水を発見

海王星ほどの大きさの太陽系外惑星の大気にも水(水蒸気)が存在することを示す決定的証拠が、初めて得られた。さらに小さい、地球ほどの大きさで水が存在する惑星の探索への扉が開かれた。

2014年11月号

News & Views: 歯の構造の進化をin vitroで再現

モルフォゲンであるEDAタンパク質を欠損したマウスには、正常な構造の歯が生えない。EDA欠損マウスの胎生期の歯にEDAを加えて培養すると、EDAの量に応じて、歯は進化の過程をたどり、マウス本来の構造に戻ることが示された。

News & Views: 狙いどおりのナノチューブに成長する「種」

1種類の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)のみを選択的に合成できる技術が開発された。この方法を利用すれば、あらゆる種類のナノチューブを純粋な形で得られるようになるかもしれない。

2014年10月号

News & Views: インターフェロンは両刃の剣

サルでの研究から、インターフェロンの作用には二面性があり、感染の防止に働く場合と、慢性感染の状態を悪化させる場合があることが明らかになった。

News & Views: 超弾性有機結晶

相転移を伴う弾性の一種「超弾性」が、純粋な有機結晶で初めて観察された。この超弾性有機材料はマイクロ流体デバイスなどへの応用が期待される。

2014年9月号

News & Views: 耐性菌の抗生物質耐性を無効化する天然物

カルバペネム系抗生物質は現在、重篤な感染症に対する最後の砦であるが、耐性菌の急増が世界的な公衆衛生問題になっている。今回、真菌の一種が産生する天然化合物が、カルバペネム系抗生物質耐性細菌の、カルバペネム耐性を無効化させることが分かった。

News & Views: ダイヤモンドをもっと硬く

ダイヤモンド含有複合材料は世界で最も硬い材料の1つだが、極端な条件で使用すればやはり破損する。「タマネギ状」のカーボン前駆体から作製したナノ構造化ダイヤモンドなら、この問題を克服できるかもしれない。

2014年8月号

News & Views: ゾウリムシの「接合型継承の謎」を解明

原生生物であるヨツヒメゾウリムシは、接合後も子が親の接合型を常に維持している。この遺伝の仕組みは、ゲノムに外来DNA塩基配列が入り込まないように、RNA誘導型のDNA削除経路が働いてゲノムを守っている結果であることが明らかになった。

News & Views: 血液脳関門を通過できる2つのルート

血液脳関門では、脳への脂質の輸送と、トランスサイトーシスによる分子の輸送が行われているが、この2つの過程がどちらもMfsd2aという1つのタンパク質によって調節されていることが明らかになった。

2014年7月号

News & Views: Y染色体の進化学

Y染色体は、進化の初期に多数の遺伝子が喪失したものの、現存生物種のY染色体に残っている遺伝子は極めて安定していることが、さまざまな哺乳動物のY染色体塩基配列の比較から明らかになった。

News & Views: 小惑星表面でのレゴリス形成

小惑星の表面にある岩石もまた、年月の経過とともに風化によって崩壊し、やがては粉末状の破片へと変わっていく。この風化現象はこれまで、大小さまざまな流星体の衝突が原因だと考えられていたが、今回、室内実験とシミュレーションモデルを組み合わせた研究から、少なくとも小型の小惑星では、昼夜の温度変化が主な原因であることが分かった。

2014年6月号

News & Views: 高齢者の脳を保護する因子

RESTと呼ばれるタンパク質が、加齢脳でのニューロンの細胞死の抑制と、高齢者の認知能力の維持に中心的な役割を果たしていることが明らかになった。

News & Views: マントルダイナミクスの謎を解くカギを発見

地球の上部マントルに最も多く含まれる鉱物であるカンラン石中に、回位(ディスクリネーション)と呼ばれる、結晶格子の欠陥が見つかった。これにより、数十年にわたって鉱物物理学者を悩ませてきた問題が解決されるかもしれない。

2014年5月号

News & Views: 遺伝子の調節で老いた筋肉を若返らせる

筋肉の再生を担う幹細胞は、高齢になると、可逆的静止状態から不可逆的老化状態へと切り替わる。今回、老化を推進する遺伝子を調節すると、筋幹細胞の再生能が回復することが明らかになった。

News & Views: 肝臓修復のカギは血管からのシグナル

損傷した肝臓の修復において、血管の内壁を覆う内皮細胞が産生するタンパク質が、細胞増殖のタイミングを調節していることが突き止められた。この発見は、組織再生において血管からのシグナルが重要な役割を担っていることを示す、新たな実証例である。

2014年4月号

News & Views: 造血幹細胞にも性差がある

血球を作り出す造血幹細胞は、エストロゲンに応答して、雄より雌のマウスでより頻繁に分裂することが分かった。これはおそらく、雌が妊娠時により多くの血液を必要とするようになることに備えているためだろう。

News & Views: 水蒸気を噴き出す準惑星ケレス

準惑星ケレスには水が大量にあると考えられてきたが、欧州宇宙機関(ESA)のハーシェル宇宙望遠鏡による観測で、ケレスの表面から水蒸気が噴き出していることが分かった。

2014年3月号

News & Views: 電子顕微鏡でイオンチャネルの構造を決定

これまで解析が困難であった熱感受性TRPV1イオンチャネルの構造が、単粒子低温電子顕微鏡を使って解明された。

News & Views: マウス脳で超高速エンドサイトーシスを発見

脳機能を支える重要なプロセスである神経接合部の小胞エンドサイトーシスに、超高速モードがあることが明らかになり、長年使われてきたエンドサイトーシスのモデルを再評価する必要がでてきた。

2014年2月号

News & Views: 珍しいものに心惹かれる

「希少雄効果」は、配偶者選択を強く受ける形質で遺伝的多様性が維持されている謎を説明する旧来の仮説だ。今回、これを支持するこれまでで最も決定的な証拠が、グッピーの研究から得られた。

News & Views: 2000万回もの波に耐える海藻の秘密

海岸に生息する海藻には打ち寄せる波から繰り返し力がかかり、その力による組織の疲労は海藻の死につながりかねない。しかし、ある海藻を観察したところ、その茎状の部分の節の構造には横方向の結合がなく、巧妙な仕組みで負荷による疲労に耐えていることが分かった。

2014年1月号

News & Views: 脂肪代謝のメヌエット

日周性の脂肪代謝は、筋肉と肝臓に存在する2つの核内受容体の間で、1つの脂質メッセンジャーを仲介物資として受け渡しすることで調節されていることが分かった。このシグナル伝達経路から、代謝に異常を来すさまざまな疾患についての理解が進むかもしれない。

News & Views: 最も遠い銀河の発見

非常に遠方にあるとみられる43個の銀河の分光測定が行われ、その1つが、これまでに確実な方法で距離が測定された中で最も遠い銀河であることが分かった。この銀河では、私たちの銀河系(天の川銀河)の100倍以上の速さで星が生まれていることも分かった。

2013年12月号

News & Views: カーボンナノチューブでコンピューターを試作

カーボンナノチューブで作った半導体トランジスターを回路に組み込み、コンピューターが試作された。市場に出せるかどうか未来の話はさておき、まずは、新しい電子材料としての華やかなデビューだ。

News & Views: LPSは細胞内でも感知される

グラム陰性細菌の外膜に存在するリポ多糖(LPS)は、宿主細胞の細胞表面にある受容体TLR4によってのみ感知されると考えられていた。しかし今回、LPSは、細胞質内でも感知されることが分かった。

2013年11月号

News & Views: 網膜の神経回路を詳細にマッピング

脳の構造は非常に複雑であり、小さな神経回路でも、何百個のニューロンと数千個の接続を含んでいる。連続組織切片の電子顕微鏡観察とそのデジタル的再構築により、また遺伝学的手法と光学的解析を統合させた方法により、網膜の神経回路がこれまでになく詳細に描き出された。

News & Views: 土星の潮汐力が、衛星エンケラドスのプルームを制御

土星の衛星エンケラドスの南極付近から、氷の粒子のプルーム(立ち上る煙状のもの)が噴き出している。このプルームは、エンケラドスが軌道上で土星から最も遠い位置に来たとき、最も近いときに比べて4倍明るく見えることが分かった。

2013年10月号

News & Views: 70万年前のウマのゲノムを解読

約70万年前のウマの骨が永久凍土から回収され、そこからゲノムが解読された。 その他の時代のウマのゲノムも解読され、それらを通して、ウマの進化史の概要が明らかになった。 一方、DNAの残存期間についても興味深い事実がもたらされ、100万年前の試料からでもDNAが回収可能らしいことが分かった。

News & Views: 散開星団の中の惑星形成プロセス

散開星団の中で2つの惑星が発見され、惑星形成のプロセスが強靭なものであることが明らかになった。 なぜなら、散開星団の密度が高かった初期には、恒星どうしの接近や近くでの超新星爆発など、惑星系の破壊を招きかねない出来事が起こったはずだが、それに耐えて今まで生き延びている惑星が、実際に見つかったからだ。

2013年9月号

News & Views: 考古学と霊長類学の出会い

ヒトによる石器利用技術の歴史を、現生霊長類の行動学が教えてくれることがわかった。 石のハンマーで木の実を割る野生オマキザルの研究から、その技術的活動に関する時間的・空間的なパターンが明らかになり、考古学的視点から研究可能であることが確認されたのだ。

News & Views: ハエ型ロボット

生物学者や航空工学者たちが昆虫の飛翔原理を解明すると、技術者たちは、その空気力学的メカニズムに基づくロボットの製作に着手した。 そして今回、マイクロ製造技術の延長から、最初のハエロボットが空へと羽ばたいた。

2013年8月号

News & Views: ミトコンドリアのタンパク質翻訳速度とマウスの寿命

細胞内小器官であるミトコンドリアでは、タンパク質翻訳速度が自然な形で変動している。今回、その変動が寿命と相関していることが明らかになった。このことは、代謝の変化が長寿に及ぼす影響に関して、何らかの統一的なメカニズムが存在する可能性を示唆している。

News & Views: 環境に優しい電気分解製鉄法

科学者たちは長い間、電気を使って溶融酸化鉄から鉄と酸素を作ることを夢見てきた。 今回、高温と腐食性化学物質に耐えるアノード材料が開発され、実現に向かって一歩前進した。

2013年7月号

News & Views: 日本の縄文土器は、調理に使われていた!

縄文土器が調理に使われていたことを裏付ける最古の証拠が得られた。土器片に脂質が付着していたのだ。今回の発見は、土器の発明という人類史上最大級の技術革新について、新たな視点を提供している。

News & Views: 土星の環から大気に雨が降っている

土星の大気には、その環の姿が投影されていることがわかった。土星大気中のイオンの発光の分布を観測したところ、土星の環のすき間に対応するパターンが見つかったのだ。水の氷でできた環から、電荷を帯びた氷が磁力線に沿って大気上層へと運ばれているためらしい。

2013年6月号

News & Views: 結晶化せずに分子構造を決定する「結晶スポンジ法」

「結晶スポンジ」と呼ばれる材料を使うと、小さな分子を規則正しく配列させることができ、サンプルを結晶化することなくX 線結晶構造解析法で分子構造を解明できることが実証された。しかも、この新しい解析法なら、サンプルもナノグラムオーダーの微量化合物で済むという。

News & Views: “最も近い銀河”までの正確な距離

銀河系(天の川銀河)のすぐ隣にある銀河、大マゼラン雲への距離を正確に測定すれば、宇宙に満ちているダークエネルギー(暗黒エネルギー)の正体に迫る足がかりになる。今回、食連星を使う方法で誤差2.2%の値が得られた。

2013年5月号

News & Views: 塩味を感知するセンサー分子

ヒトでは聴覚に関連するとされているTMC-1というタンパク質が、線虫では塩味の感知にかかわる受容体であることが示された。

News & Views: 超新星爆発直前の質量放出をとらえた

質量の大きな恒星が超新星爆発を起こして死ぬとき、それは非常に明るく、「宇宙の果て」からでも見ることができる。しかし、元の星がどのようなものだったかは、はっきりしないことが多い。今回、大質量星の超新星爆発の直前に起こった質量放出現象が観測され、星の生涯について知る新たな手がかりが得られた。

2013年4月号

News & Views: インスリンとその受容体の結合

インスリンは糖尿病治療に広く使われているが、そもそも、インスリンが細胞表面にある受容体と結合するメカニズムは、不明のままであった。今回、この複合体の結晶構造解析にようやく成功し、ついに答えが得られた。

News & Views: アンドロメダ銀河で見つかった不思議な平面

アンドロメダ銀河とその周囲の伴銀河(衛星銀河)を詳しく調べた結果、伴銀河が1つの大きな薄い平面上に乗っていて、アンドロメダ銀河の周りを同じ方向に回っていることが明らかになった。

2013年3月号

News & Views: 熱アシストによる高変換効率の有機発光材料

蛍光性有機分子の設計によって、高効率発光ダイオードの作製が可能になった。このデバイスは、従来品のライバルになるかもしれない。

News & Views: 脱アセチル化による細胞死

壊死はさまざまな疾患に関連して見られるが、プログラム細胞死の中で、おそらくは最も解明が進んでいないものだ。今回、サーチュインというタンパク質が、脱アセチル化反応を介して壊死の一部を調節していることが明らかになった。

News & Views: 恒星進化における「真の原始星」を発見

恒星として誕生するわずかに前の段階にある「真の原始星」が、ついに発見された。巨大分子雲が重力収縮して完全に成熟した恒星になる過程には、これまでミッシング・リンク(失われた環)があった。今回の発見は、それをつなぐものとなるだろう。

2012年12月号

News & Views: ゲルのシートを貼ると、トランジスタ

イオン液体と高分子を混ぜ合わせると、ゴム状のイオンゲル材料ができる。このゲルシートをカミソリで切って固体の半導体材料に貼り付け、トランジスタが作られた。

News & Views: 哺乳類トゲマウスに見られる皮膚の剥落および再生能力

アフリカトゲネズミは、手でつかんだだけで背中の皮膚が60%も剥がれてしまう。そしてこの剥がれた皮膚は、その後きれいに治癒する。今回、この驚異的な剥落能力と治癒能力を分析することで、組織再生の分子的・生体工学的機構の一端が明らかになった。

2013年2月号

News & Views: 自発的流動によって動き回る液滴

生体の特性を示す生体物質の集合体が生体外で構築された。これにより、細胞内で起こる動的な再組織化の物理的側面が明らかになるかもしれない。

News & Views: 約120億年前の最も遠い超新星を発見

地球から非常に遠い距離にある2つの「超光度超新星」が発見された。この超新星は、ビッグバンからわずか15億年後に誕生したものだ。 約120億年前の幼年期の宇宙には、こうした「超光度超新星」はありふれた存在だったのかもしれない。

2012年11月号

News & Views: 進化の空白を埋める昆虫化石

デボン紀の完全な昆虫化石と思われる化石が発見された。これにより、有翅昆虫がいつ進化したのかについて、断片的だったさまざまな知識や情報が有機的につながるかもしれない。

News & Views: ついに実現した固体メーザーの室温発振

メーザー(レーザーのマイクロ波版)の技術展開がこれまで限られてきたのは、極低温が必要であるなど、動作条件が実用にそぐわないからであった。しかし今回、ついに室温で動作する固体メーザーが開発された。

2013年1月号

News & Views: 球状星団は、ブラックホールがいっぱい!?

天の川銀河の1つの球状星団の中から、これまでの常識に反して、2つのブラックホール候補天体が発見された。この新事実は、球状星団にはもっとたくさんのブラックホールが含まれている可能性を示している。

News & Views: 胎児を拒絶しない免疫機構

妊娠した女性の免疫系が、胎児の持つ父親由来の抗原に対して寛容となる仕組みに、「抑制性」の免疫細胞がかかわっていることが実証された。 胎児抗原に特異的に反応して増殖するこの細胞は、出産後も一部が維持されていて、2回目以降の妊娠を助けていた。

2012年10月号

News & Views: トウモロコシ粉懸濁液の上を走れる理由

トウモロコシ粉と水を混ぜた液には粘性があり、それでプールを満たすと、忍者のようにその上を走ることができる。ところが立ち止まると沈んでしまう。この現象はどのような原理で起こるのか、今回、新たな実験に基づく考え方が提案された。

News & Views: 電圧で、絶縁体を金属に変える!

印加電圧を変えるだけで、絶縁体を金属に変える方法と材料が発見された。これを利用すれば、これまでなかった新世代の電子スイッチを実現できるかもしれない。

2012年9月号

News & Views: 生死のスイッチ

免疫反応を引き起こす植物ホルモンであるサリチル酸の受容体が2種類発見された。これらの受容体は、サリチル酸に対する親和性が異なっており、サリチル酸はこの親和性の違いを利用して、感染部位と非感染部位の細胞の生死を制御しているようだ。

News & Views: サブミリ波銀河HDF850.1の正体

非常に遠方にあるらしい、サブミリ波長(1mm未満)で明るく輝いている銀河の分光観測が行われ、ビッグバンからわずか10億年ほどの、生まれたばかりの銀河団の中心部にあることが明らかになった。

2012年8月号

News & Views: 体内時計に効く薬

体内時計という仕組みは、動物の行動や生理を、地球自転の24時間周期に同期させている。この時計のいわば歯車を標的とした薬剤が、肥満などの代謝障害に有望であることがわかった。

News & Views: 太陽の100万倍のスーパーフレア

太陽で見られた過去最大のフレア(太陽大気で起こる爆発現象)の実に100万倍以上ものエネルギーを持つフレアが、太陽とよく似た星で起こっている。この「スーパーフレア」現象について、今回、宇宙望遠鏡ケプラーの観測データが詳しく調べられ、その生成機構に関するこれまでの仮説に、疑問を投げかける結果が得られた。

2012年7月号

News & Views: 哺乳類間で感染する鳥インフルエンザウイルス

鳥インフルエンザH5N1ウイルス由来の赤血球凝集素(HA)タンパク質をもとに、遺伝子改変インフルエンザウイルスが作成され、わずか4つの変異によってフェレット間で伝播するように変わることが明らかになった。このことは、ヒトでのパンデミックが鳥から生じる可能性を強く示唆している。

News & Views: 複雑な心臓はこうして作られる

発生過程の臓器は、変わりゆく生命体のニーズを満たすため、ダイナミックに適応・変化する。ゼブラフィッシュを用いた研究で、筋肉の意外な成長パターンによって心臓が再構築されている事実がわかった。

2012年6月号

News & Views: なぜ、いいかげんに擬態するのか

自分の姿を別種の生物に似せて、捕食者から身を守るようになった生物種がいる。ところがその中に、擬態が不正確なものがいる。自然選択に直面しながら、なぜ不完全な擬態はなくならないのか。 ハナアブの分析結果から、その謎に迫るヒントが得られた。

News & Views: 変装させて反応させる

すべての有機分子は多くの炭素–水素(C–H)結合を持っているため、その中から1つだけ探し出して、反応させるようなことは難しい。しかし、ありふれた化学基を「変装」させて、これをおとりとして利用すれば、この問題が解決できる。

2012年5月号

News & Views: 地球サイズの惑星が見つかった

地球とほぼ同じ大きさの太陽系外惑星がついに見つかった。この惑星は太陽とよく似た星の周りを回っており、地球とよく似た生命を育んでいる惑星の発見へとつながっていくはずだ。

News & Views: 放射性炭素14の超高感度測定法

炭素14(14C)は微量の放射性同位体で、大気中の炭素の1兆分の1しか存在しない。今回、このさらに25分の1という低濃度でも検出できる光学的方法が開発された。新たな研究手段としても、期待が高まっている。

2012年4月号

News & Views: 高エネルギーの原子X線レーザーを実現

レーザーの歴史が半世紀を超えた今、レーザー開発者たちの夢がまた1つ実現した。原子の状態遷移によるレーザーとしては従来よりもずっと高い、キロ電子ボルト領域の光子エネルギーを持つ、X線レーザーだ。

News & Views: トカゲの尻尾の役割

綱渡りでは、バランスをとるために長い棒を使う。ジャンプするアガマトカゲも、空中で尾をバランス棒と同じように使っているらしい。それだけではない。恐竜の中にも、同じことをするものがいた可能性があるという。

2012年3月号

News & Views: シャーレの中の造形芸術

in vitroで臓器の発生を再現することは難しい。特に、組織間の相互作用が不可欠である場合にはきわめて困難である。にもかかわらず、in vitroで下垂体の発生を再現させることができた。

News & Views: 不可解な「クリスマスガンマ線バースト」

ガンマ線バーストは、宇宙のある狭い領域から大量のガンマ線が短時間に放出される現象だ。しかし、その中には、広く認められた理論モデルと矛盾する謎の現象もある。そんな1つが「クリスマスガンマ線バースト」だ。今回2つの研究チームが、このバースト現象を説明する全く異なるモデルをそれぞれ報告した。

2012年2月号

News & Views: 動的カシミール効果を初めて検証!

物体の加速度運動に伴って量子真空から光子が生成する現象を、動的カシミール効果と呼ぶ。今回、鏡が超高速で動くのと同等の仕組みを、超伝導回路を利用した実験で実現し、この効果を初めて実証した。

News & Views: ミステリアスな金の表面

金はかつて考えられていたほど不活性ではない。金を使って分子合成を促すことができる。飽和炭化水素から一次元ポリマーの形成を誘導する金のようすを、走査トンネル顕微鏡がとらえた。

2012年1月号

News & Views: 福山型筋ジストロフィーの治療に光明

日本人に多い「福山型」の筋ジストロフィーが、予想外のスプライシング異常で発症することがわかった。さらにこの知見に基づく治療法に関して、マウスで有望な結果が得られ、患者にとって希望の光となるかもしれない。

News & Views: ミクロの梁を光で冷やす

ナノメカニカル共振器、つまり機械的な共振を起こすナノスケールの素子を、レーザー光を使って最低エネルギー状態にまで冷やすことに米国の研究者らが成功した。これにより、量子力学の原理を検証したり、量子情報処理に応用したりする道が開かれた。

2007年2月号

 News & Views: 幹細胞治療は正しい方向に進んでいる

幹細胞治療は、損傷したり変性したりした組織を回復させることができる治療法として有望視されている。幹細胞は現在、血液の入れ換えに本格的に用いられており、次は筋ジストロフィーの治療で成功を収めることになりそうだ。

2007年1月号

 News & Views: ピンクのキュービット

一部のダイヤモンドは、結晶構造に窒素- 空孔欠陥とよばれる不完全性があるため、特徴的なピンク色を呈している。こうした欠陥を適切に操作することができれば、量子コンピューターの「キュービット」として利用するというバラ色の展望が開けてくるかもしれない。

Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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