Research press release

【微生物学】「ジキル博士とハイド氏」の細菌版

Nature Communications

Microbiology: The strange case of Jekyll-and-Hyde bacteria

肺炎と細菌性髄膜炎の症例では、肺炎連鎖球菌を原因とするものがかなりの割合を占めている。ところで、この肺炎連鎖球菌は、毒性が変動するのだが、その原因は分かっていない。今回掲載される論文で、その原因が遺伝子のランダムなシャフリングであることが明らかになった。これと似た遺伝子が、他の病原性細菌にも存在しているため、今回の研究で得られた知見は、感染症の分野に広く影響を与える可能性がある。

肺炎連鎖球菌は、一般にヒトの鼻と喉に常在する細菌で、害を及ぼすことはないが、子どもや免疫不全の患者は重症の感染症を起こすことがある。また、この細菌は、無害なものになったり、極めて毒性の強いものになったりすることが1930年代から知られているが、このような切り替えの基盤となっている機構については明らかになっていない。

今回、Marco Oggioni、Michael Jenningsたちの研究グループは、この細菌がジキル博士とハイド氏のように状態を変化させる原因として、ランダムな再編成を頻繁に起こして、6つの状態のいずれか1つになる遺伝子集団を挙げている。それぞれの状態では、この細菌のゲノム上の異なるDNA配列のメチル化が起こり、それが、細菌の毒性やその他の特性を決める多くの遺伝子の発現に影響を及ぼしている。

こうしたランダムな遺伝子シャフリングの基盤となる機構を解明し、他の細菌における遺伝子制御に関与する類似の過程を明らかにするためには、さらなる研究が必要とされる。

Random gene shuffling drives the mysterious variations in the virulence of pneumococci, the bacteria responsible for a significant proportion of pneumonia and bacterial meningitis cases, reports a study published online in Nature Communications. The findings may have broad implications in the infectious disease field, as similar genes exist in other pathogenic bacteria.

In general, pneumococci are common, harmless inhabitants of our nose and throat but they can also cause serious infections, especially in children and immunocompromised people. Their alternation between harmless and highly virulent forms has been known since the 1930s, but the underlying mechanism for this switch was unclear.

Marco Oggioni, Michael Jennings and colleagues show that the culprit behind this Jekyll-and-Hyde behaviour is a cluster of genes that frequently undergoes random rearrangements, resulting in any of six alternative states. Each state drives the methylation of different DNA sequences across the bacterial genome, which affects the expression of many genes that determine virulence and other properties.

Further research is required to explore the mechanism underlying the random gene shuffling and to determine whether similar processes are involved in gene regulation in other bacteria.

doi: 10.1038/ncomms6055

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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