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Nature Cancer に掲載された一次研究論文(Articles および Letters)について、その概要を日本語で紹介しています。

Perspective: 播種性腫瘍細胞の休眠に対する現在のパラダイムと課題

The current paradigm and challenges ahead for the dormancy of disseminated tumor cells

doi:10.1038/s43018-020-0088-5

休眠中のがんの監視や標的化に対する課題や機会をはじめとする、がんの休眠に関する研究分野の現状について、Aguirre-Ghisoたちが考察している。

Article: 樹状細胞によるPD-L1の発現は、がんにおけるT細胞免疫の主要な調節因子である

PD-L1 expression by dendritic cells is a key regulator of T-cell immunity in cancer

doi:10.1038/s43018-020-0075-x

Mellmanたちは、樹状細胞が腫瘍微小環境におけるPD-L1の主要な供給源となっており、その結果として、CD8+ T細胞による腫瘍浸潤と抗腫瘍応答が制限されることを示している。

Article: 乳がんのプログレッションに伴うがん関連繊維芽細胞(CAF)の組成の変化は、S100A4+とPDPN+のCAF比を臨床転帰に結びつける

Cancer-associated fibroblast compositions change with breast cancer progression linking the ratio of S100A4+ and PDPN+ CAFs to clinical outcome

doi:10.1038/s43018-020-0082-y

Scherz-Shouvalたちは、乳がんのプログレッション中に起こる、がん関連繊維芽細胞(CAF)亜集団の動的変化の特性を解析し、S100A4+ CAFとPDPN+ CAFサブセットの比が、臨床転帰と関連することを見出した。

Article: ナチュラルキラー細胞の免疫監視に対する抵抗性は、ポリクローナル転移に選択的な利益をもたらす

Resistance to natural killer cell immunosurveillance confers a selective advantage to polyclonal metastasis

doi:10.1038/s43018-020-0068-9

Zhangたちは、循環血中の腫瘍細胞の多細胞クラスターは、ナチュラルキラー(NK)リガンドの発現を変化させることで、NK細胞による殺傷に対する抵抗性を高め、結果としてポリクローナル転移を起こすことを報告している。

Article: TNF阻害を用いた腸炎症の標的化による微生物相の修正は、大腸がんの発生を軽減する

Amending microbiota by targeting intestinal inflammation with TNF blockade attenuates development of colorectal cancer

doi:10.1038/s43018-020-0078-7

Jobinたちは、TNF療法を用いた炎症の標的化は、大腸炎関連大腸がんのマウスモデルにおける微生物相の発がん活性に対して予防効果を持つことを明らかにした。

Article: アルドラーゼBはG6PDとペントースリン酸経路を阻害して肝細胞がんの発生を抑制する

Aldolase B suppresses hepatocellular carcinogenesis by inhibiting G6PD and pentose phosphate pathways

doi:10.1038/s43018-020-0086-7

Yinたちは、肝臓のアルドラーゼBは、G6PDの阻害を介した腫瘍の代謝再プログラム化の制御によって肝細胞がんを抑制することを示している。

Perspective: 理論から現実へ、がん進化の動態を描き出す

Delineating the evolutionary dynamics of cancer from theory to reality

doi:10.1038/s43018-020-0079-6

BozicとWuは、前がん状態から悪性がんへのプログレッションまでの腫瘍進化におけるさまざまな段階や、治療への応答が、定量的な数理モデルによってどのように明らかにされるかを考察している。

Article: Keap1変異は肺腺がんをSlc33a1依存的にする

Keap1 mutation renders lung adenocarcinomas dependent on Slc33a1

doi:10.1038/s43018-020-0071-1

肺がんの前臨床モデルにおいて機能検証後のドラッガブルなCRISPR-Cas9によるゲノムスクリーニングから、Slc33a1Keap1変異特異的な標的化可能な依存性として明らかになった。

Article: p38αストレス活性化タンパク質キナーゼの活性化は、肺の前転移ニッチ形成を促す

Activation of p38α stress-activated protein kinase drives the formation of the pre-metastatic niche in the lungs

doi:10.1038/s43018-020-0064-0

Guiたちは、腫瘍細胞に由来する因子が肺の繊維芽細胞でp38αの活性化を誘導し、これがI型インターフェロンシグナル伝達の不活性化や、マトリックスのリモデリング、好中球の浸潤を引き起こし、その結果として転移を受け入れるニッチが作られることを報告する。

Article: Zeb2は微生物相依存的な浸潤性の大腸がんを促進する

Zeb2 drives invasive and microbiota-dependent colon carcinoma

doi:10.1038/s43018-020-0070-2

van Looたちは、上皮間葉転換の調節因子であるZeb2が失われると、炎症や腸管透過性の上昇、大腸がん発生につながり、これは常在性の腸マイクロバイオームにより増強されることを報告している。

Article: マルチオミクス解析により、皮膚黒色腫において有意に変異した遺伝子が特定され、DDX3Xが性特異的腫瘍抑制因子であることが明らかになった

Multi-omic analysis reveals significantly mutated genes and DDX3X as a sex-specific tumor suppressor in cutaneous melanoma

doi:10.1038/s43018-020-0077-8

Alkallasたちは、ゲノム、トランスクリプトーム、DNAメチル化のデータを統合的に解析し、皮膚黒色腫の大規模コホートにおいて、RNAヘリカーゼDDX3Xをはじめとする新しい有意に変異した遺伝子(SMG)を見出した。

Article: セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ-2(SHMT2)は、エピジェネティックな腫瘍抑制のサイレンシングを介してリンパ腫発生を開始させる

The serine hydroxymethyltransferase-2 (SHMT2) initiates lymphoma development through epigenetic tumor suppressor silencing

doi:10.1038/s43018-020-0080-0

Parsaたちは、BCL2と代謝酵素SHMT2活性の上昇の連携によるリンパ腫のイニシエーション機構を報告している。この過程でSHMT2 はDNAとヒストンメチル化を変化させる。

Review Article: ゲノミクスに基づくがん治療の前臨床開発

Genomics-guided pre-clinical development of cancer therapies

doi:10.1038/s43018-020-0067-x

Garnettたちは今回、ゲノミクスに基づくがん医療の前臨床開発を支える原理や、その効果を制限する課題、およびその利用を改良し拡張するためのCRISPRによるスクリーニングなどの新たな機会について総説する。

Article: 単一細胞RNA塩基配列解読により、多発性骨髄腫の前駆段階では免疫微小環境の障害が起きていることが明らかになった

Single-cell RNA sequencing reveals compromised immune microenvironment in precursor stages of multiple myeloma

doi:10.1038/s43018-020-0053-3

GhobrialとGetzたちは、多発性骨髄腫のプログレッションに関連した、腫瘍免疫微小環境における変化の特性を解析した。

Article: c-Relはがん免疫療法に対する骨髄性のチェックポイントである

c-Rel is a myeloid checkpoint for cancer immunotherapy

doi:10.1038/s43018-020-0061-3

NF-κB転写因子ファミリーに属するc-Relが抗腫瘍免疫として働くことを、Liたちが報告している。c-Relは骨髄由来免疫抑制細胞の産生を促進し、骨髄細胞でc-Relを阻害すると腫瘍増殖が抑制された。

Article: 乳がん組織と正常な乳房組織における加齢と相関したタンパク質や転写産物の発現は、宿主の内分泌作用により支配されている

Age-correlated protein and transcript expression in breast cancer and normal breast tissues is dominated by host endocrine effects

doi:10.1038/s43018-020-0060-4

Aparicioたちは、加齢関連の内分泌作用による影響が推測される乳がんデータセットにおいて、遺伝子発現の変化を特定した。この結果は、患者の年齢が、特定のバイオマーカーによる予後予測の可能性に影響し得ることを示唆している。

Article: eIF5Bは肺がんにおける統合的ストレス応答依存的なPD-L1の翻訳を促す

eIF5B drives integrated stress response-dependent translation of PD-L1 in lung cancer

doi:10.1038/s43018-020-0056-0

O’Donnellたちは、非小細胞肺がん細胞において、ヘム産生の障害による統合的ストレス応答の活性化が、eIF5B依存的な様式でPD-L1翻訳の亢進を引き起こすことを報告している。

Resource: T細胞分化の全体像は肺がんの腫瘍変異により形作られる

The T cell differentiation landscape is shaped by tumour mutations in lung cancer

doi:10.1038/s43018-020-0066-y

Ghoraniたちはマルチオミクス手法を用いて、非小細胞肺がんにおけるCD4 T細胞とCD8 T細胞の亜集団の分化に腫瘍変異量が及ぼす影響の特徴を解析した。

Article: PTENESR1の変異はアルペリシブへの臨床抵抗性とアロマターゼ阻害剤を促進する

Alterations in PTEN and ESR1 promote clinical resistance to alpelisib plus aromatase inhibitors

doi:10.1038/s43018-020-0047-1

以前のホルモン受容体陽性転移性乳がんに対するPI3K阻害剤とアロマターゼ阻害剤の第I/II相試験では抵抗性が認められた。Chandarlapatyたちは今回、この抵抗性に関連するゲノム変異を特定するためにctDNAの縦断的試料を用いて、PTENESR1にゲノム変異を特定した。

Article: EGFR阻害は抗ウイルスシグナル伝達経路を借用して、肺がんにおける適応応答を引き起こす

EGFR inhibition triggers an adaptive response by co-opting antiviral signaling pathways in lung cancer

doi:10.1038/s43018-020-0048-0

Habibたちは、EGFR阻害は非小細胞肺がんモデルにおいてI型IFNシグナル伝達を誘発することを明らかにし、EGFR阻害とIFN中和抗体の併用が有望な治療法になる可能性を示している。

Article: in vivoのゲノム規模CRISPRスクリーニングから、RNA結合タンパク質Staufen2が骨髄性白血病の主要調節因子であることが明らかになった

An in vivo genome-wide CRISPR screen identifies the RNA-binding protein Staufen2 as a key regulator of myeloid leukemia

doi:10.1038/s43018-020-0054-2

Reyaたちは、in vivo CRISPRスクリーニングを行い、RNA結合タンパク質であるStau2が、骨髄性白血病の増殖とプログレッションの主要な調節因子であることを明らかにした。

Article: 単一細胞解析が明らかにする、小細胞肺がんにおける治療抵抗性が生じた後の腫瘍内不均一性の上昇

Single-cell analyses reveal increased intratumoral heterogeneity after the onset of therapy resistance in small-cell lung cancer

doi:10.1038/s43018-019-0020-z

Stewartたちは、小細胞肺がん患者の循環血中腫瘍細胞に由来する異種移植片を用いて、治療抵抗性の開始後に見られる腫瘍の不均一性について調べている。

Resource: 小細胞肺がんCDXモデルのバイオバンクにより、腫瘍間および腫瘍内の表現型不均一性が解明された

A biobank of small cell lung cancer CDX models elucidates inter- and intratumoral phenotypic heterogeneity

doi:10.1038/s43018-020-0046-2

Simpsonたちは、小細胞肺がん(SCLC)38例の循環血中腫瘍細胞に由来する外植片の生体試料バイオバンクと、これらを用いた腫瘍不均一性の研究について報告している。これらのモデルは、SCLCの生物学的性質やプログレッション、治療応答性に関するさらなる研究に利用可能である。

Resource: 進行がん患者のがん種横断的解析により、治療とゲノム全体像の間に見られる相互作用を明らかにする

Pan-cancer analysis of advanced patient tumors reveals interactions between therapy and genomic landscapes

doi:10.1038/s43018-020-0050-6

Marraたちは、POG570コホートでのがん種横断的な、全ゲノム、トランスクリプトームおよび臨床のデータセットについて報告している。これらのデータから治療後の進行がん患者における分子的相互作用が明らかにされた。

Review Article: 腫瘍学における循環血中腫瘍DNAと液体生検

Circulating tumor DNA and liquid biopsy in oncology

doi:10.1038/s43018-020-0043-5

循環血中に含まれる腫瘍DNAの評価は、腫瘍学研究における強力な技術として台頭してきた。L Siuたちは今回、液体生検の将来的な活用について総説し、臨床利用の確立に向けた臨床試験設計にハイライトを当てている。

Article: CD8+ T細胞が分泌したIFN-γによるバイスタンダー腫瘍細胞の遠距離調節

Long-distance modulation of bystander tumor cells by CD8+ T-cell-secreted IFN-γ

doi:10.1038/s43018-020-0036-4

少数の腫瘍細胞によるIFN-γの感知が、腫瘍の大部分にわたってIFN-γ感知と応答の伝播を引き起こすことを、SchumacherたちとBoussoたちによる2報の論文が示している。

Article: バイスタンダーIFN-γ活性は、腫瘍微小環境を変化させる広範囲で持続的なサイトカインシグナル伝達を促進する

Bystander IFN-γ activity promotes widespread and sustained cytokine signaling altering the tumor microenvironment

doi:10.1038/s43018-020-0038-2

少数の腫瘍細胞によるIFN-γの感知が、腫瘍の大部分にわたってIFN-γ感知と応答の伝播を引き起こすことを、SchumacherたちとBoussoたちによる2報の論文が示している。

Article: BAXの低分子アロステリック阻害剤はドキソルビシンによって誘導される心筋症を保護する

A small-molecule allosteric inhibitor of BAX protects against doxorubicin-induced cardiomyopathy

doi:10.1038/s43018-020-0039-1

Amgalanたちの研究で、ドキソルビシンの抗腫瘍作用には影響を与えずに化学療法誘導性の心筋症を防ぐ治療標的としてBAXが見つかった。

Article: 統合的ゲノム解析から明らかになった、急性リンパ芽球性白血病におけるグルココルチコイド抵抗性機構

Integrative genomic analyses reveal mechanisms of glucocorticoid resistance in acute lymphoblastic leukemia

doi:10.1038/s43018-020-0037-3

Aurtyたちは、複数のゲノムに対する統合的研究手法において、ゲノム規模のゲノム解析、エピジェネティック解析、トランスクリプトーム解析を組み合わせて、急性リンパ芽球性白血病におけるグルココルチコイド抵抗性の機構を特定した。

Article: α-ケトグルタル酸はWntシグナル伝達を弱め、大腸がんでの分化を促進する

α-Ketoglutarate attenuates Wnt signaling and drives differentiation in colorectal cancer

doi:10.1038/s43018-020-0035-5

グルタミンが制限された環境はWntシグナル伝達と腸の腫瘍形成を促進するが、代謝物α-ケトグルタル酸の補充は、この作用を打ち消し、腫瘍増殖を弱め、生存を延長することが、T Tranたちにより示された。

Technical Report: CRISPR-Cas9を用いた患者由来異種移植片の直接的なゲノム編集により迅速なin vivo機能ゲノミクスを可能にする

Direct genome editing of patient-derived xenografts using CRISPR-Cas9 enables rapid in vivo functional genomics

doi:10.1038/s43018-020-0040-8

誘導性CRISPR-Cas9を用いて患者由来異種移植でin vivoゲノム編集を行うためのシステムを、Poirierたちが開発した。彼らは、遺伝子依存性や薬剤抵抗性のモデルを作製するための利用法も示している。

Article: 画像化マスサイトメトリーとマルチプラットフォームゲノミクスにより乳がんのフェノゲノミクス全体像を規定する

Imaging mass cytometry and multiplatform genomics define the phenogenomic landscape of breast cancer

doi:10.1038/s43018-020-0026-6

Bodenmillerたちは、画像化マスサイトメトリーとMETABRICコホートからのデータを組み合わせて、乳がんにおける単一細胞の表現型とゲノムの特性を空間的に明らかにした。この結果から乳がんサブタイプと予後の関連が見えてきた。

Article: 血中の腫瘍DNAの動態から、局所的に進行した非小細胞肺がんにおいて強化免疫療法で得られる恩恵を予測する

Circulating tumor DNA dynamics predict benefit from consolidation immunotherapy in locally advanced non-small-cell lung cancer

doi:10.1038/s43018-019-0011-0

化学放射線療法を受けた非小細胞肺がん患者における血中DNAのアッセイによって、強化免疫療法の恩恵を最も得られるだろう患者を特定可能であることを、Diehnたちは報告している。

Article: 細胞外cGAMPはがん細胞によって産生される免疫トランスミッターであり、放射線誘発性の抗がん免疫に関与する

Extracellular cGAMP is a cancer-cell-produced immunotransmitter involved in radiation-induced anticancer immunity

doi:10.1038/s43018-020-0028-4

がん細胞により産生された細胞外cGAMPは免疫トランスミッターとして働き、電離放射線と組み合わせることで腫瘍容積を減少させられるいう結果を、Liたちは報告している。

Article: 原発性黒色腫T細胞の分子解析から、転移再発のリスクがある患者を特定する

Molecular analysis of primary melanoma T cells identifies patients at risk for metastatic recurrence

doi:10.1038/s43018-019-0019-5

Kupperたちは、原発性黒色腫におけるT細胞を介した抗腫瘍応答の分子的評価としてT細胞分画を取り入れ、転移再発性の予測を可能にした。

Article: 1回目の免疫治療サイクル後の末梢T細胞動態が示す免疫系の覚醒

Immune awakening revealed by peripheral T cell dynamics after one cycle of immunotherapy

doi:10.1038/s43018-019-0022-x

黒色腫患者のチェックポイント阻害療法は、末梢T細胞に対して動的な変化と免疫エフェクター細胞の増殖を引き起こすことを、Maraisたちが報告している。この免疫系の覚醒は治療後早期に起こり、臨床に活用できる可能性がある。

Article: MTSS1はRBCK1を介したp65のユビキチン化を亢進して乳房の腫瘍開始細胞を抑制する

MTSS1 suppresses mammary tumor-initiating cells by enhancing RBCK1-mediated p65 ubiquitination

doi:10.1038/s43018-019-0021-y

MTSS1はユビキチンを介したNF-κB経路の抑制を促進して、乳がんのイニシエーションを抑制することを、Congたちが明らかにした。この調節機構が失われると、腫瘍開始細胞の活性化と増殖が促進される。

Resource: 体系的な生存率プロファイリングによる非がん治療薬の抗がん作用の発見

Discovering the anticancer potential of non-oncology drugs by systematic viability profiling

doi:10.1038/s43018-019-0018-6

Golubたちは、もともとはがん治療用に開発されたわけではない数千種類の薬剤を、578種類のヒトがん細胞株において調べた。増殖抑制効果が見つかった他、がんに転用できる可能性のある薬剤を探し出すための研究リソースが得られた。

Analysis: 変異シグネチャー解析のための実践的フレームワークとオンラインツールにより明らかになった組織間のばらつきとドライバー依存性

A practical framework and online tool for mutational signature analyses show intertissue variation and driver dependencies

doi:10.1038/s43018-020-0027-5

Degasperiたちは今回、実践的フレームワークとオンラインツールのSignalを導入して、変異シグネチャーを解析した。変異シグネチャーには組織特異的なばらつきがある証拠が見つかり、この結果は腫瘍の分類や臨床応用に影響を及ぼし得る。

Article: L1CAMは大腸がんにおける転移開始細胞の再生関連起源を特徴付ける

L1CAM defines the regenerative origin of metastasis-initiating cells in colorectal cancer

doi:10.1038/s43018-019-0006-x

L1CAM陽性の細胞集団によって、上皮完全性の喪失後に腸組織の再生が促され、大腸がんでの転移開始と化学療法抵抗性が仲介されることが明らかになった。

Article: 膵管腺がんにおける転写不均一性と扁平上皮特性を一元化するパラダイム

A unifying paradigm for transcriptional heterogeneity and squamous features in pancreatic ductal adenocarcinoma

doi:10.1038/s43018-019-0010-1

C Iacobuzio-Donahueたちは、トランスクリプトーム、組織学、変異データを用いて、膵管腺がん(PDAC)の扁平上皮の特性を解析し、PDACの不均一性と進化に関する理解をさらに深めた。

Article: 短期間の飢餓はIGF-1レベルを低下させ、肺腫瘍をPD-1免疫チェックポイント阻害に対して感受性にする

Short-term starvation reduces IGF-1 levels to sensitize lung tumors to PD-1 immune checkpoint blockade

doi:10.1038/s43018-019-0007-9

短期間の飢餓には抗PD-1阻害との相乗作用があり、肺腫瘍の増殖と転移を低下させることを、D Ajonaたちが報告している。この抗腫瘍効果は、血漿中のIGF-1レベルと腫瘍細胞上のIGF-1Rの減少を介して起こる。

Article: 多様なゲノム特性は非小細胞性肺がんでの免疫チェックポイント阻害の転帰を予測する

Multimodal genomic features predict outcome of immune checkpoint blockade in non-small-cell lung cancer

doi:10.1038/s43018-019-0008-8

V Anagnostouたちは、免疫チェックポイント阻害に対する改良された奏効予測因子について示している。この因子は、腫瘍純度を補正するための腫瘍変異量の推定、RTKゲノム変異、喫煙に関連した変異シグネチャー、HLAの状態を統合したものである。

Article: アフリカ系アメリカ人ではヨーロッパ系アメリカ人に比べて腫瘍における相同組換え欠損が多い

Higher prevalence of homologous recombination deficiency in tumors from African Americans versus European Americans

doi:10.1038/s43018-019-0009-7

B Ryanたちは、アフリカ系アメリカ人とヨーロッパ系アメリカ人の腫瘍のゲノム特性を解析し、相同組換えの欠損がアフリカ系アメリカ人でより多く見られることを見出した。

Article: PAK4の阻害はPD-1遮断免疫療法を改善する

PAK4 inhibition improves PD-1 blockade immunotherapy

doi:10.1038/s43018-019-0003-0

A Ribasたちは、PAK4を阻害すると、Wnt経路活性が低下してT細胞の腫瘍浸潤が増加するために、抗PD-1免疫療法への応答が改善されることを報告している。

Analysis: ユビキチンタンパク質分解系の変化の体系的解析から、この系ががんのドライバー変異に関与することが明らかになった

Systematic analysis of alterations in the ubiquitin proteolysis system reveals its contribution to driver mutations in cancer

doi:10.1038/s43018-019-0001-2

F Martínez-Jiménezたちは、ユビキチン–プロテアソーム系の破壊が、がんにどのように影響を及ぼすかを報告している。ドライバー変異の10%以上が、E3リガーゼ群やそれらの標的をはじめとした、ユビキチンを介するタンパク質分解に関連した遺伝子の変化を含むと、彼らは推定している。

Article: 三重特異性抗体はT細胞受容体を共刺激して腫瘍指向性T細胞の治療奏効性を高める

Trispecific antibodies enhance the therapeutic efficacy of tumor-directed T cells through T cell receptor co-stimulation

doi:10.1038/s43018-019-0004-z

CD38、CD3およびCD28を認識し、T細胞の活性化と共シグナル伝達を誘導する三重特異性抗体を、L Wuたちが開発した。彼らはマウスや非ヒト霊長類において、これらの抗体は複数の標的へ関与することで、腫瘍細胞に対する強化された殺傷力を持つことを示している。

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