Author Interview

大質量星の進化の一端をとらえる — 原始星円盤からアウトフローの噴出を観測

廣田 朋也

2017年7月号掲載

冬の夜空に燦然(さんぜん)と輝くオリオン座。その三つ星ベルトの下にぼんやりと見えるのがオリオン大星雲だ。地球から約1400光年にあり、「星の生まれる場所」として有名である。その中にある赤外線天体KL領域の電波源I(アイ)は、太陽の8.7倍程度の質量を持つ大質量原始星だ。このほど、国立天文台、九州大学、山口大学などの共同研究チームが、この原始星を取り囲む円盤から、ガスが回転しながら噴出していることを確認した。中小質量星では原始星からジェットが回転しながら噴出する現象はこれまでにも観測されていたが、今回、大質量星でアウトフローがはっきりと回転しながら噴出していることが観測されたことは、非常に意義深い。研究の中心となった国立天文台水沢VLBI観測所の廣田朋也さんにお話を伺った。

図1:オリオン大星雲
aはオリオン大星雲の位置。
bは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたオリオン大星雲の可視光画像。中心部分に明るく光る星団、トラペジウムがある。
cは、国立天文台のすばる望遠鏡が近赤外線でとらえたbの中心付近の画像。トラペジウムの右上に可視光では見えない、炎を放出しているようなKL領域がある。電波源I は、炎を放出している辺りにある。 | 拡大する

b. NASA, C.R. O'Dell & S.K. Wong (Rice University)
c. CISCO, SUBARU 8.3-m Telescope, NAOJ

―― 一般に、星はどのように形成されるのでしょうか?

廣田氏: 宇宙には星間ガスと呼ばれる希薄なガスが漂っていますが、均一ではなく、分子雲と呼ばれるガスの密度が高いところ(100個分子/cm3〜)が存在します。単純化してしまうと、その分子雲の中で、何らかのきっかけで力のバランスが崩れると、ガスが集まってきて重力により収縮が始まります。そしてガスの圧縮が進むと内部が高温になり、やがて中心で熱いガスの塊、つまり星が生まれます。このとき問題なのが、何が引き金となってガスの収縮が始まるのかということです。単純に自然に集まるのなら、あちらこちらで星が生まれてしまいます。実際は、あるところでは収縮が速く星へと進化し、あるところでは収縮が起こらずガスのままの状態です。また、同じガスがあったときに、星の質量を決めるのは何か。さらには、星は単独で生まれるのか、あるいは同時に複数生まれるのか、といった問題点も残されています。

―― ガスは回転しながら収縮するのですか?

廣田氏: ランダムにガスが運動しているなら物質はそのまま沈んでいくだけですが、ガスの運動に少しでも偏りがあれば、ガスがゆっくり回っているということになります。ガスが回転しながら収縮していくと、角運動量保存の法則により、中心にいくほど回転速度は大きくなります。一方、回転速度が大きくなると遠心力が大きくなり、そのまま収縮が続くと、あるところで遠心力が重力を超えてしまい、そこでガスの収縮は止まってしまいます。収縮を続けるためには、角運動量のみを外側に輸送させ、角運動量が少ないガスを中心部に降着させる必要があります。この角運動量の輸送機構として、回転を受け取った一部のガスが外へ吹き出し、回転を受け渡した後のガスが収縮していくという考えがあります。これは1980年代から理論計算で指摘されてきました。それを観測により実証しようと世界でしのぎを削っています。

―― そして今回、電波源Iという大質量原始星でその現象が観測されたわけですね。

廣田氏: 実は、2000年代中頃すでに、我々だけでなく米国の研究チームなどもこの天体からガスが回転しながら吹き出しているのではないかという兆候をつかんでいました。私が参画している国立天文台のVERA(VLBI Exploration of Radio Astrometry)※1というプロジェクトでは、水沢(岩手県)・小笠原(東京都)・入来(鹿児島県)・石垣島(沖縄県)に4基の口径20mの電波望遠鏡を配備し、直径2,300kmの超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometer;VLBI)を形成しています。このため、非常に解像度が高く、天体から出ているガスの運動を計測することができます。VERAでKL領域電波源Iを観測すると、ガスが手前に向かってに動いている部分と奥に向かって動いている部分があり、回転しながら膨張していることが分かりました。つまり、ガスが外に向かって回転しながら吹き出していると考えられました(アウトフロー※2)。しかし、VLBIは感度が低いため、電波の強いところ、つまり濃いガスのほんの一部分しかとらえられないので全体像は分からず、本当にアウトフローが回転しながら吹き出しているのかは確証がありませんでした。また、感度と解像度の両方が高くないと、別の解釈も成り立ってしまいます。例えば、2本のアウトフローが重なって見えただけではないかとか、回転ではなく歳差運動(コマの首振り運動)を見ているのではないかといった解釈です。

―― そこで、感度の高いアルマ電波望遠鏡での観測ということですね。

廣田氏: アルマ電波望遠鏡は桁違いの感度と高解像度を持っています。解像度だけならVERAの方が100倍も高いのですが、感度はアルマにはかないません。今回得られたSiO(一酸化ケイ素)分子輝線※3のデータは、専門家であれば、誰がどう見ても回転以外に説明できない、疑いの余地のない非常に明確なデータです(図2b)。実際、他の多くの研究者からも「非常にきれいなデータだった」と言っていただきました。このように、今回のデータが、我々の過去の観測結果をはじめ、これまで独立に観測されたデータと全く矛盾なく、円盤から回転しながららせん状にガスが吹き出していることがはっきりと示されたことが、最も重要なポイントです。実は、我々の論文が掲載された同じ号に、別の原始星で同様にガスが回転しながら吹き出していることを観測したデータ1が掲載されてビックリしましたよ(苦笑)。違いは、彼らは太陽と同じくらいの小質量星の近傍から細く回転しながら吹き出しているガスを観測し、我々は太陽の8.7倍の大質量星の周囲の円盤から広角に回転しながら吹き出しているガスを観測したことです。いずれにせよ、まさにこの分野の競争が世界中で始まっていて、ホットな分野なんだと改めて実感しました。

図2
図2:アルマ望遠鏡が観測した電波源I
aで、中心の赤い部分(星間塵からの熱放射で観測)が、原始星を取り囲む円盤。青い部分(SiO分子輝線で観測)が円盤から吹き出すアウトフロー。
bは、観測されたSiO分子輝線の視線速度マップ。寒色部分はこちらに向かってくるガス。暖色部分は奥に向かっているガス。円盤の周りをらせん状に回転していること分かる。 | 拡大する

a. ALMA(ESO/NAOJ/NRAO), Hirota et al.
b. 廣田朋也氏提供

―― どうして、SiO分子を計測したのですか?

図3
図3:KL領域電波源Iの想像図
大質量星を取り囲む円盤から、アウトフローが回転しながららせん状に双方向に吹き出している。 | 拡大する

ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)

廣田氏: SiOは非常に特徴のある分子で、アウトフローやジェット※4のような高速なガスによって生じる衝撃波のところで強く検出され、衝撃波のないところには存在しません。ケイ素は、通常、地球の岩石のSiO2のように、ケイ酸塩鉱物として星間塵の中に存在します。それが衝撃波を受けると壊され、SiOとなってガスの成分として観測されます。このため、SiO分子輝線が検出されるところにはアウトフローやジェットが見えるというわけです。逆に言うと、SiO分子輝線により、周りの他のガスの成分を除いて、アウトフローやジェットのところだけを見ることができるのです。例えば、COのようなどこにでもある分子を観測すると、一面のっぺりとした画像になります。

以前のVERAなどによる観測から、KL領域電波源IはSiOメーザー※5を強く発していることが分かっており、SiO分子輝線でアウトフローが見えるだろうと予想していました。だからアルマに観測を提案するとき、SiO分子輝線のいろいろなスペクトル線が入るように設定しました。

―― 観測対象にする分子が重要ですね。

廣田氏: その通りです。我々は、電波源Iの観測にSiO同位体のSi18Oを利用しています。Si18Oは、存在量は非常に少ないのですが、高エネルギーの場所、つまり中心に近い高温・高密度のところを見ることができます。そして中心に近いところほど回転が卓越しているので、回転を観測することができるのです。ところが、存在量の多い普通のSi16Oメーザーを観測すると、アウトフローの形は見えますが、アウトフローの周囲にも薄く広がったショックがあるのでのぺっと広がった感じになり、回転の様子は分かりません。同じ天体でも違う電波を使っていたら見えなかったでしょう。実際、違う同位体のSiOを使った観測もしましたが、Si18Oが一番きれいなデータでした。

また、円盤部分を観測するためにH2O分子輝線を利用しました。以前のALMAの観測から円盤部分でH2O分子輝線が発せられていることが分かっていたからです。

―― こうしたアウトフローは、どのような機構で駆動されるのでしょうか?

廣田氏: 私自身は、どちらかといえば観測屋です。この駆動機構を考えるに当たり、理論の専門家の協力が必要になりました。それが、共著者の町田正博(まちだまさひろ)さん(九州大学大学院理学研究科准教授)です。町田さんたちは、理論モデルから星の形成を研究しています。今回のデータから、ガスはジェットほど高速で吹き出してはいないこと、原始星近傍ではなく原始星を取り囲む円盤全体から出ていることがわかりました。これを説明できるのは、磁気遠心力風であり、理論モデルと合致します。もし、星の近くの噴出だったら、高速のジェットにガスが引きずられている、あるいは星風など別の吹き出す機構によるといったことが考えられます。今回は、「円盤全体から吹き出しているあまり速くない(10km/s程度)ガス」であり、また高速ジェットの噴出も確認できなかったので、こうした可能性は排除されます。

―― 磁気遠心力風とは何でしょう?

廣田氏: ガスの収縮に伴い、磁力線も中心部に収束し、磁場が強くなります。磁場が強い場合、磁力線は円盤を貫いていますが、根元の磁力線が傾いているため、円盤からの開口角が広くなります。こうした強い磁場がある場所で物質に遠心力が働くと、物質は円盤からの磁力線に沿って流れます。これが磁気遠心力風です。観測されたアウトフローは、低速で半径が大きいので、まさにこの磁気遠心力風のメカニズムに合致します。また、このことは、中心部に非常に強い磁場があることも示唆しています。こうして、理論的には磁気遠心力風で説明がつくのですが、果たして本当にそうなのか証明するには、実際に磁力線を測定しなければなりません。

―― 星形成の理論モデルでは、アウトフローが出るタイミングとジェットの出るタイミングが違うようですが。

廣田氏: 中小質量星が対象の町田さんたちによる星形成の理論モデルでは、アウトフローが出るのはジェットの出るタイミングより若い、原始星が形成されるより前の段階になります。今回は大質量星についての観測ですが、ジェットは確認できませんでした。ただ、理論モデルではジェットが出ている段階でもアウトフローは出ていると考えられるので、ジェットが見えていないだけとも考えられます。もっと高い解像度や感度で観測したら見えるかもしれません。また、ジェットは可視光や赤外線を多く発しているのですが、大質量星が形成されている領域は星間塵が濃く、可視光や赤外線が吸収されてしまいます。このため、今回はこうした影響でたまたまジェットが見えなかっただけなのではないかという指摘もあります。我々は、ジェットはないと考えていますが、有無の確認は必要です。

―― 大質量星では、中小質量星の進化モデルと違いがあるのでしょうか?

廣田氏: はい。大質量星と中小質量星では、初期状態をはじめいろいろ違いがあります。例えば、大質量星の場合、遠心力や磁力以外にも、自らの光が非常に強く、その強い輻射でガスが吹き飛ばされ、重力収縮を妨げてしまいます。しかし今回の結果から、大質量星でも、中小質量星と同じように、原始星を取り囲む円盤やアウトフロー現象が観測され、基本的には同じような進化が示唆されました。これは重要です。中小質量星のモデルを発展させて、大質量星にも当てはめることができるからです。実際、町田さんの研究グループは、大質量星の形成モデルについてシミュレーションを始めており、近い将来、我々の観測結果とそのモデルを付き合わせて、電波源Iがどういう進化段階なのか突き止めることができるかもしれません。

―― 大質量星形成天体の観測例が少ないと聞いています。

廣田氏: 質量の小さい星ほど簡単に生まれるので、そもそも大質量星の数が少ないのです。これは、太陽系の近くに存在する大質量星の数がとても少ないことを意味します。そうすると遠くの天体を観測するしかありませんが、そのためには高感度・高解像度が必要になり、観測が進んでいません。

―― オリオン大星雲は太陽系から近いので、いろいろ観測されていますね。

廣田氏: そのため、競争が激しいです。VERAの主要目的の1つは、天体の距離を正確に調べるというということです。私自身、この天体にはまったきっかけは、このプロジェクトに入ったときに最初に何を観測するかということになり、太陽系から一番近い大質量星形成領域で非常に強いメーザーが出ている誰でも知っている有名天体だから、これをやると言って始めたことです。まず、距離を調べて、太陽系から一番近い大質量星形成領域であるということをはっきり示すことができました。その後、米国の研究グループも独立に計測して同様の結果を出し、距離が決まりました。そのチームとは今でも共同研究をしつつ、よきライバルとしても競い合っています。

また、オリオン大星雲は、星形成で有名なだけでなく、星間化学といわれる星間物質の化学組成、場合によっては生命関連分子の存在も調べたりする、有名な天体です。私は化学にも興味があり、有機分子についても調べています。こうした研究では、SiOではなく別の分子を用いて観測します。前述のように、それぞれの目的に適した分子を探し出して観測することが重要で、そこが研究者の腕の見せ所です。

―― アルマ望遠鏡での観測は割り当てで行われていますが。

廣田氏: はい。観測は国際競争に勝たなくてはできません。テーマも星形成にとどまらず、いろいろあります。最初の年(2011年)の倍率はおよそ10倍、今は4倍くらいです。観測提案を1年に1回出して、審査に通ったら、その後、順番待ち。採択からデータを受け取るまで1年かかります。不採択となり再応募で通っても2年かかることになり、競争の激しい分野では厳しいです。私は、たまたま初年度に観測時間をもらえて良い成果を出し、それを発展させた研究ということがアドバンテージになって次の採択も通りやすくなり、現在に至っています。

―― 今後の課題をお聞かせください。

廣田氏: 直近の課題は、この天体の磁場データの解析です。10月から始まる今年の観測シーズンで観測が採択されていますので、1年くらいで磁場のデータを手に入れることができると思っています。そのデータを元に、磁場の構造が理論モデルと一致するか直接調べられます。

次に、速度の構造をもっと高感度・高解像度で観測して、中心からのジェットの有無を調べることです。そのためには、中心部分だけを選択的に抽出してとらえられるいい分子のスペクトル線、電波を探すことが必要です。おそらく、もっと高い密度、高い温度の部分を観測でき、外側の部分を排除できるような分子になるでしょう。また、ジェットの観測には周波数の低いものが適しているといわれており、アルマよりずっと周波数の低い電波望遠鏡で高感度・高解像度で長時間観測したら見えるかもしれません。

それから、「今回観測された天体は、特殊なものかもしれない」という考えを払拭するために、他の大質量星形成天体を調べ、同様の現象があるかどうかを確かめる必要があります。我々もいろいろ探していますが、前述のように、そういう天体は遠くにあり観測が難しいです。

そして最後に、これらの観測データを理論の研究者に提供してモデルを構築していただき、観測と計算の両面からの検証が必要です。今回の論文でも、町田さんたちの理論モデルから、「アウトフローは磁気遠心力風によるものだ」と説明されたことがポイントになりました。今回の研究も、私1人で観測だけをやっていると「回転しているのが見えました。以上!」だけで、理論モデルによる根拠の裏打ちはできなかったでしょう。ですから、こうした共同研究、連携はとても重要なのです。

―― ところで、昔から星に興味を持っていたのですか?

廣田氏: 小学生の頃から、星を見るのが好きでしたね。高校や大学では天文部に所属していましたし。あと、なんとなく研究やりたいなと高校生くらいから思っていて、それは天文に限らず物理でもよかったので、大学は物理学科に進学しました。確かに、天文が好きだった人がこの分野の研究者には多いですね。ただ、電波天文学を研究している方は、計算機が好きな人もいれば、上の世代の人の中にはアマチュア無線が好きだったという人もいて、必ずしも小さい頃から星に夢中だった人ばかりではないんですよ。星に詳しくなくても、天文の研究や観測はできるんです。少しでも興味があれば、異分野の人でもどんどん研究に加わってほしいですね。

―― 最後になりますが、Nature Astronomy に投稿したきっかけは何でしょう?

廣田氏: 初めはNature に投稿したのですが、やはり「初めての発見ではない」ということをレフェリーに指摘され、エディターからNature Astronomy を進められました。Nature Astronomy は創刊されたばかりでどんなジャーナルなのか分かりませんでしたが、非常にきれいなデータだったので、よりインパクトのあるジャーナルで発表したいと思い、投稿しました。それに、Nature Astronomy は、Nature 本誌よりも専門的なジャーナルだと思いますので、この論文の内容にぴったりなのではと考えました。できれば、創刊第一号に掲載されるとか、掲載された最初の日本人になりたかったですね(笑)。今後もNatureNature Astronomy に投稿できるように頑張りたいと思います。

―― ありがとうございました。

聞き手は、田中明美(サイエンスジャーナリスト)。

※1 VERA:VLBI Exploration of Radio Astrometryの略。日本の国立天文台が世界に先駆けて始動した、銀河系の精密な立体地図を作るプロジェクト(観測開始は2003年)。VLBIにより銀河天体の距離と運動を高精度で計測して、銀河系の真の形と運動を明らかにしたり、暗黒物質の量や分布を調べたり、星の進化を調べたりしようとしている。VLBIは、超長基線電波干渉計、Very Long Baseline Interferometerの略。電波干渉計とは、離れた場所にある複数の電波望遠鏡で観測された電波を干渉させて、高い分解能を得るもの。例えば、望遠鏡間の距離(基線)が10 kmだとすると、直径10 kmの望遠鏡と同じ解像度になり、距離が離れているほど解像度が高くなる。VERAでは本文に記したように、日本の4カ所に口径20mの電波望遠鏡を配置した、直径2,300kmのVLBIで観測している。

※2 アウトフロー:原始星周囲の円盤から、回転軸方向に比較的低速で噴出する双極性のガス流。開口角が広い。秒速10kmくらい。

※3 分子輝線:振動や回転、電子励起などによって分子から放射される、あるいは吸収される電磁波スペクトルのことを分子線という。放射スペクトルを分子輝線といい、吸収スペクトルを分子吸収線という。分子に固有の波長(振動数)を持つ。

※4 ジェット:原始星近傍から、回転軸方向に高速で噴出する双極性のガス流。開口角が非常に狭く絞られている。秒速100kmくらい。

※5 メーザー:誘導放射によって増幅されたコヒーレントなマイクロ波。レーザーと原理は同じ。星間ガスの分子が、低いエネルギーの状態より高いエネルギーの状態の方が多くなっている(反転分布)状態のときに、外から電波が入るとその刺激を受けた分子が電波を放出する。すると今度は、別の分子がその電波によって刺激を受けて電波を発する。こうして連鎖的に反応が起こるうちに電波が増幅され、位相がそろって強い放射が発せられる。分子の種類によって増幅される電波の波長が異なる。星形成領域や活動銀河核付近で観測される。

インタビューを終えて

この原稿を編集校正中の10月半ば、アルマ望遠鏡でKL領域電波源Iの磁場の観測が行われ、1年を待たずに磁場データを入手できるかもしれないとの情報をいただきました。やはり面白い分野で世界的にも注目されているのだ(だからアルマ望遠鏡の観測を優先的にできたのでは)と実感しました。今後が楽しみです。今回お話を伺って感じたのは、星がとても好きな方だなということです。ことに、オリオン大星雲は思い入れの深いものとお見受けしました。物理学科出身ながら理論より観測するのが好きという廣田先生。廣田先生のおられる国立天文台の三鷹キャンパスは、誰でも見学でき、また定期的に観測会も行っており、気軽に天文に親しむことができます。星を知らなくても、少しでも興味があれば、天文台を訪れてみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. Chin-Fei Lee. et al. A rotating protostellar jet launched from the innermost disk of HH 212. Nature Astronomy 1, 0152 (2017).

Author Profile

廣田 朋也(ひろた ともや)

廣田 朋也氏

大学共同利用機関法人自然科学研究機構 国立天文台 水沢VLBI観測所 助教

2000年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了 (博士(理学))
2000年 鹿児島大学理学部物理科学科 助教
2003年 国立天文台地球回転研究系 助手
2009年 国立天文台 水沢VLBI観測所 助教(現職)

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