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Nature Astronomy に掲載された一次研究論文(Articles および Letters)について、その概要を日本語で紹介しています。

2017年3月

  • Perspective: 非バリオン暗黒物質理論の進展

    Growth of the nonbaryonic dark matter theory

    doi: 10.1038/s41550-017-0057

    宇宙に見えない物質があることを示唆する最初の手掛かりから、暗黒物質について現在得られている多くの証拠まで、James PeeblesがInsight Perspectiveで、1970年代に大きく進展した観測と理論を概説する。

  • Review Article: 暗黒物質はどのように認識されてきたか

    How dark matter came to matter

    doi: 10.1038/s41550-017-0059

    暗黒物質は、その存在量にもかかわらず、徐々に受け入れられていった。Jaco de Swartらは、暗黒物質が宇宙論へといかして発展してきたかの歴史を再構成し、暗黒物質について特集されたInsights中のReview Articleで概説している。

  • Letter: 6.5パーセク離れたところにあるK型矮星をトランジットする2つの大質量岩石惑星

    Two massive rocky planets transiting a K-dwarf 6.5 parsecs away

    doi: 10.1038/s41550-017-0056

    近傍の惑星系に、我々から見て親星の正面をトランジットしている2個の地球型惑星が発見された。トランジットする地球型惑星は、それらの大気を含め詳細な特性を評価することができるため、探し求められていたものだ。同じ惑星系にそのような2個の惑星をもつものは非常に珍しい。

  • Letter: 汚染された白色矮星系にある周辺を取り巻く周連星デブリ円盤

    A circumbinary debris disk in a polluted white dwarf system

    doi: 10.1038/s41550-016-0032

    Ferihiらによると、「汚染された」白色矮星を含む連星系には、安定で岩石質の周連星デブリ円盤が存在しているに違いないらしい。したがって、大きな微惑星の形成や、地球型惑星となりうる惑星の形成は、このような系では確実で一般的であるに違いない。

  • Letter: 近傍のきわめて明るい赤外線銀河F01004-2237における潮汐破壊事象

    A tidal disruption event in the nearby ultra-luminous infrared galaxy F01004-2237

    doi: 10.1038/s41550-017-0061

    星が大量に形成されている環境は、星の潮汐破壊現象により大きく寄与するが、これは、スターバースト銀河内の超大質量ブラックホールに降着している星の残骸が検出されたことから明らかになった。

  • Letter: 10年間にわたって持続しそうな潮汐破壊現象

    A likely decade-long sustained tidal disruption event

    doi: 10.1038/s41550-016-0033

    超大質量ブラックホールにより長期間にわたって持続するこれまで例を見ない星の破壊現象が、ここ10年ほどで明らかにされてきた。スペクトルの情報からは非常に効率的な降着が考えられるが、最近の観測ではもっと穏やかな降着モードへ移行しているような兆候が見られる。

  • Letter: ビッグバンから20億年後の原始銀河の類似天体

    Analogues of primeval galaxies two billion years after the Big Bang

    doi: 10.1038/s41550-017-0052

    中程度の赤方偏移を示す銀河を選び出すと、このグループは、原始銀河に似ているように見える。原始銀河に似てそれよりも近いこうした銀河のスペクトルを解析して化学組成とイオン化準位を求めることで、暗すぎてよく研究されていない銀河の理解が進展する。

2017年2月

  • Letter: 磁気圏の風によって月まで運ばれた生命活動由来の地球の酸素

    Biogenic oxygen from Earth transported to the Moon by a wind of magnetospheric ions

    doi: 10.1038/s41550-016-0026

    月の土は地球からの酸素イオンを含み、この酸素は地球の大気を逃れて磁気圏の風を通じて月に届いたものであるという証拠が示された。月の表面は地球の大気の歴史についての手掛かりを有している可能性がある。

  • Letter: オルドビス期に一般的だった珍しい隕石

    Rare meteorites common in the Ordovician period

    doi: 10.1038/s41550-016-0035

    地球に落下する隕石の組成が時代とともに変化するという初の実験的な証拠を、Heckたちが明らかにした。4億7千万年前の隕石の分布は、小惑星帯で起こった現象に関係した影響により、現在とかなり違っていた。

  • Letter: カロンを形成した巨大衝突によってできた冥王星の暗い赤道領域

    The Charon-forming giant impact as a source of Pluto’s dark equatorial regions

    doi: 10.1038/s41550-016-0031

    ニューホライズンズ探査機は、冥王星の赤道領域にあるおそらく有機物からできていると考えられる巨大で赤みがかった領域について明らかにした。本論文では、冥王星最大の衛星カロンを形成したまさに同じ巨大衝突によってその領域が形成されたことを明らかにする。

  • Letter: 修正された17Oの陽子捕獲率によって明らかになった隕石小片の起源

    Origin of meteoritic stardust unveiled by a revised proton-capture rate of 17O

    doi: 10.1038/s41550-016-0027

    隕石小片の同位体分析は、その起源となる特定の天体をいまだに特定できていない。修正された17Oの陽子捕獲率は、中間質量(太陽質量の4倍から8倍)の恒星が大部分の隕石小片の源であると突き止めるのに役立った。

  • Letter: ダイポール・リペラー

    The dipole repeller

    doi: 10.1038/s41550-016-0036

    密度過少領域であるダイポール・リペラーの存在が、局部銀河群の速度場の研究に基づいて予測された。このスーパーボイドとシャプレー超銀河団の複合効果が局部的な宇宙の流れを調整している。

  • Letter: 孤立した矮小銀河群からの低質量での階層的形成の直接的な証拠

    Direct evidence of hierarchical assembly at low masses from isolated dwarf galaxy groups

    doi: 10.1038/s41550-016-0025

    階層的成長について現在受け入れられているモデルである、暗黒物質が支配的な宇宙は、孤立した矮小銀河群がまれであることを予測している。そのような系が7つ発見されたことは、それらが現在の中間質量銀河の構成要素であることを示している可能性がある。

  • Article: 連星系であるさそり座AR星における白色矮星パルサーの偏光の証拠

    Polarimetric evidence of a white dwarf pulsar in the binary system AR Scorpii

    doi: 10.1038/s41550-016-0029

    偏光した放射の周期的なパルスと強い磁場が白色矮星の連星系に発見された。これらの発見は、これまで中性子星のみに関連するとされていたパルサー状の放射機構を裏付けている。

2017年1月

  • Review Article: 惑星探査の3つの時代

    Three eras of planetary exploration

    doi: 10.1038/s41550-016-0010

    惑星の形成と進化において重要な未解決の問題を、水を基本的な共通主題として解説し、惑星や系外惑星の研究者たちがそれらを解決する上で互いにどのように協力できるかを述べている。

  • Letter: 銀河団の衝撃波で起こる電子の再加速

    The case for electron re-acceleration at galaxy cluster shocks

    doi: 10.1038/s41550-016-0005

    銀河団同士の合体から得られた多波長観測データから、活発に降着を受けているブラックホール付近から放出された相対論的電子が、銀河団の衝撃波のところで効率的に再加速されて、拡散した電波放射を特徴的に生成していることが明らかになった。

2016年12月

  • Letter: 南極大陸のドームAに開いたテラヘルツ波長と遠赤外線波長での窓

    Terahertz and far-infrared windows opened at Dome A in Antarctica

    doi: 10.1038/s41550-016-0001

    南極大陸のドームAで得られた20μmから350μmの間の大気スペクトルの解析により、地上からでは一般に水蒸気の波長帯に妨げられるテラヘルツ波長と遠赤外線波長の天文観測にとって、この地が年間を通じてきわめて好条件にあることが示された。

  • Letter: カー・ブラックホールによる潮汐破壊事象としての超高光度トランジェント天体 ASASSN-15lh

    The superluminous transient ASASSN-15lh as a tidal disruption event from a Kerr black hole

    doi: 10.1038/s41550-016-0002

    トランジェント天体ASASSN-15lhはこれまで、発見された超新星の中でもっとも明るいものであるとされていた。しかし現在では、そのフレアが潮汐破壊事象であり、高速回転するブラックホールが隣接する星を引き裂いているものであるという説得力ある証拠が存在している。

  • Letter: 高温のガス惑星 Hat-P-7bでの大気の変動

    Variability in the atmosphere of the hot gas giant Hat-P-7b

    doi: 10.1038/s41550-016-0004

    高温で巨大な太陽系外惑星HAT-P-7bの位相曲線におけるピークの時間変動は、この惑星大気の風速と雲量の変化で説明される。これまで、このような「天気」は太陽系外の巨大惑星では観測されていなかったものだ。

  • Letter: 影になったケレス北部領域に存在する表面の水氷堆積物

    Surface water-ice deposits in the northern shadowed regions of Ceres

    doi: 10.1038/s41550-016-0007

    準惑星ケレスの北極領域にある10個のクレーターの永久影の中に明るい堆積物が発見され、そのうち少なくとも1つは水氷からできていることがわかった。このことは、ケレスが月や水星のように、高緯度域で水氷を逃さずに保持していることを意味する。

  • Video: 永久影にある水氷

    Water in the shadows

    doi: 10.1038/s41550-016-0030

    このビデオは私たちを太陽系の中でもっとも低温で、暗い場所であるケレスの極領域にあるクレーターへと連れて行ってくれる。ケレスは小惑星帯の中でもっとも大きな小惑星である。NASAのドーン探査機によって撮影された新しい画像は、太陽の光が決して当たることのないクレーターのいくつかにとらえられた水氷を明らかにした。ケレスは現在のところ永久影の領域に水氷が確認されている、月そして水星に続く三番目の惑星体である。ケレスの明るく輝いた水氷を理解することによって、将来の恒久的な月面基地の建設に備え、大気のない月やほかの惑星体の水についての理解を深めたいと望んでいる。

  • Letter: 光原子時計を用いた実験から暗黒物質に課される制約

    Experimental constraint on dark matter detection with optical atomic clocks

    doi: 10.1038/s41550-016-0009

    トポロジカルな欠陥(たとえば、宇宙ひも)の形で暗黒物質を検出するため、単一光原子時計を用いた実験装置が提案されている。検証ではこれまでと同様な実験に比べて、およそ3倍の感度が示された。

  • Letter: 銀河系質量をもつ90億年前の銀河の祖先に見られる大規模な分子ガスリザーバー

    Large molecular gas reservoirs in ancestors of Milky Way-mass galaxies 9 billion years ago

    doi: 10.1038/s41550-016-0003

    恒星質量と星形成速度が、天の川銀河の85億年前の主な前駆天体と同程度である複数の銀河から得られた低温分子ガスの計測結果によって、星形成の物理が現在見られるものと同様であることが明らかになった。

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