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Nature Astronomy に掲載された一次研究論文(Articles および Letters)について、その概要を日本語で紹介しています。

2018年7月

  • Perspective: 21世紀の科学教育

    Science education in the 21st century

    doi: 10.1038/s41550-018-0510-4

    科学はこれまでとは異なった方法で教えられるべきなのだろうか? 事実に基づく知識の習得ではなく、過程を強調することによって、生徒たちは課題解決の方法を学び、科学を研究以外のキャリアに関係するものとして考えるだろう。

  • Review Article: 重力波と長きにわたる相対論の進化

    Gravitational waves and the long relativity revolution

    doi: 10.1038/s41550-018-0472-6

    一般相対性理論は、第二次世界大戦後、概念的な変換を受けたが、この変換を用いてこれまで漠然と定義されていた「一般相対性理論のルネサンス」を理解することができ、これが重力波の予測と最終的な発見に結びついた。

  • Letter: 地球の雷の発生率に近いことを示唆する木星付近の急速なホイッスラー波の発見

    Discovery of rapid whistlers close to Jupiter implying lightning rates similar to those on Earth

    doi: 10.1038/s41550-018-0442-z

    ジュノー探査機に搭載された波動観測器は、木星に接近するまでのおよそ1年間で約1,600回の雷を検出している。これは、イオのプラズマトーラス中でボイジャー1号探査機によって検出されたものよりも大幅に短い時間スケールでの低分散の急速なホイッスラー波によるものである。

  • Letter: 小惑星族の一員であるものにもそうでないものにも共通する起源

    The common origin of family and non-family asteroids

    doi: 10.1038/s41550-018-0482-4

    これまで考えられていたような特定の種族に属している小惑星だけでなく、すべての主小惑星帯内側にある小惑星は、数個の大きな小惑星の分裂を起源とする。そのような前駆天体の歴史によって、我々が小惑星や隕石で観測する組成の多様性が決まる。

  • Letter: 土星の内側の小さな衛星の特異的な形状は同規模の小衛星衝突の証拠である

    The peculiar shapes of Saturn’s small inner moons as evidence of mergers of similar-sized moonlets

    doi: 10.1038/s41550-018-0471-7

    土星の近くを軌道運動している一連の小さな衛星は、変化に富んだ形を示しており、そこから衛星の形成過程の手掛かりが得られる。モデルによれば、これらのすべての形が、同じような大きさの小衛星間の衝突と合体という、単一のメカニズムで得られる可能性があることが示される。

  • Letter: 不規則な核への日照によって調整されたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)のコマの形状

    Coma morphology of comet 67P controlled by insolation over irregular nucleus

    doi: 10.1038/s41550-018-0481-5

    ロゼッタ探査機により得られたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)の核の画像と、数値シミュレーションとを併せると、彗星のコマのジェット状の特性は、広範囲の活動が核の地形により集中することに加え、表面への不均一な日照によって形成される可能性が示される。

  • Letter: 惑星状星雲の光度関数の光度カットオフの奇妙な年齢不変性

    The mysterious age invariance of the planetary nebula luminosity function bright cut-off

    doi: 10.1038/s41550-018-0453-9

    最近まで、恒星の進化モデルは、古い星の種族における明るい惑星状星雲の存在を説明できていなかった。今回、M Bertolami(2016)による改良された進化経路を用いて、低質量で寿命の長い惑星状星雲ほど、明るく輝く可能性があることが明らかにされた。

2018年6月

  • Letter: 大型で岩石質の外惑星のコアの環境下での鉄の状態方程式

    Equation of state of iron under core conditions of large rocky exoplanets

    doi: 10.1038/s41550-018-0437-9

    鉄が、地球の3〜4倍の質量の系外惑星のコアで生じていると考えられる圧力にランプ圧縮されて、この結果から、純粋に鉄でできた仮定的な惑星に対する質量と半径の関係の実験的な制約が得られた。

  • Letter: ガリレオ探査機が得た磁場およびプラズマ波の特性に基づくエウロパのプリュームに関する証拠

    Evidence of a plume on Europa from Galileo magnetic and plasma wave signatures

    doi: 10.1038/s41550-018-0450-z

    木星の衛星エウロパの凍った表面下に海があるとする仮説は、ガリレオ探査機がこの衛星に最接近通過している最中に得た磁場およびプラズマ密度の計測から推測される、in-situでのプリュームの証拠によってさらに強まった。

  • Letter: 若い超新星残骸1E 0102.2–7219の中心部のコンパクトな天体の同定

    Identification of the central compact object in the young supernova remnant 1E 0102.2–7219

    doi: 10.1038/s41550-018-0433-0

    ネオンと酸素の再結合線で見える可視光のリング状構造をもとに、中性子星(中心部の高密度天体)が超新星残骸1E 0102.2–7219のX線データに同定された。

  • Letter: 3C84に見られる重力半径の数百倍のスケールで幅広くコリメートした電波ジェット

    A wide and collimated radio jet in 3C84 on the scale of a few hundred gravitational radii

    doi: 10.1038/s41550-018-0431-2

    3C84を干渉計により観測した結果、ブラックホールから重力半径の数百倍のところに、広がった円筒形のジェットが明らかになり、このことから、ジェットがさらに小さなスケールで急速に側方へ膨張しているか、あるいは降着円盤から放出されていることが示唆される。

  • Letter: 銀河系の小規模な爆発的星形成領域では、予想外に大きな割合で大質量星が形成されている

    The unexpectedly large proportion of high–mass star–forming cores in a Galactic mini–starburst

    doi: 10.1038/s41550-018-0452-x

    銀河系の星形成領域W43–MM1では、恒星の誕生したところの質量分布を記述するコア質量分布関数(CMF)は、生まれたばかりの星の質量分布である初期質量関数(IMF)とは大きく異なっている。これまで、IMFはCMFを反映すると考えられていた。

  • Letter: 銀河の特徴的な星の年齢とそれらの固有の形態との間の関係

    A relation between the characteristic stellar ages of galaxies and their intrinsic shapes

    doi: 10.1038/s41550-018-0436-x

    多天体面分光装置(SAMI)の銀河系探査により、空間的に解像された星の運動と大域的な星の種族を結びつけた研究から、銀河の特徴的な星の種族の年齢とその固有の楕円率に強い相関があることが明らかになった。

  • Article : 紫外線照射のもとでのタイタンの高緯度のエアロゾルの進化

    The evolution of Titan’s high–altitude aerosols under ultraviolet irradiation

    doi: 10.1038/s41550-018-0439-7

    タイタンの厚い褐色がかったヘイズ(もや)は、カッシーニ探査機によって観測された上層大気から、ホイヘンス探査機によってサンプリングされた低層領域まで輸送されるにつれて、化学的にどのように進化するのだろうか? 実験室における真空紫外光実験により、窒素の化学における観測された変化を説明できる可能性がある。

  • Article : タイタンの孤立したヘイズの季節的サイクル

    The seasonal cycle of Titan's detached haze

    doi: 10.1038/s41550-018-0434-z

    タイタンの孤立したヘイズは、中間圏の季節的な活動の尺度をもたらす主要なヘイズの最上部に位置する他とは異なる層であり、分点後の2012年から2016年の間、消失した。この遷移の研究は、作用している力学的なマイクロ物理過程を理解することに役立つ。

2018年5月

  • Perspective: 大規模なものから小規模なものまでの銀河形成シミュレーションにおける最近の進展

    Recent progress in simulating galaxy formation from the largest to the smallest scales

    doi: 10.1038/s41550-018-0427-y

    銀河形成シミュレーションは力学的な範囲が極めて広いため、体積と解像度の間の異なるトレードオフに依存している。これらのシミュレーションについての最近の進展をまとめ、次の10年間にさらなる進歩を牽引しそうな、いくつかの重要な領域に注目する。

  • Perspective: 革新を迎えつつある天文学用キューブサット

    On the verge of an astronomy CubeSat revolution

    doi: 10.1038/s41550-018-0438-8

    キューブサットは標準化された小型衛星であり、宇宙空間から天文観測を行う安価で順応性の高い、まさに今活用され始めた観測機器である。今月号のPerspectiveでは、キューブサットの利点と、現在のそして計画されたプロジェクトの概要を述べる。

  • Letter: 双葉状の彗星の起源としての激しい破壊

    Catastrophic disruptions as the origin of bilobate comets

    doi: 10.1038/s41550-018-0395-2

    本論文では、双葉状の彗星に対する始原的な形成の標準的なシナリオに疑問を投げかける。著者たちは、双葉状の彗星がさらに大きな天体の衝突を通じて形成されるとしても、この衝突はいつでも起こりうることであり、それらの特性を保持し得ることを示す。

  • Letter: タンブリング運動状態にあるオウムアムア

    The tumbling rotational state of 1I/'Oumuamua

    doi: 10.1038/s41550-018-0398-z

    6夜にわたって観測された恒星間天体オウムアムア(1I/’Oumuamua)の光度変化は、単一の回転速度と相容れずこの天体がタンブリング運動していることを示している。色の計測からは、広範囲の赤色の領域を伴う不均質な表面であることが示唆される。

  • Letter: 暗黒物質ではなく銀河系バルジに由来する銀河系中心部のガンマ線超過

    Galactic bulge preferred over dark matter for the Galactic centre gamma-ray excess

    doi: 10.1038/s41550-018-0414-3

    新しい流体力学的なモデルを用いて、銀河系中心部のフェルミガンマ線宇宙望遠鏡のLATデータを合わせ込んだ結果、その領域の超過ガンマ線放射は非球面的な形状とすれば良く合うことが示され、この放射が暗黒物質に関連する現象によるものではないことを示唆している。

  • Letter: 水星に似た組成をもつ地球程度の大きさの太陽系外惑星

    An Earth-sized exoplanet with a Mercury-like composition

    doi: 10.1038/s41550-018-0420-5

    水星内部における金属の存在度は、太陽系の岩石惑星の中で特異である。本論文で示す「スーパーマーキュリー」太陽系外惑星の特性は、水星のような惑星がどのように形成され進化するかに関する我々の理解を深めるだろう。

  • Letter: 宇宙マイクロ波背景放射の重力レンズ効果に残された宇宙フィラメントの痕跡の検出

    The detection of the imprint of filaments on cosmic microwave background lensing

    doi: 10.1038/s41550-018-0426-z

    宇宙フィラメントは、原初の宇宙で形成された密度ゆらぎから非線形的に進化する。宇宙フィラメントによる宇宙マイクロ波背景放射の重力レンズ効果を検出することにより、フィラメントからどのように大規模物質分布がたどれるか計測することが可能になる。

  • Letter: オウムアムアのタンブリング運動と、この天体の遠い過去の衝突の影響

    Tumbling motion of 1I/'Oumuamua and its implications for the body' distant past

    doi: 10.1038/s41550-018-0440-1

    2017年10月27〜28日のおよそ8時間にわたり、ジェミニ北天文台から行われたオウムアムア(1I/’Oumuamua)の観測から、この天体の等級変化が評価されタンブリング運動する特性が検出されており、これは、オウムアムアがまだもとの系に存在していたときの古い衝突によって引き起こされたものである。

  • Article: 恒星周囲のエンベロープで合成されるピレンと二次元ナノ構造の形成におけるその役割

    Pyrene synthesis in circumstellar envelopes and its role in the formation of 2D nanostructures

    doi: 10.1038/s41550-018-0399-y

    多環芳香族炭化水素のピレンは、4つのベンゼン環が縮合して形成されたものであり、二次元の炭素質の構造形成における重要な分子である。Zhaoたちは実験およびコンピューターを用いた手法により、ピレンが星周条件で形成される可能性があることを示した。

  • Article: 天王星大気の雲の上方で検出された硫化水素

    Detection of hydrogen sulfide above the clouds in Uranus's atmosphere

    doi: 10.1038/s41550-018-0432-1

    天王星の近赤外スペクトルの地上観測により、主雲層(1.2〜3バールの圧力)で硫化水素が発見されたことから、天王星の大気における全体の硫黄/窒素の比率が1を超えており、雲はH2Sの氷が支配的であることが示唆される。

2018年4月

  • Perspective: 太陽系外惑星における電離層の生物マーカーとしての原子状酸素イオン

    Atomic oxygen ions as ionospheric biomarkers on exoplanets

    doi: 10.1038/s41550-017-0375-y

    電離層のもっとも高密度の部分を酸素原子が占めている唯一の既知の惑星が、地球である。著者らは、この状態が光合成の存在に厳密に関連付けられると主張する。このように、電離層のO+は、太陽系外惑星に対する生物マーカーとして利用できる。

  • Letter: ペルセウス銀河団の古いコールドフロントの分離

    The split in the ancient cold front in the Perseus cluster

    doi: 10.1038/s41550-018-0401-8

    銀河団のコールドフロントは、密度と温度の鋭い飛びであり、その揺動は、銀河団のコアの運動の長期間にわたる歴史を保持している。チャンドラ観測衛星は、ペルセウス銀河団のコールドフロントが極端に鋭く、2つの境界に分けられることを示した。

  • Letter: TRAPPIST-1惑星の水に富んだ組成から推測されるこれら惑星の内側移動

    Inward migration of the TRAPPIST-1 planets as inferred from their water-rich compositions

    doi: 10.1038/s41550-018-0411-6

    M型矮星であるTRAPPIST-1の太陽系外惑星系に、質量と半径から惑星の組成を求めることができるモデルを適用したところ、惑星fとgは相当量の水を含む一方で、惑星bとcはかなり乾燥しているという結果を得た。

  • Letter: スーパーアースとミニネプチューンの大気の実験におけるヘイズの生成速度

    Haze production rates in super-Earth and mini-Neptune atmosphere experiments

    doi: 10.1038/s41550-018-0397-0

    実験室での実験で、太陽系には存在しないがほかの系では一般的な惑星である、地球と海王星の間の半径をもつもので見いだされる条件におけるエアロゾルの生成について研究した。ほとんどの場合で、光化学的に生成されるヘイズが発生する。

  • Letter: ケプラー探査機のK2ミッションにより発見された高光度の短期変光現象

    A fast-evolving luminous transient discovered by K2/Kepler

    doi: 10.1038/s41550-018-0423-2

    わずか2.2日でピーク光度に達する高光度の短期変光現象(FELT)が検出されている。このことは、このFELTの光度曲線が、Ia型超新星のように放射性元素の崩壊によって駆動される可能性はないことを示唆する。

  • Letter: 中性子星に駆動される超高輝度X線源の磁場強度

    Magnetic field strength of a neutron-star-powered ultraluminous X-ray source

    doi: 10.1038/s41550-018-0391-6

    超高輝度X線源(ULX)の駆動源は、いまだ議論のあるところだ。ULXに対するチャンドラ観測衛星によるスペクトルに4.5キロエレクトロンボルトの吸収線が検出されたことで、スーパーエディントン降着率で降着を受け強く磁化した中性子星というシナリオが支持される。

  • Article: CMコンドライトによって明らかとなった炭素質小惑星における水の2とおりの起源

    A dual origin for water in carbonaceous asteroids revealed by CM chondrites

    doi: 10.1038/s41550-018-0413-4

    6個の炭素質コンドライトを実験室で分析した結果、原始惑星系円盤における異なる重水素(D)濃集レベルをもつ、2つの水の源の存在が示唆される。一つは重水素に乏しい円盤内側のリザーバー、もう一つは円盤外側から内側へ向かって輸送された重水素の豊富なものである。

  • Article: 強く重力レンズ効果を受けた銀河内の2つの特異な高速トランジェント

    Two peculiar fast transients in a strongly lensed host galaxy

    doi: 10.1038/s41550-018-0405-4

    2つの異常なトランジェント現象が、強い重力レンズ効果をもたらす銀河団の背後にハッブル宇宙望遠鏡によって発見され、これは、明るい青色変光星もしくは反復新星の別々の爆発として、または一対の無関係な恒星のマイクロレンズ現象として説明される可能性がある。

  • Article: 銀河団の重力レンズによる赤方偏移1.5にある単独の恒星の極度な増光

    Extreme magnification of an individual star at redshift 1.5 by a galaxy-cluster lens

    doi: 10.1038/s41550-018-0430-3

    z=1.49の位置にある星が前方にある銀河団によって重力レンズ効果を受け、大きく増光された。恒星の放射の変動は、銀河団の恒星、高密度天体の質量関数、そして暗黒物質のサブハローの存在についての洞察をもたらす。

2018年3月

  • Letter: ほとんどの期間が低温だった古代の火星で、短期間の温暖湿潤な状件下で形成された表面の粘土

    Surface clay formation during short-term warmer and wetter conditions on a largely cold ancient Mars

    doi: 10.1038/s41550-017-0377-9

    初期の火星の状態に関する地球化学モデルが示唆するところによれば、全般的に低温な気候での間欠的な短期間の温暖な時期に、アルミニウムに富んだフィロケイ酸塩が、地表に短期間存在した水塊中で形成され、マグネシウムに富んだものは、地下の熱水環境で形成された可能性がある。

  • Letter: トラピスト-1の周囲のハビタブル・ゾーンを軌道運動する地球程度の大きさの惑星に関する大気の研究

    Atmospheric reconnaissance of the habitable-zone Earth-sized planets orbiting TRAPPIST-1

    doi: 10.1038/s41550-017-0374-z

    トラピスト-1星系のハッブル宇宙望遠鏡による観測から、ハビタブル・ゾーンの内部あるいは周辺にある3個の惑星に対して、雲がないH2がほとんどの大気は存在しないことが確認された。この結果は、これらの惑星が事実上、地球型惑星であるという仮説を支持する。

  • Letter: 高温ガス巨大惑星CoRoT-2bの大気中における西側にずれたホットスポットの検出

    Detection of a westward hotspot offset in the atmosphere of hot gas giant CoRoT-2b

    doi: 10.1038/s41550-017-0351-6

    全球的な循環理論は、赤道域の強力なジェットが東に向かって高温ガスを吹き流し、これが原因となって、東側にずれたホットスポットが生じることを予測している。Dangらは、西側にかなりずれているホットスポットの検出を明らかにした。

  • Letter: 擬似星間塵氷からの反応性脱離の赤外分光分析

    An infrared measurement of chemical desorption from interstellar ice analogues

    doi: 10.1038/s41550-018-0380-9

    擬似的な氷星間塵表面におけるH2S、HSおよびHの間の反応によって生じる反応性脱離の効率が、この表面の in situ での赤外線計測を用いて定量化され、非熱的な脱離過程を理解するための有益な情報が得られた。

  • Letter: CALIFA探査から推測される現在の銀河における恒星軌道の分布

    The stellar orbit distribution in present-day galaxies inferred from the CALIFA survey

    doi: 10.1038/s41550-017-0348-1

    現在の宇宙における、太陽の108.7から1011.9倍の質量をもった300個の銀河内の恒星軌道の真円度の分布が、CALIFA探査によって直接的に観測され、銀河のシミュレーションに対するベンチマークがもたらされた。

  • Letter: z > 1.4に位置する静穏な銀河の予想外に大量の塵とガス

    The unexpectedly large dust and gas content of quiescent galaxies at z > 1.4

    doi: 10.1038/s41550-017-0352-5

    近傍宇宙におけるほとんどの恒星の故郷である、z ~ 1.8に位置する静穏な早期型銀河(ETG)のサンプルは、一定の恒星質量で塵の量が近傍のETGよりも2桁多い。このことは、ガスの量がより高いことを示唆しており、この赤方偏移での星形成がガスの除去によって止まるという考え方と対立している。

  • Article: パルサーの高エネルギースペクトルに対する秩序パラメータ

    Order parameters for the high-energy spectra of pulsars

    doi: 10.1038/s41550-018-0384-5

    パルサーの非熱的放射に対するモデルは、たった4つの物理パラメータを用いてパルサーのγ線およびX線スペクトルに一致させることができる。このモデルはいくつかのスペクトルの特徴を説明し、このモデルを用いて、γ線放射が与えられたものとしてX線でのパルサーの検出可能性を予測することができ、またその逆もできる。

2018年2月

  • Perspective: 東アジア超長基線電波干渉計観測網の性能と可能性

    Capabilities and prospects of the East Asia Very Long Baseline Interferometry Network

    doi: 10.1038/s41550-017-0277-z

    東アジア超長基線電波干渉計観測網(EAVN)は、21基の電波望遠鏡で構成され、その設備と周波数は活動銀河核のジェットの詳細な撮像、メーザーやパルサーの精確な位置計測、探査機の位置調整を可能にするように設定されている。

  • Letter: 塵の嵐の深部対流によって強められる火星からの水素の散逸

    Hydrogen escape from Mars enhanced by deep convection in dust storms

    doi: 10.1038/s41550-017-0353-4

    火星大気中の水と塵の垂直分布に関する火星気候サウンダの複数年に及ぶ観測は、塵の嵐による深い対流が下層大気から中層大気まで水を輸送し、宇宙空間への水の散逸を強めていることが示された。

  • Letter: 最初の恒星間天体1I/2017 U1オウムアムアの分光学および熱モデル

    Spectroscopy and thermal modelling of the first interstellar object 1I/2017 U1 ‘Oumuamua

    doi: 10.1038/s41550-017-0361-4

    恒星間天体オウムアムアの可視光と赤外線のスペクトルは、表面組成が不均質であり、長期間にわたって宇宙線に曝された後の有機物を豊富に含んだ物質が支配的であることを示唆している。氷の豊富な内部構造は排除されない。

  • Letter: 惑星質量をもつ若い伴星の自転進化を絞り込む

    Constraints on the spin evolution of young planetary-mass companions

    doi: 10.1038/s41550-017-0325-8

    ガス巨大惑星と惑星程度の質量の褐色矮星の角運動量は、似たような物理過程によって調整されている。自転速度は最初の2-3億年は変化せず、これらの物理過程は惑星進化の初期段階のほとんどの期間で有効である。

  • Letter: 星形成領域における磁場のトレーサーとしてのメタノールの特性

    Characterization of methanol as a magnetic field tracer in star-forming regions

    doi: 10.1038/s41550-017-0341-8

    メタノールのメーザー輝線は、大質量の星形成領域における磁場強度の重要なトレーサーである。本論文では、内部回転に起因する超微細構造を含む、メタノールの詳細な磁場特性のモデル化を詳細する。

  • Letter: 不均一にサンプリングされた変光星の分類に対する再帰型ニューラルネットワークの活用

    A recurrent neural network for classification of unevenly sampled variable stars

    doi: 10.1038/s41550-017-0321-z

    新しい教師なしのオートエンコードする再帰型ニューラルネットワークは、最新の教師あり分類モデルを生成する。このネットワークは、分類されていない新しい観測から学習を続けることができ、ほかの教師なしの課題にも利用される可能性がある。

  • Letter: 新時代の一面を示した、ちょうこくしつ座矮小銀河内の3次元運動

    Three-dimensional motions in the Sculptor dwarf galaxy as a glimpse of a new era

    doi: 10.1038/s41550-017-0322-y

    ガイアとハッブル宇宙望遠鏡に基づいた、ちょうこくしつ座矮小銀河の星の正確な固有運動は、銀河系周囲の細長く伸びた大きな傾斜角をもつ軌道を移動し、ちょうこくしつ座矮小銀河の質量分布に関する従来のモデルを考え直す必要を示す。

  • Letter: 孤立した早期型銀河周辺の暗い伴銀河の消失

    Demise of faint satellites around isolated early-type galaxies

    doi: 10.1038/s41550-017-0332-9

    孤立した大質量の早期型銀河周辺にある伴銀河に対する、rバンドの等級でM = −14 のカットオフは、これらの伴銀河の光度関数が親銀河の環境との相互作用でほぼ決められることを示唆している。

  • Letter: 活動銀河核からのジェットにおける再閉じ込めと安定性の喪失

    Reconfinement and loss of stability in jets from active galactic nuclei

    doi: 10.1038/s41550-017-0338-3

    磁気を帯びていない相対論的なジェットの再閉じ込めの間、遠心力不安定性が増大し、乱流状態を引き起こす。この不安定性は、活動銀河核のジェットを2つのファナロフ・ライリー型の分岐の背後にあると考えられる。

2018年1月

  • Review Article: アンティキティラ島の機械について今わかっていること

    Our current knowledge of the Antikythera Mechanism

    doi: 10.1038/s41550-017-0347-2

    アンティキティラ島の機械は知られている限り最古の機械式計算機である。最新の技術による撮影から、この機械は太陽や月の天球上の位置を示すことが明らかになった。また、多数の刻印の解読により、機械は黄道十二星座内で移動する惑星の位置を示すことが判明した。

  • Letter: エウロパの氷殻に見られる全球的な子午線方向の氷流の力学

    Dynamics of the global meridional ice flow of Europa’s icy shell

    doi: 10.1038/s41550-017-0326-7

    エウロパの氷殻とその下の海に結びついた全球的な流れのモデルは、子午線方向の氷の流れの存在を示す。対流と海の熱輸送は、流れの方向および強度、そして氷の厚さの勾配に影響を及ぼす可能性がある。

  • Letter: AstroSatに搭載されたCZT撮像装置を用いた、かにパルサーの位相分解X線偏光測定

    Phase-resolved X-ray polarimetry of the Crab pulsar with the AstroSat CZT Imager

    doi: 10.1038/s41550-017-0293-z

    インドの天文観測衛星AstroSatによる、かにパルサーの高感度X線偏光計測は、パルスからずれた強く偏光した放射の初期の兆候を確認するとともに、パルスからずれた領域での偏光特性の変動も明らかにした。

  • Letter: 超大質量ブラックホールの質量決定に影響する中心核のガス分布

    The effect of nuclear gas distribution on the mass determination of supermassive black holes

    doi: 10.1038/s41550-017-0305-z

    降着円盤の特性から導かれるブラックホールの質量とビリアル質量の推測は、幅の広がった輝線の幅に反比例して数倍異なっている。傾斜した円盤面のガスが、この影響を説明する可能性がある。

  • Letter: 3つのバーストを示したGRB 160625Bにおける火球からポインティング・フラックスの優勢なジェットへの遷移

    Transition from fireball to Poynting-flux-dominated outflow in the three-episode GRB 160625B

    doi: 10.1038/s41550-017-0309-8

    極めて明るいGRB 160625Bは、静穏な間隔で分けられた3つのサブバーストからなっているが、火球からポインティング・フラックスの優勢なジェット組成へと変化することを示す、熱的放射から非熱的放射への遷移を明らかにした。

  • Letter: 「宇宙ヘビ」を解剖して調べた遠方銀河中の星の巨大な塊の特性

    The nature of giant clumps in distant galaxies probed by the anatomy of the cosmic snake

    doi: 10.1038/s41550-017-0295-x

    z〜1に位置する銀河が、異なる解像度で強力なレンズ効果によって多重撮像された。銀河内の星の巨大な塊の特性は、画像の解像度に依存する。星形成における銀河モデルは、この観測上の影響を考慮する必要がある。

  • Article: NGC 1097の中心部における非熱的効果による大質量星形成の停止

    Discovery of massive star formation quenching by non-thermal effects in the centre of NGC 1097

    doi: 10.1038/s41550-017-0298-7

    NGC 1097の中心核領域は非熱的な圧力が優勢であることが発見された。分子雲の星形成効率と磁場強度の間の反相関は、大質量星の形成が抑制されることを示唆する。

  • Article: 量子キャパシタンス検出器を用いた1.5テラヘルツ放射の単一光子検出

    Single photon detection of 1.5 THz radiation with the quantum capacitance detector

    doi: 10.1038/s41550-017-0294-y

    非常に高感度で消費電力が少なく、配列を構成することが可能な光子検出器がテラヘルツ天文学に適していることが示された。この装置は個々の遠赤外線の光子を確実に計測することができる。

2017年12月

  • Perspective: パルサーの過去、現在そして未来

    The past, present and future of pulsars

    doi: 10.1038/s41550-017-0323-x

    パルサーの発見から50年という節目を迎え、ジョスリン・ベル・バーネルが、これらの天体の検出や現在の理解、それに次世代の電波観測の先駆けとなった新しい時代の発見について述べる。

  • Perspective: ラヴェル電波望遠鏡とパルサー天文学におけるその役割

    The Lovell Telescope and its role in pulsar astronomy

    doi: 10.1038/s41550-017-0292-0

    ジョドレルバンク天文台のラヴェル電波望遠鏡は、パルサーの発見から今日まで、パルサー天文学に基本的な役割を果たしてきた。本論は、天文学および初期の宇宙開発競争でラヴェル電波望遠鏡の成し遂げた偉業を概説する。

  • Letter: エンセラダス内部で長期間に及ぶ熱水活動へのエネルギー供給

    Powering prolonged hydrothermal activity inside Enceladus

    doi: 10.1038/s41550-017-0289-8

    非常に多孔質(未固結)であるコア内部の潮汐力は、エンセラダスに観測される全球的な特徴のすべてを引き起こすのに十分なエネルギーを生じることができる。この活動は数十億年にわたって保持される可能性がある。

  • Letter: 漸近巨星分枝星においてALMAで解像された衝撃波加熱された大気

    The shock-heated atmosphere of an asymptotic giant branch star resolved by ALMA

    doi: 10.1038/s41550-017-0288-9

    進化した恒星である、うみへび座W星の大気がALMAで解像され、衝撃波加熱されていることが示された。これらの観測から、星周辺の構造、対流、化学組成、そして脈動の理解にとって重要な観測に基づいた制約が得られる。

  • Letter: 過渡的なミリ秒パルサーからの可視光パルス

    Optical pulsations from a transitional millisecond pulsar

    doi: 10.1038/s41550-017-0266-2

    自転からエネルギー供給される状態から降着円盤の状態へと遷移したミリ秒パルサーからの可視光パルスが検出されている。可視光の放射は自転からエネルギー供給される磁気圏における電子シンクロトロン放射によるものであると考えられる。

  • Letter: 降着を受けている銀河系ブラックホール系における可視光ジェット基部としての0.1光秒の高さ

    An elevation of 0.1 light-seconds for the optical jet base in an accreting Galactic black hole system

    doi: 10.1038/s41550-017-0273-3

    降着を受けているブラックホール連星系からの可視光フラックスの急速な変動とX線フラックスのものとの間に見られる時間差が、明るく輝く電波ジェットとともに報告された。このことは、放射ジェットの基部がブラックホールから0.1光秒という特徴的な高さにあることを示唆する。

  • Letter: 活動銀河の中心部における高エネルギーのトランジェント現象を示す種族

    A population of highly energetic transient events in the centres of active galaxies

    doi: 10.1038/s41550-017-0290-2

    これまででもっとも高エネルギーのトランジェント現象の発見が報告された。その分光学的な特性と時間的な変化から、この現象は、膨張する物質と大量の高密度な周辺物質との間の衝撃波相互作用によって駆動されていることが示唆される。

  • Letter: 動径拡散の変化によって調整される土星の放射線帯の進化

    The evolution of Saturn’s radiation belts modulated by changes in radial diffusion

    doi: 10.1038/s41550-017-0287-x

    土星の陽子放射線帯は完全に孤立した系であり、惑星の放射線帯における内因的な影響に対する実験室として使うことができる。太陽周期にわたるこれらの進化は、磁気圏の動径拡散の変化に関係した変動を示す。

  • Article: 誘導加熱によるトラピスト–1星系の惑星におけるマグマオーシャンと増強された火山活動

    Magma oceans and enhanced volcanism on TRAPPIST-1 planets due to induction heating

    doi: 10.1038/s41550-017-0284-0

    トラピスト-1星系にある惑星のうち内側の4個は、それらの親星との磁気的相互作用による誘導加熱を受けた。これによりそれらの惑星に火山活動の増加やガス放出が生じ、そして地表下のマグマオーシャンも生じた可能性がある。

  • Article: 超大質量のブラックホール連星系からの局所的なナノヘルツ重力波ランドスケープ

    The local nanohertz gravitational-wave landscape from supermassive black hole binaries

    doi: 10.1038/s41550-017-0299-6

    今回、個々の超大質量ブラックホール連星系からの連続的なナノヘルツの重力波放射と、それらがつくり出す重力波背景放射の計算について報告されている。これらは今後、パルサータイミングアレイで観測可能なものだ。

2017年11月

  • Letter: 木星の北極および南極のX線オーロラの独立した脈動

    The independent pulsations of Jupiter’s northern and southern X-ray auroras

    doi: 10.1038/s41550-017-0262-6

    木星の南極におけるX線オーロラが、ホットスポット(これまで北極のオーロラにのみあることが知られていた)に集中しており、北極のオーロラの明るさと時間変動とはまったく独立して振舞うことが明らかにされた。

  • Letter: 土星の巨大な北極の嵐による準周期的な赤道振動の擾乱

    Disruption of Saturn’s quasi-periodic equatorial oscillation by the great northern storm

    doi: 10.1038/s41550-017-0271-5

    土星の北半球中緯度に見られた2010年から2011年の嵐は、3年以上にわたって赤道での準周期的な大気振動を擾乱させ、嵐から遠く離れた風の構造や大気温度を様変わりさせた。

  • Letter: 太陽コロナにおけるナノフレアにより加熱されるプラズマのFOXSI-2観測ロケットによる検出

    Detection of nanoflare-heated plasma in the solar corona by the FOXSI-2 sounding rocke

    doi: 10.1038/s41550-017-0269-z

    太陽の静穏な活動領域からの1,000万ケルビン以上に加熱されたプラズマが生成した硬X線放射が発見され、これにより、ナノフレアによるプラズマ加熱の明らかな観測的な証拠が得られたことで、コロナ加熱におけるナノフレアの重要な役割が示唆される。

  • Letter: 活動銀河核における広輝線の起源となる潮汐破壊された塵に富んだガス塊

    Tidally disrupted dusty clumps as the origin of broad emission lines in active galactic nuclei

    doi: 10.1038/s41550-017-0264-4

    1型活動銀河核からの広輝線の起源はよくわかっていない。中心部のブラックホールによって潮汐破壊される塵に富んだガス塊からの輝線の計算によれば、これらのガス塊から広輝線が生じることが示唆される。

  • Letter: かじき座30に匹敵するかもしれない星形成領域LMC-N79

    The star-forming complex LMC-N79 as a future rival to 30 Doradus

    doi: 10.1038/s41550-017-0268-0

    大マゼラン雲のまだそれほど探査されていない南西領域には、かじき座30の星形成効率に匹敵する、大質量で隠れた星形成複合体が存在している。その中のもっとも明るい天体は、形成中の超星団の可能性がある。

  • Letter: 重力波現象GW 170817に付随した偏光のないマクロノバ

    The unpolarized macronova associated with the gravitational wave event GW 170817

    doi: 10.1038/s41550-017-0285-z

    2個の中性子星の合体が重力波現象GW 170817を引き起こし、これに対応した可視光とガンマ線のスペクトルの電磁放射が伴っていた。可視光放射の偏光の測定からは、ランタニド元素を豊富に含むマクロノバが明らかになった。

  • Letter: 宇宙マイクロ波背景放射の重力レンズ効果を用いた銀河団のリッチネス–質量較正

    Cluster richness–mass calibration with cosmic microwave background lensing

    doi: 10.1038/s41550-017-0259-1

    銀河団の可視光放射から質量をマップすることは難しい。大質量銀河団による宇宙マイクロ波背景放射の重力レンズ効果を用いて、銀河団の可視光でのリッチネス(optical richness)を10パーセントのレベルでそうした銀河団の総バリオン質量に較正した。

  • Letter: チコの超新星の前駆天体は高温でなく明るくもない

    No hot and luminous progenitor for Tycho’s supernova

    doi: 10.1038/s41550-017-0263-5

    チコの(Ia型)超新星の周辺環境のイオン比率の評価から、高温で明るい白色矮星を除外するのに十分な前駆天体の特性が絞り込まれた。2個の白色矮星の合体が考えられる。

2017年10月

  • Review Article: ニューホライズンズの接近通過が明らかにした冥王星系

    The Pluto system after the New Horizons flyby

    doi: 10.1038/s41550-017-0257-3

    ニューホライズンズ探査機は2015年7月、冥王星とその準惑星系を接近通過して、50ギガバイト超の高解像度画像とデータをもたらし、こうしたデータによって、この準惑星に対する我々の見解と理解は一変した。このReviewはその主要な発見についての要約である。

  • Review Article: 銀河系外の電波連続波による探査と電波天文学の変革

    Extragalactic radio continuum surveys and the transformation of radio astronomy

    doi: 10.1038/s41550-017-0233-y

    電波天文学は、数千万個の電波源を研究することになる将来の探査によって変革され、天文学上のさまざまな未解決の問題への新しい知見が得られるだろう。このReviewでは、この変革とそこへに至るまでを概説する。

  • Review Article: 活動銀河核での中心核の掩蔽

    Nuclear obscuration in active galactic nuclei

    doi: 10.1038/s41550-017-0232-z

    降着を受けている超大質量ブラックホールを取り巻いている物質は、ブラックホールとその親天体とを結びつける。赤外線およびX線による研究から、この物質の構造は複雑で塊状であり、動的であることが明らかになった。

  • Letter: 明るい星レグルスにおける回転による歪みに起因する偏光

    Polarization due to rotational distortion in the bright star Regulus

    doi: 10.1038/s41550-017-0238-6

    恒星大気における電子散乱を原因とする偏光が、高速で自転している恒星レグルスで検出された。この恒星が球形から歪んでいることにより、この効果を確認することができ、およそ50年前からの予測が的中している。

  • Letter: 衝撃波によって駆動される新星アウトバースト

    A nova outburst powered by shocks

    doi: 10.1038/s41550-017-0222-1

    新星ASASSN–16maにガンマ線と可視光放射の間の強い相関が見られたことから、可視光の起源が、放出物における衝撃波からの再生された放射であり、標準モデルで考えられているような、高温の白色矮星付近で解放されるエネルギーではないことが示された。

  • Letter: 原始星と彗星で検出された有機ハロゲン

    Protostellar and cometary detections of organohalogens

    doi: 10.1038/s41550-017-0237-7

    低質量原始星と彗星67Pでクロロメタン(CH3Cl)が観測されており、宇宙空間で最初に発見された有機ハロゲンとなった。この化学種はこれまで生物指標有機分子であると考えられてきたが、著者らは別の非生物的な形成方法が存在することを示唆している。

  • Letter: 銀河系内の中間質量ブラックホール候補天体からのミリ波放射

    Millimetre-wave emission from an intermediate-mass black hole candidate in the Milky Way

    doi: 10.1038/s41550-017-0224-z

    中間質量ブラックホール候補天体が、銀河系中心のSgr A*付近にある分子雲内で報告された。ALMAによる高解像度の観測結果から、極端なガスの運動学と、静穏なブラックホールに一致するコンパクトな電波源が明らかになった。

  • Article: ニュートリノにより引き起こされる重力崩壊というパラダイムを超えて水素を大量に含んだ超新星

    Hydrogen-rich supernovae beyond the neutrino-driven core-collapse paradigm

    doi: 10.1038/s41550-017-0228-8

    超新星OGLE–2014–SN–073の分光測光学と流体力学による研究から、この超新星には、標準的な重力崩壊型でニュートリノによって引き起こされる爆発ではおそらく説明できないほど、極めて大きな質量とエネルギーの放出が推測されることが示された。

  • Article: 地球型惑星におけるCO2循環によるメタンと生物指標有機分子の起源

    The origin of methane and biomolecules from a CO2 cycle on terrestrial planets

    doi: 10.1038/s41550-017-0260-8

    メタンは火星上で、メタン生成と呼ばれる過程においてCO2の光触媒反応を通じ非生物的に生成される可能性があることが実験的に示された。メタンはその後、(衝突による)衝撃を受けて、RNA核酸塩基とグリシンが形成される可能性がある。

  • Article: セイファート銀河NGC 7674に存在する互いがサブパーセク離れた連星系ブラックホール候補天体

    A candidate sub-parsec binary black hole in the Seyfert galaxy NGC 7674

    doi: 10.1038/s41550-017-0256-4

    互いが0.35パーセクの射影距離だけ離れた2個の大質量ブラックホールからなる連星系の候補が、ガスの豊富な相互作用している渦巻銀河NGC 7674で発見され、およそ0.7キロパーセクのZ字形の電波ジェットとおそらく反転したスペクトルの2個のコンパクトな電波コアによって裏付けられた。

2017年9月

  • Perspective: 重力波のエコーによるブラックホールの存在の検証

    Tests for the existence of black holes through gravitational wave echoes

    doi: 10.1038/s41550-017-0225-y

    ブラックホールと時空の特異点は科学の基本的な課題である。観測によりブラックホールの証拠を手に入れることは難しいが、精度の高い重力波の観測によって他の候補の存在を除外したり確認したりすることが可能である。

  • Perspective: オーストラリアの天文学の将来

    The future of astronomy in Australia

    doi: 10.1038/s41550-017-0221-2

    大型の新しい望遠鏡や観測機器、研究センターへの最近の投資のために、オールトラリアの天文学の先行きは明るい。この過程でオーストラリアの関心は、国立の施設から新しい多国籍で世界的な協力へと、移行し続けている。

  • Review Article: 電磁気スペクトルによる活動銀河の考古学

    Archaeology of active galaxies across the electromagnetic spectrum

    doi: 10.1038/s41550-017-0223-0

    活動銀河核(AGN)がその親天体に及ぼす影響を定量化するには、それらのライフサイクルの知識が必要である。AGNの考古学に関するこの総説で、可視光と電波観測から得られた、AGNのライフサイクルに関する主要な最近の発見をまとめる。

  • Letter: 惑星の内部の条件下でレーザー圧縮された炭化水素におけるダイヤモンドの形成

    Formation of diamonds in laser-compressed hydrocarbons at planetary interior conditions

    doi: 10.1038/s41550-017-0219-9

    海王星や天王星の高大気圧下では、メタンからダイヤモンドが凝集する。今回、炭化水素の試料のレーザー衝撃実験によって、ダイヤモンドが凝集するためにはこれまで考えられていたよりも10倍の圧力が必要であるかもしれないことが明らかになった。

  • Letter: 太陽の光度変化の特性

    The nature of solar brightness variations

    doi: 10.1038/s41550-017-0217-y

    数分から数十年までの時間スケールに及ぶ太陽の光度変化は、地球の気候や太陽類似星をめぐる系外惑星の検出に関わってくるものであり、太陽表面の磁場と粒状斑によって十分かつ正確に説明できる可能性がある。

  • Letter: 太陽系誕生時の局所的な星間雲における星間塵の存在度

    The stardust abundance in the local interstellar cloud at the birth of the Solar System

    doi: 10.1038/s41550-017-0215-0

    星間塵の成分は、隕石からのプレソーラー粒子の試料の分析によって定量化されており、これまで考えられているよりも少なくとも2倍多いことが発見されている。ケイ酸塩の量は星間塵のサイズ分布に従っている。

  • Letter: 50億年前の銀河におけるマイクロガウスのコヒーレントな磁場の検出

    Detection of microgauss coherent magnetic fields in a galaxy five billion years ago

    doi: 10.1038/s41550-017-0218-x

    ローカルボリュームを超える銀河における重力レンズを通じて、大規模で秩序だった磁場を発見し特性を解析することによって、そのような磁場がどのように発生したのかが明らかになり、平均場ダイナモ起源が支持される。

  • Letter: 最近の観測による光の力学的な暗黒エネルギー

    Dynamical dark energy in light of the latest observations

    doi: 10.1038/s41550-017-0216-z

    最近の観測により、さまざまな宇宙論的な探査結果の間で対立があることが明らかになっている。暗黒エネルギーが赤方偏移に依存しており一定でないと仮定すると、この対立が緩和する可能性がある。暗黒エネルギースペクトル分析装置(DESI)によるサーベイで、この結果を確認することができるだろう。

  • Article: 銀河系の棒状構造が回転する影響によりパロマー5の恒星ストリームに生じる間隙と長さの非対称性

    Gaps and length asymmetry in the stellar stream Palomar 5 as effects of Galactic bar rotation

    doi: 10.1038/s41550-017-0220-3

    銀河系中心部に位置する棒状構造の回転により、パロマー5の恒星ストリームに見られる間隙と非対称性が説明できる可能性がある。したがって、銀河系中心部付近の似たようなストリームは、銀河系における暗黒物質のサブハローの相互作用を研究するには不適当である。

2017年8月

  • Review Article: 皆既日食による太陽物理学

    Heliophysics at total solar eclipses

    doi: 10.1038/s41550-017-0190

    皆既日食は、太陽風の起源である低層の太陽コロナを研究する唯一の機会である。本レビュー論文では、日食から得られるコロナの科学の最近の進展と、今年の皆既日食に向けた科学研究計画と社会貢献計画が示されている。

  • Letter: 金星の夜側の高層雲に見られる定常波とゆっくりした動きの特徴

    Stationary waves and slowly moving features in the night upper clouds of Venus

    doi: 10.1038/s41550-017-0187

    夜側の金星の雲頂でのビーナス・エクスプレスによる風の観測から、昼側とは異なる描像が示されている。表面の起伏に関係する多くの定常波、および高速と低速の両方の運動(昼間は高速の運動のみが存在する)も確認された。

  • Letter: 火星のトロヤ群小惑星は火星を起源とする

    A Martian origin for the Mars Trojan asteroids

    doi: 10.1038/s41550-017-0179

    火星のトロヤ群小惑星は、この惑星と同じ軌道上を回っていて力学的に関連しており、したがってそれらの起源は共通である。スペクトル観測と力学モデルからの情報を組み合わせたところ、火星のトロヤ群は衝突のあと、火星自身から放出されたことが示唆された。

  • Letter: 磁場の方向と星形成率との関連性

    The link between magnetic field orientations and star formation rates

    doi: 10.1038/s41550-017-0158

    星形成率と分子雲の磁場の整列を組み合わせた研究から、主に磁場が星形成の調整役になっていることが明らかになった。磁場が垂直に整列したところでは星形成が抑制される一方、平行に整列しているところでは星形成が促進される。

  • Letter: マゼラン雲内の若い星団における制動段階に陥った星

    Stars caught in the braking stage in young Magellanic Cloud clusters

    doi: 10.1038/s41550-017-0186

    大マゼラン雲内のいくつかの星団は、ひろがった主系列ターンオフを示しており、構成要素である星の年齢が異なることが示唆される。しかし、もし最初は自転の速かった青色主系列星が制動を受けたとすれば、見かけの年齢の違いは解消される。

  • Letter: 高速に自転し完全に対流状態にある星における強力な双極磁場

    Strong dipole magnetic fields in fast rotating fully convective stars

    doi: 10.1038/s41550-017-0184

    M型矮星は、星の内部の対流運動によって駆動される恒星ダイナモを有している。これまで、こうしたダイナモで生じる磁場の強さは 4キロガウスで飽和すると考えられていたが、この上限が今回、双極ダイナモ状態をもつ 4つの星で破綻した。

  • Article: 変光星の新しい分類としての青色の大振幅脈動星

    Blue large-amplitude pulsators as a new class of variable stars

    doi: 10.1038/s41550-017-0166

    これまで確認されていなかった種類の変光星がOGLE探査データで発見され、約30分の時間スケールの周期的な光度変化、約 0.3等級の振幅、そして約30,000ケルビンの温度という特徴があった。これらは進化した低質量星の可能性がある。

  • Letter: 乱流による分裂で形成される離れた連星

    Formation of wide binaries by turbulent fragmentation

    doi: 10.1038/s41550-017-0172

    多重星は円盤の分裂あるいは乱流による分裂のどちらかを通じて形成されたと考えられているが、乱流の分裂は観測によって明確に確認されたわけではない。今回、乱流による分裂の証拠である、離れた連星系をとりまく整列していない円盤について報告されている。

  • Letter: 現在の中心ブラックホールに課される普遍的な最小質量スケール

    A universal minimal mass scale for present-day central black holes

    doi: 10.1038/s41550-017-0147

    局所的に高密度な環境から星を降着させる低質量ブラックホールは、最初の質量に関係なく、ハッブル時間を通して太陽質量の105倍という最小質量以上に成長する。このことは、なぜ現在まで中間質量ブラックホールが存在しないのかという説得力のある説明となる。

2017年7月

  • Review Article: 星形成に及ぼす超大質量ブラックホール成長の影響

    Impact of supermassive black hole growth on star formation

    doi: 10.1038/s41550-017-0165

    活発に降着を受けている超大質量ブラックホールからのフィードバックは、銀河の進化において重要であると考えられる。銀河における星形成に及ぼすこのフィードバックの影響について、理論および観測の結果を概説する。

  • Letter: コンドリュール中の酸素同位体に記録された原始惑星系円盤内のケイ酸塩–SiO反応

    Silicate–SiO reaction in a protoplanetary disk recorded by oxygen isotopes in chondrules

    doi: 10.1038/s41550-017-0137

    非平衡エンスタタイト・コンドライトの酸素同位体は、3酸素同位体プロット上で急峻な勾配を示す。このことは、太陽系原始惑星系円盤初期の段階におけるケイ酸塩–SiO反応の発生によって説明できる。

  • Letter: オリオン電波源Iにおける円盤によって駆動された回転双極アウトフロー

    Disk-driven rotating bipolar outflow in Orion Source I

    doi: 10.1038/s41550-017-0146

    速度のトレーサーに Si18O を用いて、大質量の若い恒星によって放出される磁気遠心力円盤風で駆動された、回転アウトフローについて報告する。この回転は、アウトフローにより角運動量が除去されている証拠である。

  • Letter: HH 212の最内縁部の円盤から放出される回転する原始星ジェット

    A rotating protostellar jet launched from the innermost disk of HH 212

    doi: 10.1038/s41550-017-0152

    原始惑星系円盤の表面から生じる円盤風は、円盤半径およそ10au外側から角運動量を除去する。Leeたちは、残りの角運動量が10auより内側の半径で除去され、これが、0.05auのスケールで放出される高度に絞り込まれたジェットによるものであり、その結果として降着が可能になることを明らかにした。

  • Article: 観測されたグリッチの最大値からパルサーの質量を絞り込む

    Constraints on pulsar masses from the maximum observed glitch

    doi: 10.1038/s41550-017-0134

    パルサーの回転数である「グリッチ」の最大値を用いるという革新的な方法により、この質量を絞り込むことができる。すなわち、グリッチが大きいほど質量は小さくなる。この手法は、グリッチの観測されるすべての天体の質量を推定するために用いられる。

  • Letter: 銀河団でもっとも明るい銀河の100億年間におよぶ整列

    Ten billion years of brightest cluster galaxy alignments

    doi: 10.1038/s41550-017-0157

    銀河団でもっとも明るい銀河は、近傍宇宙で銀河の集まっているフィラメントに沿っていることが知られている。本論文ではこの相関が、宇宙の年齢が現在のわずか3分の1であったころまで遡ることを明らかにする。このことから、もっとも明るい銀河団銀河に特有の歴史が確かなものとなった。

  • Letter: ニュートリノ凝縮の違いで生じる宇宙構造

    Differential neutrino condensation onto cosmic structure

    doi: 10.1038/s41550-017-0143

    N体シミュレーションTianNu中で数百万個の冷たい暗黒物質粒子とニュートリノを共進化させると、同程度の暗黒物質密度をもつ領域であっても、異なるニュートリノ密度をもつ可能性が示される。これらの密度変動は、宇宙構造に影響を及ぼす可能性がある。

  • Article: ガンマ線バーストで生じるニュートリノと光子の真空中における分散特性

    In vacuo dispersion features for gamma-ray-burst neutrinos and photons

    doi: 10.1038/s41550-017-0139

    ガンマ線バーストから生じる超相対論的な光子とニュートリノは、伝搬時間がエネルギーに依存性する可能性を導く量子重力効果を検証する機会をもたらす。天体物理学データの統計解析は、この特性が観測された可能性があることを示している。

2017年6月

  • Letter: 天文学の論文におけるジェンダー・バイアスを被引用数から定量的に評価する

    Quantitative evaluation of gender bias in astronomical publications from citation counts

    doi: 10.1038/s41550-017-0141

    性差別は、広く学術界で、そしてとりわけ天文学界で重要な問題である。女性が著者となっている天文学の論文の被引用数は、男性が著者となっている論文の被引用数よりも系統的に10パーセント低いことが、機械学習の手法を用いた研究で明らかになった。

  • Letter: TRAPPIST-1における7個の惑星の共鳴鎖

    A seven-planet resonant chain in TRAPPIST-1

    doi: 10.1038/s41550-017-0129

    恒星TRAPPIST-1をトランジットし大きさが地球程度である7番目の惑星の軌道パラメータが報告され、同時にこの惑星系の惑星すべてを結びつける複雑な三体共鳴の研究も報告されている。

  • Letter: HAT-P-7 bとほかの高温の巨大系外惑星の磁場強度に課せられる制約

    Constraints on the magnetic field strength of HAT-P-7 b and other hot giant exoplanets

    doi: 10.1038/s41550-017-0131

    磁気流体力学モデルにより、風が変動する高温の巨大系外惑星HAT-P-7 bの大気において光度のピーク位置のずれが変動する理由を説明できる。観測結果を再現するためには、最小でも6Gの磁場強度が必要である。

  • Letter: 超新星残骸RCW 86内部のカルシウム豊富な超新星放出物質で汚染された太陽型星

    A solar-type star polluted by calcium-rich supernova ejecta inside the supernova remnant RCW 86

    doi: 10.1038/s41550-017-0116

    超新星残骸の中心からずれた位置に見えないX線源を伴う連星系に、金属に汚染されたG型星が検出されたことにより、この星がRCW 86における中心核崩壊型超新星に隠れた前駆天体のペアであったことが示唆される。

  • Letter: 原始太陽系星雲の類似天体における巨大惑星形成領域に蓄えられた質量

    Mass inventory of the giant-planet formation zone in a solar nebula analogue

    doi: 10.1038/s41550-017-0130

    ALMAによるうみへび座TW星の観測で、13C18OのJ = 3-2分子線を用いて、巨大惑星の形成が予想される星周円盤の中央面が調べられた。ほかの輝線も用いて、ガスの質量分布、温度、ガスの塵に対する比率が決定された。

  • Article: 古い星の種族における暗い熱核反応型超新星からの拡散した銀河系内反物質

    Diffuse Galactic antimatter from faint thermonuclear supernovae in old stellar populations

    doi: 10.1038/s41550-017-0135

    対消滅してガンマ線放射を生成する銀河系内陽電子の起源は、いまだに議論のある問題である。2つの白色矮星の合体は、こうした陽電子の主な発生源の可能性がある。そのような合体は、低光度の熱核反応型超新星を形成する。

2017年5月

  • Perspective: 信じられないほどのうまい話

    Too good to be true?

    doi: 10.1038/s41550-017-0112

    重力波の検出は、数十年にわたる理論的、観測的、そして技術的なたゆみない成果の頂点である。一方で驚きをもって受け入れられたのは、連星系のブラックホールに由来するこうした初検出の重力波が、実際に理論的に予測されていたことである。

  • Review Article: 惑星状星雲を理解する鍵としての連星

    Binary stars as the key to understanding planetary nebulae

    doi: 10.1038/s41550-017-0117

    惑星状星雲は、従来は単独星の終着点と考えられていたが、単独星のシナリオでは説明できない多様な形態を示している。ほとんどの惑星状星雲は、おそらく連星の相互作用の結果だということが明らかになりつつある。

  • Letter: 太陽大気下部におけるフレア前駆体の高解像度観測

    High-resolution observations of flare precursors in the low solar atmosphere

    doi: 10.1038/s41550-017-0085

    磁気エネルギーは太陽面の爆発的なフレアにエネルギーを供給する。今回、これまでにない解像度の観測によって、太陽大気下部にそのようなフレアの前駆体を確認した。これらの発見は、フレア形成の理論モデルを絞り込む手がかりとなるだろう。

  • Letter: ボイジャーとカッシーニによって観測された太陽圏の泡のような形状

    The bubble-like shape of the heliosphere observed by Voyager and Cassini

    doi: 10.1038/s41550-017-0115

    カッシーニと2機のボイジャーから得られたイオンと中性原子の計測結果がまとめられ、太陽圏が太陽周期に速やかに(2~3年の遅れで)応答することと、よく描かれているような尾を曳いた形ではなく泡のような形であることが明らかにされた。

  • Letter: アスワンのアウトバーストと崖の崩壊の組み合わせから明らかになった彗星67Pの当初のままの内部構造

    The pristine interior of comet 67P revealed by the combined Aswan outburst and cliff collapse

    doi: 10.1038/s41550-017-0092

    2015年7月にロゼッタによって観測された、彗星67Pの核からの明るいアウトバースト的活動は、そのバーストと同時に部分的に崩落した崖が原因であり、これら2つの現象の間に関係性が確かめられた。その崩壊によって、表面下にあった当初のままの氷も露出した。

  • Article: 窒素(N2)、メタン(CH4)、エタン(C2H6)の極低温の液体混合物からタイタンの海に生成される泡の流れ

    Bubble streams in Titan’s seas as a product of liquid N2 + CH4 + C2H6cryogenic mixture

    doi: 10.1038/s41550-017-0102

    タイタンの極領域には液体メタンの湖が点在する。数値モデルでは、リゲイア海と呼ばれる湖の湖床付近で窒素の離溶によって浮上する泡の発生が明らかになり、この湖表面にカッシーニで観測された一時的な発光を説明できる。

  • Letter: 日中よりも薄明時の方が明るいタイタン

    Titan brighter at twilight than in daylight

    doi: 10.1038/s41550-017-0114

    カッシーニのカメラで、異なる角度(0~166°)の軌道からタイタンを観測した結果、この衛星が日中よりも薄明時に明るく見えることが分かった。この効果はタイタンのもやの散乱特性と関係し、太陽系外惑星でも存在しうる。

  • Letter: 励起水素というベールをまとう銀河系

    The Galaxy’s veil of excited hydrogen

    doi: 10.1038/s41550-017-0103

    およそ75万に達するスペクトルを重ね合わせることによって、銀河系ハローのこれまで知られていなかった構成要素が明らかになり、これは、広範囲に分布する中性の励起水素の層で、そこには銀河系のバリオンのかなりの部分が存在する可能性がある。

  • Letter: 再電離時代の非常に暗い銀河の分光観測による確認

    Spectroscopic confirmation of an ultra-faint galaxy at the epoch of reionization

    doi: 10.1038/s41550-017-0091

    ごく初期の宇宙に暗い銀河が今回発見され、これは、深部観測とその銀河からの放射を増光させる大質量銀河団のおかげである。この銀河は、現在まで知られているそうしたわずか5個のうちの1個であり、この発見で、宇宙の再電離の様子が絞り込まれる。

2017年4月

  • Letter: 太陽におけるロスビー波の検出

    The detection of Rossby-like waves on the Sun

    doi: 10.1038/s41550-017-0086

    全球規模のロスビー波は惑星大気に現れ、その惑星の天気に影響を及ぼす。今回、磁場によって駆動される似たような波が太陽で明確に検出された。もしかするとこれを、太陽の活動とそれに関連する宇宙天気の予報に役立てることができるかもしれない。

  • Letter: 隕石中のバナジウムとベリリウムの同位体の変化を結びつけることによって定量化された初期太陽系の放射

    Early Solar System irradiation quantified by linked vanadium and beryllium isotope variations in meteorites

    doi: 10.1038/s41550-017-0055

    カルシウムとアルミニウムに富んだ包有物(CAI)は太陽系で最古の固体であり、この中のベリリウムとバナジウムの存在度から、太陽が若くてより活動的だったとき、短時間(300年間)かつ近距離(⋍0.1 au)でCAIが太陽フレアから段階的な放射を受けたことがわかる。

  • Letter: エンセラダスの南極域の表面下に見られる熱的に異常な特性

    Thermally anomalous features in the subsurface of Enceladus’s south polar terrain

    doi: 10.1038/s41550-017-0063

    カッシーニ搭載のRADARにより、エンセラダスの「タイガー・ストライプ」付近の領域が探査された。その結果、表面下は温暖で温かな亀裂も存在することが明らかにされ、この衛星の氷の地殻がこれらの地点でわずか数キロメートルの厚さであることが示されている。亀裂が休止状態であることから、地質学的活動は間欠的であるようだ。

  • Letter: すべての微惑星はカイパーベルト付近で連星系として形成された

    All planetesimals born near the Kuiper belt formed as binaries

    doi: 10.1038/s41550-017-0088

    異常な特性をもったカイパーベルト天体(KBO)がいくつか(同じタイプのKBOはふつう赤みがかっているが、これらは青みがかった色で、すべて連星である)発見され、太陽系のもっとも外側の領域での形成過程における制約が得られる。

  • Letter: ブラックホールの質量スケール全般にわたるブラックホール・ウインドの磁気的な起源

    Magnetic origin of black hole winds across the mass scale

    doi: 10.1038/s41550-017-0062

    超大質量ブラックホール周囲のアウトフローに対する磁気流体力学的なモデルは、恒星質量ブラックホール周囲のアウトフローのX線特性も再現できる。このことは、磁力がこれらのウインドを駆動する上で普遍的な役割を果たすことを示している。

  • Letter: 老いた散開星団における星の自転の整列

    Spin alignment of stars in old open clusters

    doi: 10.1038/s41550-017-0064

    Corsaroたちは星震学を用いて、2つの老いた散開星団内の星の自転軸を計測し、多数の星の間で自転軸が整列していることを明らかにした。これは母体となった分子雲がもともと持っていた角運動量の痕跡であると考えられる。

2017年3月

  • Perspective: 非バリオン暗黒物質理論の進展

    Growth of the nonbaryonic dark matter theory

    doi: 10.1038/s41550-017-0057

    宇宙に見えない物質があることを示唆する最初の手掛かりから、暗黒物質について現在得られている多くの証拠まで、James PeeblesがInsight Perspectiveで、1970年代に大きく進展した観測と理論を概説する。

  • Review Article: 暗黒物質はどのように認識されてきたか

    How dark matter came to matter

    doi: 10.1038/s41550-017-0059

    暗黒物質は、その存在量にもかかわらず、徐々に受け入れられていった。Jaco de Swartらは、暗黒物質が宇宙論へといかして発展してきたかの歴史を再構成し、暗黒物質について特集されたInsights中のReview Articleで概説している。

  • Letter: 6.5パーセク離れたところにあるK型矮星をトランジットする2つの大質量岩石惑星

    Two massive rocky planets transiting a K-dwarf 6.5 parsecs away

    doi: 10.1038/s41550-017-0056

    近傍の惑星系に、我々から見て親星の正面をトランジットしている2個の地球型惑星が発見された。トランジットする地球型惑星は、それらの大気を含め詳細な特性を評価することができるため、探し求められていたものだ。同じ惑星系にそのような2個の惑星をもつものは非常に珍しい。

  • Letter: 汚染された白色矮星系にある周辺を取り巻く周連星デブリ円盤

    A circumbinary debris disk in a polluted white dwarf system

    doi: 10.1038/s41550-016-0032

    Ferihiらによると、「汚染された」白色矮星を含む連星系には、安定で岩石質の周連星デブリ円盤が存在しているに違いないらしい。したがって、大きな微惑星の形成や、地球型惑星となりうる惑星の形成は、このような系では確実で一般的であるに違いない。

  • Letter: 近傍のきわめて明るい赤外線銀河F01004-2237における潮汐破壊事象

    A tidal disruption event in the nearby ultra-luminous infrared galaxy F01004-2237

    doi: 10.1038/s41550-017-0061

    星が大量に形成されている環境は、星の潮汐破壊現象により大きく寄与するが、これは、スターバースト銀河内の超大質量ブラックホールに降着している星の残骸が検出されたことから明らかになった。

  • Letter: 10年間にわたって持続しそうな潮汐破壊現象

    A likely decade-long sustained tidal disruption event

    doi: 10.1038/s41550-016-0033

    超大質量ブラックホールにより長期間にわたって持続するこれまで例を見ない星の破壊現象が、ここ10年ほどで明らかにされてきた。スペクトルの情報からは非常に効率的な降着が考えられるが、最近の観測ではもっと穏やかな降着モードへ移行しているような兆候が見られる。

  • Letter: ビッグバンから20億年後の原始銀河の類似天体

    Analogues of primeval galaxies two billion years after the Big Bang

    doi: 10.1038/s41550-017-0052

    中程度の赤方偏移を示す銀河を選び出すと、このグループは、原始銀河に似ているように見える。原始銀河に似てそれよりも近いこうした銀河のスペクトルを解析して化学組成とイオン化準位を求めることで、暗すぎてよく研究されていない銀河の理解が進展する。

2017年2月

  • Letter: 磁気圏の風によって月まで運ばれた生命活動由来の地球の酸素

    Biogenic oxygen from Earth transported to the Moon by a wind of magnetospheric ions

    doi: 10.1038/s41550-016-0026

    月の土は地球からの酸素イオンを含み、この酸素は地球の大気を逃れて磁気圏の風を通じて月に届いたものであるという証拠が示された。月の表面は地球の大気の歴史についての手掛かりを有している可能性がある。

  • Letter: オルドビス期に一般的だった珍しい隕石

    Rare meteorites common in the Ordovician period

    doi: 10.1038/s41550-016-0035

    地球に落下する隕石の組成が時代とともに変化するという初の実験的な証拠を、Heckたちが明らかにした。4億7千万年前の隕石の分布は、小惑星帯で起こった現象に関係した影響により、現在とかなり違っていた。

  • Letter: カロンを形成した巨大衝突によってできた冥王星の暗い赤道領域

    The Charon-forming giant impact as a source of Pluto’s dark equatorial regions

    doi: 10.1038/s41550-016-0031

    ニューホライズンズ探査機は、冥王星の赤道領域にあるおそらく有機物からできていると考えられる巨大で赤みがかった領域について明らかにした。本論文では、冥王星最大の衛星カロンを形成したまさに同じ巨大衝突によってその領域が形成されたことを明らかにする。

  • Letter: 修正された17Oの陽子捕獲率によって明らかになった隕石小片の起源

    Origin of meteoritic stardust unveiled by a revised proton-capture rate of 17O

    doi: 10.1038/s41550-016-0027

    隕石小片の同位体分析は、その起源となる特定の天体をいまだに特定できていない。修正された17Oの陽子捕獲率は、中間質量(太陽質量の4倍から8倍)の恒星が大部分の隕石小片の源であると突き止めるのに役立った。

  • Letter: ダイポール・リペラー

    The dipole repeller

    doi: 10.1038/s41550-016-0036

    密度過少領域であるダイポール・リペラーの存在が、局部銀河群の速度場の研究に基づいて予測された。このスーパーボイドとシャプレー超銀河団の複合効果が局部的な宇宙の流れを調整している。

  • Letter: 孤立した矮小銀河群からの低質量での階層的形成の直接的な証拠

    Direct evidence of hierarchical assembly at low masses from isolated dwarf galaxy groups

    doi: 10.1038/s41550-016-0025

    階層的成長について現在受け入れられているモデルである、暗黒物質が支配的な宇宙は、孤立した矮小銀河群がまれであることを予測している。そのような系が7つ発見されたことは、それらが現在の中間質量銀河の構成要素であることを示している可能性がある。

  • Article: 連星系であるさそり座AR星における白色矮星パルサーの偏光の証拠

    Polarimetric evidence of a white dwarf pulsar in the binary system AR Scorpii

    doi: 10.1038/s41550-016-0029

    偏光した放射の周期的なパルスと強い磁場が白色矮星の連星系に発見された。これらの発見は、これまで中性子星のみに関連するとされていたパルサー状の放射機構を裏付けている。

2017年1月

  • Review Article: 惑星探査の3つの時代

    Three eras of planetary exploration

    doi: 10.1038/s41550-016-0010

    惑星の形成と進化において重要な未解決の問題を、水を基本的な共通主題として解説し、惑星や系外惑星の研究者たちがそれらを解決する上で互いにどのように協力できるかを述べている。

  • Letter: 銀河団の衝撃波で起こる電子の再加速

    The case for electron re-acceleration at galaxy cluster shocks

    doi: 10.1038/s41550-016-0005

    銀河団同士の合体から得られた多波長観測データから、活発に降着を受けているブラックホール付近から放出された相対論的電子が、銀河団の衝撃波のところで効率的に再加速されて、拡散した電波放射を特徴的に生成していることが明らかになった。

2016年12月

  • Letter: 南極大陸のドームAに開いたテラヘルツ波長と遠赤外線波長での窓

    Terahertz and far-infrared windows opened at Dome A in Antarctica

    doi: 10.1038/s41550-016-0001

    南極大陸のドームAで得られた20μmから350μmの間の大気スペクトルの解析により、地上からでは一般に水蒸気の波長帯に妨げられるテラヘルツ波長と遠赤外線波長の天文観測にとって、この地が年間を通じてきわめて好条件にあることが示された。

  • Letter: カー・ブラックホールによる潮汐破壊事象としての超高光度トランジェント天体 ASASSN-15lh

    The superluminous transient ASASSN-15lh as a tidal disruption event from a Kerr black hole

    doi: 10.1038/s41550-016-0002

    トランジェント天体ASASSN-15lhはこれまで、発見された超新星の中でもっとも明るいものであるとされていた。しかし現在では、そのフレアが潮汐破壊事象であり、高速回転するブラックホールが隣接する星を引き裂いているものであるという説得力ある証拠が存在している。

  • Letter: 高温のガス惑星 Hat-P-7bでの大気の変動

    Variability in the atmosphere of the hot gas giant Hat-P-7b

    doi: 10.1038/s41550-016-0004

    高温で巨大な太陽系外惑星HAT-P-7bの位相曲線におけるピークの時間変動は、この惑星大気の風速と雲量の変化で説明される。これまで、このような「天気」は太陽系外の巨大惑星では観測されていなかったものだ。

  • Letter: 影になったケレス北部領域に存在する表面の水氷堆積物

    Surface water-ice deposits in the northern shadowed regions of Ceres

    doi: 10.1038/s41550-016-0007

    準惑星ケレスの北極領域にある10個のクレーターの永久影の中に明るい堆積物が発見され、そのうち少なくとも1つは水氷からできていることがわかった。このことは、ケレスが月や水星のように、高緯度域で水氷を逃さずに保持していることを意味する。

  • Video: 永久影にある水氷

    Water in the shadows

    doi: 10.1038/s41550-016-0030

    このビデオは私たちを太陽系の中でもっとも低温で、暗い場所であるケレスの極領域にあるクレーターへと連れて行ってくれる。ケレスは小惑星帯の中でもっとも大きな小惑星である。NASAのドーン探査機によって撮影された新しい画像は、太陽の光が決して当たることのないクレーターのいくつかにとらえられた水氷を明らかにした。ケレスは現在のところ永久影の領域に水氷が確認されている、月そして水星に続く三番目の惑星体である。ケレスの明るく輝いた水氷を理解することによって、将来の恒久的な月面基地の建設に備え、大気のない月やほかの惑星体の水についての理解を深めたいと望んでいる。

  • Letter: 光原子時計を用いた実験から暗黒物質に課される制約

    Experimental constraint on dark matter detection with optical atomic clocks

    doi: 10.1038/s41550-016-0009

    トポロジカルな欠陥(たとえば、宇宙ひも)の形で暗黒物質を検出するため、単一光原子時計を用いた実験装置が提案されている。検証ではこれまでと同様な実験に比べて、およそ3倍の感度が示された。

  • Letter: 銀河系質量をもつ90億年前の銀河の祖先に見られる大規模な分子ガスリザーバー

    Large molecular gas reservoirs in ancestors of Milky Way-mass galaxies 9 billion years ago

    doi: 10.1038/s41550-016-0003

    恒星質量と星形成速度が、天の川銀河の85億年前の主な前駆天体と同程度である複数の銀河から得られた低温分子ガスの計測結果によって、星形成の物理が現在見られるものと同様であることが明らかになった。

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