Nature ハイライト

細胞生物学:ゴルジ複合体の小管を介する双方向輸送

Nature 521, 7553

ゴルジ複合体は積み重ねられた皿が集まったような層板構造からなり、それらが小管と呼ばれる構造体で連結されている。ゴルジ複合体は、タンパク質の選別と細胞内の適切な目的地への送達に中心的な役割を果たしていることから、細胞の「郵便局」と呼ばれている。今回、V Hsuたちは、ゴルジ体から細胞膜に向かう順行性輸送にゴルジ体小管が関わっていることの証拠を示している。この過程はこれまで、主にゴルジ層板によって仲介されていると考えられてきた。だが、ゴルジ体を介した逆行性輸送に関わることが知られているCOPIタンパク質複合体が、順行性の小管輸送にも関与していることが分かった。そうすると、互いに逆となる方向へと送られる積み荷をCOPIが選別できる仕組みがどのようなものなのかが、次に問題となる。著者たちは、低分子量GTPアーゼであるCDC42が双方向に向かうゴルジ輸送に必須の調節因子であり、外部刺激に応答して、順行輸送されることが決まっている積み荷の選別を促進し、逆行輸送される積み荷を犠牲にして、小管内へ送り込むことを明らかにした。

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