Nature ハイライト

遺伝:アンチセンス長鎖非コードRNAが遺伝子発現を調節する

Nature 491, 7424

ゲノムから転写されるRNAの多くは、まだその機能がわかっていない。そうした長鎖非コードRNA(lncRNA)の1つに、Uchl1(ubiquitin carboxy-terminal hydrolase L1)遺伝子に対するアンチセンス転写産物がある。Uchl1は脳機能にかかわり、神経変性と関係付けられている遺伝子である。今回、アンチセンスUchl1 lncRNAが、Uchl1遺伝子内のSINEB2(short interspersed nuclear element B2)という配列を認識することが明らかになった。アンチセンスUchl1とSINEB2の相互作用は、UCHL1の発現を翻訳段階で上昇させた。反復配列が組み込まれた天然あるいは合成のアンチセンス転写産物は、メッセンジャーRNAの選択的翻訳を増加させる有用な手段になる可能性があり、RNA療法にも使えるかもしれない。

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