Nature ハイライト

細胞:iPS細胞作製におけるクロマチンの制御

Nature 483, 7391

ヒト繊維芽細胞から誘導多能性幹(iPS)細胞への再プログラム化におけるクロマチン修飾酵素の役割についての研究から、これらの酵素はエピジェネティックなリモデリングの促進因子としても、またそれを阻む障壁としても働く場合があることが示唆された。G Daleyたちは、DNAやヒストンのメチル化経路にかかわる22個の遺伝子を選び、それらのノックダウンを行って、iPS細胞作製における正と負の両方の調節因子を同定した。特に、H3K79ヒストンメチルトランスフェラーゼであるDOT1Lの抑制は、再プログラム化を亢進させ、再プログラム化用の混合液に必要な2つの因子KLF4とc-Mycの代わりになった。DOT1L抑制のこうした影響は、再プログラム化因子であるNANOGとLIN28の増加に関連しているらしい。この研究結果は、特定のクロマチン修飾因子を制御することで、より効率的に、より少ない外来性転写因子の導入でiPS細胞を作製できることを示している。

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