Nature ハイライト

光学:電子–正孔を超高速光変調で引き裂く

Nature 483, 7391

電子-正孔再衝突のイメージ図。タイル構造は半導体量子井戸を、褐色のロッドおよび黄色の円錐はそれぞれ近赤外放射とテラヘルツ放射を表す。
電子-正孔再衝突のイメージ図。タイル構造は半導体量子井戸を、褐色のロッドおよび黄色の円錐はそれぞれ近赤外放射とテラヘルツ放射を表す。 | 拡大する

Credit : Peter Allen, UCSB.

高調波発生は、レーザー物理学でよく知られた現象であり、X線源を得るために広く利用されている。この過程では、まず高強度レーザーによって原子から電子がもぎ取られる。放出された電子は振動し始め、次いで帯電した元の原子と再衝突する。この再衝突によって元の周波数の「高次」倍数の周波数を持つ一連の高エネルギー光子が放出される。今回Zaksたちは、これによく似た意外な効果を実証している。こちらの場合には、励起子を構成する電子と正孔が、赤外レーザー場によって引き離された後、再衝突させられる。この再衝突の結果として、レーザー周波数の周りに複数の側波帯が発生する。今回の実験は高強度場物理学において基本的に重要であるばかりでなく、光通信分野での超高速光変調向けの新しい機構を示唆している。

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