Nature ハイライト

幹細胞:短腸症候群の治療法候補としてのオルガノイド移植

Nature 592, 7852

短腸症候群(SBS)は小腸の短縮に起因する吸収不良状態であり、重篤な腸疾患を治療するための外科的切除後に見られることが最も多い。現在の治療選択肢は少なく、患者の50%は、栄養素の不足を克服するため、永久的に完全非経口栄養法に頼らなくてはならない。佐藤俊朗(慶應義塾大学)たちは今回、ヒト回腸由来のオルガノイドが、マウスの大腸に移植後も小腸のアイデンティティーを維持し、そこで宿主組織に組み込まれることを示す。特筆すべきことに、SBSのラットモデルで小腸オルガノイドを大腸に移植すると、小腸機能が一部回復し、生存が改善した。以上より、この研究は、オルガノイド移植を疾患の治療(今回の場合は腸疾患)に役立てられることを実証している。

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