Nature ハイライト

物性物理学:垂直熱電発電

Nature 581, 7806

熱電材料は、熱流を電気エネルギーに変換するので、エネルギーハーベスティングや熱センシングに応用するためのカギとなる。通常そうした技術はゼーベック効果に基づいているが、強磁性材料でこれに対応する「異常ネルンスト効果」と呼ばれる垂直熱電効果は、温度差に対して垂直に発電するという幾何学的な特徴があるため大面積化できると考えられ、さまざまな利点をもたらす可能性がある。しかし、一般に異常ネルンスト効果はゼーベック効果よりもはるかに小さく、可能な応用は限られている。今回、中辻知(東京大学)たちは、電子的特性のトポロジー的側面を探るハイスループット計算による物質探索を指針として、室温において特定の鉄系立方晶化合物の薄膜で大きな異常ネルンスト効果を実証している。今回の結果は、低コストのフレキシブル熱電変換デバイスの設計への道を開く可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度