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物性物理学:垂直熱電変換を可能にする鉄系二元系強磁性体

Nature 581, 7806 doi: 10.1038/s41586-020-2230-z

異常ネルンスト効果(ANE)を用いる熱電発電は、温度差に対して垂直に発電するという幾何学的な特徴を持つため、熱源を大面積にわたって効率的かつフレキシブルに覆うことができ、エネルギーハーベスティング技術に応用できる大きな可能性を秘めている。そうした応用を実現可能にするには、熱電性能を上げるだけでなく、材料のコスト、安全性、安定性についても、大幅な改善が必要になる。電子構造の観点から見ると、ANEは、フェルミエネルギー近傍の伝導電子のベリー曲率によって生じることが分かっている。これまで、大きなベリー曲率を持つ物質を設計するために、運動量空間におけるノーダルポイントやノーダルラインを用いるいくつかの方法が検討されてきた。今回我々は、ハイスループット計算による物質探索を行い、天然に豊富に存在する安価な元素であるα鉄にアルミニウムやガリウムを25%添加することによってANEが10倍以上も劇的に増大し、室温においてアルミニウム添加では約4 μV K−1に、ガリウム添加では約6 μV K−1に達することを発見した。これらの値は、これまで報告された最高値に近い。実験と理論の比較によって、ノーダルウェブ(相互に接する複数のノーダルラインからなるフラットバンド構造)にフェルミエネルギーを調整することが、横熱電係数の大幅な増大のカギであることに加えて、横熱電係数は対数的な温度依存性を伴って約5 A K−1 m−1という値に到達することが分かった。我々はまた、ゼロ磁場で大きなANEを示す薄膜の作製にも成功した。こうした薄膜は、低コストでフレキシブルなマイクロ熱電変換デバイスの設計にも適している可能性がある。

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