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PROTAC標的タンパク質分解誘導薬:ここまでは序章

Nature Reviews Drug Discovery 21, 3 doi: 10.1038/s41573-021-00371-6

標的タンパク質分解(TPD)は、これまで小分子薬の標的とすることが非常に困難であった病因タンパク質に対処できる可能性を秘めた新たな治療法である。ユビキチン_プロテアソーム系を利用して標的のタンパク質を分解するタンパク質分解標的キメラ(PROTAC)分子という構想が報告されてからの20年間に、TPDは学術界から産業界に移り、多くの企業が前臨床開発と初期臨床開発のプログラムを公表してきた。この分野では、十分に確立されたがん標的2種に対するPROTAC分子の臨床的概念実証が2020年に達成されて、これまで「アンドラッガブル」と考えられていた標的の研究を行う態勢が整った。本総説では、業界での活動に重点を置きつつ、PROTAC発見以降の20年間の概要を示し、現在の状況を評価する。そして、TPDの将来のために重要な分野、例えば、TPDが最も適している標的群の確立、精密医療を可能にするためのユビキチンリガーゼの使用拡大、がん領域を超えたTPDの適用拡大について考察する。

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