Review Article

進行性多発性硬化症:病態生理から治療戦略まで

Nature Reviews Drug Discovery 18, 12 doi: 10.1038/s41573-019-0035-2

多発性硬化症(MS)は、脱髄と軸索変性を伴う中枢神経系の慢性炎症性疾患である。再発寛解型多発性硬化症の治療薬開発には、かなりの進展があったのに対して、再発せずに体の機能障害が蓄積することを臨床的特徴とする進行型多発性硬化症の治療は依然として不十分なままである。この臨床上のアンメット・ニーズは、多発性硬化症の進行に関係する病態生理機構の複雑性に関連している。慢性炎症は、多発性硬化症の顕著な病態生理学的特徴の1つであり、閉鎖した血液脳関門の背後に生じ、ミクログリアの活性化とT細胞とB細胞の連続的関与を伴う。炎症は、ニューロンのミトコンドリア損傷を増加させることがあり、その結果、エネルギー欠乏が引き起こされ、軸索の健康がさらに低下する。病変の増殖抑制環境と炎症性環境はまた、軸索を変性から保護すると考えられる修復過程である再ミエリン化を損なう。さらに、露出した軸索上のイオンチャネルの発現変化によって神経変性が加速される。本総説では、これらの疾患機構に関する理解の現状を論じ、こうした知見に立脚した新たな治療戦略に光を当てる。神経炎症と神経変性の側面を標的とする治療戦略だけでなく、再ミエリン化を促進する方法なども考察する。

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