Perspective

薬物と標的との結合滞留時間モデル:この10年を回顧する

Nature Reviews Drug Discovery 15, 2 doi: 10.1038/nrd.2015.18

薬物と標的との結合滞留時間モデルが初めて示されたのは2006年のことで、それ以来、化学生物学、生物工学、医薬品の各コミュニティーで広範に採用されてきた。従来のin vitro法は、薬物と標的の相互作用を平衡親和性の観点のみで評価するのに対して、結合滞留時間モデルは、薬物の結合と解離に影響する標的巨大分子のコンホメーション動態を考慮に入れている。このモデルの重要な原理は、結合親和性それ自体ではなく、薬物と標的の2成分複合体の寿命(滞留時間)がin vivoでの薬理活性のかなりの部分を決定付けているということである。本論文では、この結合滞留時間モデルを再検討し、過去10年間に発表された結合滞留時間モデルの重要な応用例を紹介する。

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