Review Article

転移性乳癌の治療法発見と開発のための戦略

Nature Reviews Drug Discovery 11, 6 doi: 10.1038/nrd2372

固形癌を原因とする死亡のほとんどは、転移によるもの、つまり肺や肝臓、脳、骨などの遠隔臓器に生じる二次性腫瘍によるものである。抗転移効果を有する薬物を開発する大きな障害となっているのは、生物学的もしくは遺伝学的レベルでどのように腫瘍が進行し、転移するのかという問題が断片的にしか理解されていないことである。タイプの異なる癌でも多くの部分で転移プロセスが共通することもあるにもかかわらず、転移の傾向や程度、転移部位、転移プロセスおよび機序の動力学が著しく異なる場合がある。本稿では、他のタイプの癌とは明らかに異なる特徴をもつ乳癌について考察する。実際、転移性乳癌の前臨床モデルの開発や、関連するシグナル伝達経路と遺伝子調節因子の特定においては進展がめざましく、これらの進展がどのように新しい抗転移薬物の開発につながるのかについて述べる。

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